リバースモーゲージとリースバックのメリット・デメリット

高齢の持ち家世帯に向け金融サービスとして「リバースモーゲージ」が普及しています。

また持ち家を売却した後も住みつづけることができる「リースバック」の利用者も増加しています。

マイホームでマネタイズ可能な方法が一般化し、住宅ローンには「残価設定型」が登場するなど、高齢社会に対応した資金確保のしくみが生まれてきました。

ここではリバースモーゲージとリースバックの違いやメリット・デメリットについて、解説します。

リバースモーゲージの仕組み

リバースモーゲージは住宅金融支援機構が「リ・バース60」という名でTVCMをおこなっていますが、自宅を担保にして住宅の建替えなどの住宅資金を融資するものです。

資金使途として認められるものは以下のとおりです。

1. 自身の住宅の建て替えや住み替えの資金
2. 子世帯が建設や購入する住宅資金
3. 住宅のリフォーム
4. サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金
5. 住宅ローンの借り換え
6. 「リ・バース60」の相続債務を完済すための相続人の借入

返済は金利のみであり契約者が死亡した場合に、元金を相続人が一括返済するか担保物件を売却して返済する仕組みです。

配偶者がいる場合は配偶者が契約を引き継ぎ、そのまま住みつづけることができます。

「リ・バース60」はその名のとおり「60歳以上」が対象ですが、50歳以上~60歳未満が利用できる「リ・バース50」もあります。

参考:住宅金融支援機構「リ・バース60」

リバースモーゲージは住宅金融支援機構以外にも民間金融機関が取り扱っており、高齢者世帯の生活資金や医療・介護資金として資金使途も認めています。

リースバックの仕組み

自宅を不動産会社に売却し、その後は賃借人として自宅に住みつづける方法です。

売却した不動産会社からは売却代金が支払われるので、その資金をどのように使うかはまったく自由です。

賃貸借契約は売却した不動産会社との間で締結し、家賃は不動産会社が買取った金額の利回りなどを計算し設定されます。

高く売却すると家賃は高くなり安く売却すると家賃は安くなります。

大手不動産会社ではハウスドゥの「ハウス・リースバック事業」や、リノベーションマンションのトップランナーであるスターマイカは、賃貸中物件仕入においてリースバックによるものが多くあるとみられます。

リースバックを望む顧客の目的としてもっとも多いのは、住宅ローンの早期返済と言われます。

次いで生活費の確保や相続対策といった理由があるようです。年齢の高い顧客には「老後資金の確保」も多くみられます。

参考:全宅連「リアルパートナー2021.7月号」

リバースモーゲージとリースバックを比較してみる

リバースモーゲージとリースバック

リバースモーゲージとリースバックを比較するには、どちらが利用者にとって使いやすく、目的に合致するものかを検証しなければなりません。

1.審査の通りやすさ

リバースモーゲージは金融商品なので当然ですが審査はあります。

主に物件の担保価値が評価され大都市の物件ほど評価は高く、地方になると評価は低くなり受けられる融資額は低く抑えられます。

場合によっては融資を受けられないこともあり、地域格差が大きくなると言えるでしょう。

一方リースバックは融資とは異なり担保価値を評価することはありません。

設定した家賃を継続して支払っていける収入があるかが審査の基準となります。

そのためリバースモーゲージよりも審査の面では通りやすいと言えるでしょう。

2.目的に合っているか

どちらも必要とする資金の確保が目的ですが、リースバックにはもう1つの目的があります。

住宅ローンの返済よりも月の固定費を低くすることが目的のため、設定家賃が周辺の相場より高くなる場合は、リースバックではなく売却したのち別の賃貸物件に移り住むほうが目的に合うケースがでてきます。

そのためリースバックについての問い合わせ件数に対する成約率は5%程度と、非常に低い傾向にあります。

一方リバースモーゲージは担保評価によって融資額が決まり、物件の立地条件などで目的とした金額に満たないケースもでてきます。

大都市の物件ほど目的に合致する融資を受けられる可能性が高く、潜在的ニーズは高いとみられています。

リースバックとリバースモーゲージの今後

リースバックはバブル経済崩壊後のオフィスビル賃貸事業で広まった手法と言われます。

またリバースモーゲージは日本の高度経済成長が終わったころに、地方自治体がはじめた福祉政策の1つと言われます。

リースバックは「売却+賃貸借」リバースモーゲージは「融資+売却予約」と、不動産売買にプラスして資金提供が組み合わさった “不動産金融” 事業と位置づけられます。

業界大手のオープンハウスは銀行代理業の許可を取得し、住宅ローンをはじめとした金融事業に参入することとなりました。

新築住宅事業は住宅ローンと関連性が深く、後にはリフォーム需要や住み替え需要が見込め、リフォームローン・住み替えローンなどと新規ローンや、将来的にはリバースモーゲージの潜在顧客ともなり得ます。

リースバックを望む顧客に対しては物件を買取り、一定期間運用したのちにSPCなどに売却され、不動産の流動化がすすんでいきます。

リバースモーゲージの担保不動産も同様に、担保債権が証券化などにより小口化され、これも流動化の性格をもった債権に変化していくでしょう。

オープンハウスが金融事業に参入する理由がうなずけます。

住宅ローンの変化

従来の住宅ローンにも変化が生じてきます。

新生銀行が2019年に開始した「残価設定住宅ローン」は、国土交通省において本格的な取組を実施する動きもあり、住宅ローンは「長期固定債務」から流動性の高い性格のものに変わっていく可能性があります。

残価設定ローンはすでに自動車購入のクレジットには導入されているので、イメージ的には理解できるかと思います。

新生銀行の「新生パワーセレクト」は旭化成ホームズとの提携により、ヘーベルハウスの建築資金および土地購入資金として利用する場合に適用できます。

住宅ローンの返済最終回をあらかじめ設定し、その時点での残価を旭化成不動産レジデンスが買取保証します。

そのうえで設定した残価を控除した元金を長期返済し、返済最終回までに次の4つのパターンから利用者が最終回の元本返済方法を選択します。

1. 売却してすべての元本を一括返済する、売却できない場合は旭化成不動産レジデンスが買取る
2. 自己資金により元本を一括返済し住みつづける
3. 80歳まで期間延長して最終回元本の返済をつづけ住みつづける
4. リバースモーゲージへ借換えし、最終回元本を一括返済する

上記のように住宅の品質・性能の担保が可能な状態でなければ残価設定ができず、ヘーベルハウス限定でおこなっているのが新生銀行の残価設定ローンです。

国土交通省が開発する残価設定住宅ローンの概要はこれからですが、長期優良住宅などのように長期間にわたる品質・性能の維持が担保されることが必要であり、すべての住宅に適用されることはないと推測できます。

まとめ

住宅ローンの返済期間が35年まで可能となってから、ローン返済が定年後もつづくというケースが増加し、高齢世代になってからの生活資金に係わる環境は変化してきました。

平均寿命が延びており相続して子世代に変わるはずだった敷地には、築年数の経過した住宅が建ちつづけています。

リフォームの必要性があっても年金収入だけの世帯では、十分なメンテナンスもかないません。

高齢世帯にはこれまで考えられなかった資金需要が生まれており、リバースモーゲージへの需要が高まる一因となっています。

リースバックも同様に住宅ローン返済と収入のバランスから、次善の策として需要が表面化したものです。

残価設定住宅ローンの普及には、戸建住宅の長寿命化とマンションの管理適正化が欠かせません。

住宅ローンをめぐる社会的システムは今後、大きく変わる転換点にきているようです。

【今すぐ視聴可能】実践で役立つノウハウセミナー

不動産会社のミカタでは、他社に負けないためのノウハウを動画形式で公開しています。

Twitterでフォローしよう

売買
賃貸
工務店
集客・マーケ
業界NEWS