工務店が知っておきたいリフォーム工事で利用できる税制優遇制度

住宅の新築にあたってはさまざまな税金の優遇制度があります。

リフォーム工事においても税金が控除されるあるいは非課税になる制度があり、顧客との打ち合わせにおいては是非知っておくべきものです。

税制優遇制度については種類が多く、さらに制度名称が似通っているものが多く、非常にわかりづらくなっています。

ここでは早見表的に使えるよう、税制優遇制度の重要ポイントについてわかりやすくまとめてありますので是非ご活用ください。

税制優遇制度の種類

税額控除などの優遇制度は次の7種類があります。

どの制度も2021年12月31日までに所定のリフォーム工事が完了していることが必要です。

来年度以降も同様の制度が継続することが多く、また変更される場合もあるので、2022年度以降は各制度を所管する機関のウェブページで内容の確認をしてください。

耐震改修工事をした場合 国税庁「住宅耐震改修特別控除」
バリアフリー改修工事をした場合 国税庁「住宅特定改修特別税額控除」
省エネ改修工事をした場合 国税庁「住宅特定改修特別税額控除」
多世帯同居改修工事をした場合 国税庁「住宅特定改修特別税額控除」
耐久性向上改修工事をした場合 国税庁「住宅特定改修特別税額控除」
住宅ローンを借りて増改築等をした場合 国税庁「住宅借入金等特別控除」
住宅取得等資金の贈与を受けた場合 国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

① 耐震改修工事をした場合

旧耐震基準により建築された耐震性能の劣る住宅を、耐震補強計画にもとづき耐震改修工事をおこなった場合に適用される制度です。

税額控除内容と主な適用条件は以下のとおりです。

税額から控除される限度額 耐震工事の標準的な費用の10%かつ最高25万円(工事費用が消費税を含まない場合は20万円)
対象となる住宅 ・現行の耐震基準に適合する改修工事を行った住宅

・昭和56531日以前に建築されたもので自己居住用の住宅

必要書類 ・住宅耐震改修特別控除額の計算明細書

・増改築等工事証明書又は住宅耐震改修証明書

・家屋の登記事項証明書

年間所得制限 なし

耐震改修工事のため住宅ローンを借りた場合は、⑥の住宅ローンを借りて増改築をした場合の控除も併せて適用できます。

>>国税庁の詳細ページ

② バリアフリー改修工事をした場合

高齢者や障害者が不自由なく生活できるよう、床の段差をなくす・手すりを付けるなど所定の工事内容にもとづいたバリアフリー工事をおこなった場合に適用できる制度です。

税額控除内容と主な適用条件は以下のとおりです。

税額から控除される限度額 バリアフリー工事の標準的な費用の10%で20万円が上限
対象となる住宅 ・一定のバリアフリー工事を行った申請者が居住する住宅

50歳以上または介護保険の認定や所得税法上の障害者などの要件がある

・床面積が50平方メートル以上

・バリアフリー工事の金額が50万円超

・工事対象部位には細かくバリアフリー工事の内容が定められている

必要書類 ・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書

・増改築等工事証明書

・家屋の登記事項証明書

・介護保険の被保険者証の写しなど

年間所得制限 3,000万円以下

住宅借入金等特別控除と特定増改築等住宅借入金等特別控除の要件にも適用している場合は、この控除制度との併用はできません。

いずれかの制度の選択控除になります。

>>国税庁の詳細ページ

③ 省エネ改修工事をした場合

断熱改修工事などの省エネルギーに効果のある、改修工事をおこなった場合に適用される制度です。

税額控除内容と主な適用条件は以下のとおりです。

税額から控除される限度額 一般省エネ改修工事の標準的な費用の10%で25万円が上限(太陽光発電設備設置工事が含まれる場合は35万円)
対象となる住宅 ・一定の一般省エネ改修工事を行った住宅で申請者が所有し居住する住宅

・一般省エネ改修工事に係る標準的な費用の額が50万円超

・床面積が50平方メートル以上

必要書類 ・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書

・増改築等工事証明書

・家屋の登記事項証明書

年間所得制限 3,000万円以下

住宅借入金等特別控除と特定増改築等住宅借入金等特別控除の要件にも適用している場合は、この控除制度との併用はできません。

いずれかの制度の選択控除になります。

>>国税庁の詳細ページ

④ 多世帯同居改修工事をした場合

二世代・三世代での同居を可能にするため、最低限必要な居住空間を増設するなどの工事をおこなった場合に適用できる制度です。

税額控除内容と主な適用条件は以下のとおりです。

税額から控除される限度額 多世帯同居改修工事の標準的な費用の額の10%で25万円が上限
対象となる住宅 ・多世帯が同居できるように、調理室・浴室・便所・玄関を増設する工事であり、4つの室の2種類以上が複数になる場合

・改修工事に係る標準的な費用の額が50万円超

・床面積が50平方メートル以上

必要書類 ・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書

・増改築等工事証明書

・家屋の登記事項証明書

年間所得制限 3,000万円以下

住宅借入金等特別控除と特定増改築等住宅借入金等特別控除の要件にも適用している場合は、この控除制度との併用はできません。

いずれかの制度の選択控除になります。

>>国税庁の詳細ページ

⑤ 耐久性向上改修工事をした場合

住宅の寿命を長くするため耐久性に関する部分を、長期優良住宅建築計画にもとづき所定の工事をおこなった場合に適用できる制度です。

税額控除内容と主な適用条件は以下のとおりです。

税額から控除される限度額 ・耐久性向上改修工事と併せて住宅耐震改修か一般省エネ改修工事行う場合は工事の合計額の10%で上限25万円(太陽光発電設備設置工事が含まれる場合は35万円)

・耐久性向上改修工事と併せて住宅耐震改修と一般省エネ改修工事を行う場合は工事の合計額の10%で上限50万円(太陽光発電設備設置工事が含まれる場合は60万円)

対象となる住宅 ・住宅耐震改修や一般省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事

・耐久性向上改修工事を行い申請者が所有し居住する住宅

・耐久性向上改修工事に係る標準的な費用の額が50万円超

・床面積が50平方メートル以上

必要書類 ・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書

・増改築等工事証明書

・家屋の登記事項証明書

年間所得制限 3,000万円以下

特定増改築等住宅借入金等特別控除の要件にも適用している場合は、この控除制度との併用はできません。

いずれかの制度の選択控除になります。

>>国税庁の詳細ページ

⑥ 住宅ローンを借りて増改築等をした場合

リフォーム工事をおこなうにあたり住宅ローンを借りた場合に適用できる制度です。

税額控除内容と主な適用条件は以下のとおりです。

税額から控除される限度額 110年目は年末の住宅ローン残高の1%で40万円が上限

1113年目は、①住宅ローン残高の1%で40万円が上限、②消費税抜きの工事費の2%(4,000万円が上限)÷3、①と②の少ない金額が限度額

対象となる住宅 ・申請者が自ら所有し居住する住宅

・工事費用が100万円超

・ローンの返済期間10年以上

・床面積が50平方メートル以上(特例あり)

必要書類 ・住宅借入金等特別控除額の計算明細書

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

・家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し等

年間所得制限 3,000万円以下

工事金額が100万円以下の場合は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」制度が使えます。

ただし増改築等の工事金額が50万円超であることが条件で、次の種類があります。

・省エネ改修工事
・バリアフリー改修工事
・多世帯同居改修工事

控除される金額の上限は次のとおりであり、期間は5年間になります。

税額から控除される限度額 ・控除される期間は5年間

・控除対象工事に該当する借入金の残高の2%+借入金年末残高から先の該当工事の借入金を除いた金額の1%を合計した金額で125千円が上限

>>国税庁の詳細ページ

⑦ 住宅取得等資金の贈与を受けた場合

直系尊属である父母や祖父母から住宅の増改築に係る資金として贈与を受けた場合に、一定の金額までは「非課税」となる制度です。

税額控除内容と主な適用条件は以下のとおりです。

非課税限度額 ・省エネ等住宅は1,500万円

・上記以外の住宅は1,000万円

年齢制限 贈与を受けた年の11日で20歳以上
年間所得制限 2,000万円以下
工事時期 贈与を受けた年の翌年331日までに工事完了
必要手続 ・贈与を受けた翌年21日~315日の期間に贈与税の申告

・贈与者と受贈者の関係がわかる戸籍謄本

・工事契約書

>>国税庁の詳細ページ

まとめ

税制優遇制度は所管する国税庁の詳細ページが毎年度更新されるので、年度末には必ず確認が必要です。

各詳細ページは「タックスアンサー(よくある税の質問)」のディレクトリにまとめられており、税金の種類別に「タックスアンサーコード」がつけられています。

住宅の新築や増改築に関するタックスアンサーコードは、1200番台になっています。

詳細は「タックスアンサーコード一覧」で確認してください。

この記事でお伝えした税制優遇制度に関連するタックスアンサーコードは以下のとおりです。

・1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
・1217 借入金を利用して省エネ改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
・1218 借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
・1223 借入金を利用して多世帯同居改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
・1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
・1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
・1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)
・1224 多世帯同居改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
・1227 耐久性向上改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
・1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等
・1226 特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等

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