【役所回りは時代遅れ?】IT調査で差をつける

IT化の波は進み、私たちの仕事に大きな変化をもたらしました。

コロナ禍による在宅ワーク推奨により、Zoomなどのコミュニケーションツール利用も一般化し、在宅でも支障なく仕事が出来るということが証明されました。

その影響は不動産業界にも波及し、IT重説やZoom案内などが日常化しています。

ただし他業界と比較すると、IT化の波からはまだまだ、遅れていると言われています。

その代表が、調査業務です。

多くの不動産業者が、未だに物件調査は役所回りをしなければできないとの思い込みがあるようですが、実際にそんなことはありません。

一部の道路調査や、電算化処理が実施されていない登記調査、融資を申し込むために必要な印鑑つきの登記情報などの他は、役所周りをする必要はほとんどありません。

もちろん査定依頼時の土地境界確認や家屋確認など、現地に赴かなければできない業務もありますが、それも毎日のではないでしょう。

不動産業界の悪しき風習のようなもので、旧態依然の調査方法にしがみつくきらいがあるのか、先進的なシステムを積極的に導入し活用している会社と、効率の悪い方法で業務を進めている業者の二極化が見受けられます。

IT導入が消極的な背景には、システム導入費など費用の問題が足かせになっているケースも多いかと思いますが、実際には私も毎日のように使用しているGoogleマップや、Zoomのように使用料が無料のツールは数多くあります。

オフィスのインターネット環境やパソコン導入費用の問題もありますが、現在において自社ホームページの開設はあたりまえですし、顧客からのメール問い合わせも一般的に普及していますから、そこまで大掛かりなシステム導入費用は不要です。

そこで今回は、誰もが知っているGoogleマップなどを除き、実際に私が使用しているシステムで、不動産調査に使える無償のサイトを幾つか紹介したいと思います。

時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」

http://ktgis.net/kjmapw/
全国47地域について、明治期以降新旧の地形図を切り替え表示できるサイトです。

埼玉大学教育学部の谷教授が主催する人文地理学研究室から提供されているサイトです。

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宅建業法の改正によりハザードマップを利用しての、「水害に関する調査結果」の説明が義務付けされていますが、いわゆる従前地の状態まで説明は求められてはいません。

ですが、物件案内時などに

この場所って、昔はどんな場所だったのですか?

と言う質問がよくあると思いますが、不動産のプロである私たちが

分かりません」と、簡単に答えると信頼関係が揺らぐことにもなりかねません。

あらかじめ「今昔マップ」で確認しておく、またはプリントして準備し、お渡しする物件資料にしておけば、顧客の信用度も増すでしょう。

この地図は国土地理院のシステムと連携されており、画面分割は1・2・4と、それぞれ表示することができます。

使い方も簡単で、閲覧したい地域を指定して各地図の年代を指定するだけです。

年代も1916年から始まり、1935・1950~1952・1975~1976・1995~1998そして現在の地理院地図を表示できます。

物件調査,IT

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また地図地理院最新写真のほか、治水地形分類図・都市圏活断層図・洪水浸水想定(ハザードマップ)・大規模盛土造成地・人口密度なども表示することができるため、アイディア次第で様々な利用方法のあるサイトです。

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過去から現在までの発展経緯や、今後、開発が検討されている地域情報を併せて俯瞰的に表示できることから、地域検証などにも有効です。

土地情報総合システム

https://www.land.mlit.go.jp/webland/

国土交通省が提供する主に「地価公示価格」を調査するためのサイトです。

メジャーですので、不動産業界では知らない方の方が少ないと思いますし、実際の業務において公示価格を調査する場合には使用されていると思います。

ですが、あまり使われていないのが不動産取引価格検索です。

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ご利用になっている方はご存じでしょうが、「不動産取引価格情報検索」で地域指定をすると、地図が表示されますが、地図上に具体的な価格が表示されます。

物件調査,ITしかも道路上で価格をクリックすると、取引事例の詳細を確認することができます。

物件調査,ITほかにも取引時期を指定することも出来ますし、物件種別(土地・マンション・農地など)を指定するほか、データをダウンロードしてレポートなどに利用することもできます。

実際に、私が地域創生事業の一環として依頼される、北海道地域復興プロジェクトのレポートを作成する場合にも、近隣地域成約額事例を参照して、価格変動の要因などを分析する足掛かりとしています。

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私たち不動産業者は査定根拠として近隣売買事例を調査しますが、高額となる査定システムを導入しなくても、充分に説得力のある査定書を作成するための添付資料としても活用することができます。

電話帳検索 実

https://minorusan.net/

電話帳の掲載情報をデータ検索できるシステムです。

携帯電話の普及に伴い、自宅固定電話は減少傾向にありますが、ご年配の家庭やお子様のいる一般家庭の場合、やはり固定電話の設置は必要とされています。

実際に総務省が行っている令和元年度公表の「通信動向調査」でも、固定電話設置件数は69%と高い水準を維持しています。

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この電話検索システム「実」は、個人情報保護法や色々な観点から2012年以降は更新されていません。

約9年前の掲載情報ですので、正直なところ検索ヒット率はそれほど高くないのですが、連絡先調査を行う際には、最初に試す価値があります。

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私は一般不動産取引業務の他に、不動産コンサルティングを行っています。

その関係上、所在不明案件調査がよくあります。

皆様ご存じの通り、現行では住所移転登記や所有権移転登記は義務ではありません。

そのため調査能力に長けている業者でないと、住所移転登記が実施されていない所有者に行きつくことはできません。

最近、取り扱ったケースに古家付き土地案件がありました。

築年数が経過し、中古住宅として販売するのが困難なことから解体を行い更地にして売却を検討しましたが、隣地から塀が越境している状態です。

のちのちのトラブルに発展する可能性が高いので越境している塀は解体したいのですが、当然として隣地所有者の許可が必要です。

ところが隣家は空き家で、しかも登記簿で調査したところ遠隔地在住です。

そこからまた転居していないとも限りませんので、電話連絡で所在確認をする必要があります。

電話連絡先を調べる場合には104(番号案内)がすぐに頭に浮かびますが、たとえばNTTの場合、1件あたり税込66円(深夜帯は税込165円)など費用がかかりますし、そもそも案内登録をされていないと調査が出来ません。

さらに、登記簿に記載されている住所地から転居して登記を実施していない場合、一般の不動産屋ですとお手上げです。

依頼を受けたケースも同様で、登記簿に記載されている住所から転居して、移転先も連絡先も不明の状態でした。

依頼者は不動産歴20年超の経験豊富な不動産業者です。

このようなケースの場合に弁護士などの士業は、住民票さえ移転されていれば職権調査が可能ですが費用が高くつきますし、色々と制約もあります。

また遠隔地に出張して刑事張りに近隣聞き込み調査するなどの方法もありますが、あまり現実的とは言えません。

このような場合の具体的な調査方法については、後日、別の記事で詳しく説明しますが、この依頼では調査開始から約1時間30分ほどで、運よく所有者の連絡に成功しました。

調査に使用したツールは電話検索システム「実」と、Googleマップ、そしてZENRIN GISパッケージ不動産(ゼンリン地図ネット版_有償)と電話だけです。

全てオフィス内での作業で、無駄な経費は一切使用していません。

その他、知っていると便利なサイト

地震ハザードステーション

https://www.j-shis.bosai.go.jp/

防災科研で公開している全国震動予測地図です。

特に注目したいのは、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率です。

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全国地価マップ

一般社団法人である資産評価システム研究センターで公開しているサイトです。

https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216

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公的価格は国税庁や国交省・地方自治体など、それぞれの管轄サイトで公表していますが、全国地価マップを利用すると知りたい情報がこのサイト一つで調べることができますので、サイトを行き来する手間が省けるといった利点があります。

まとめ

今回ご紹介した他にも水道施設状況や位置指定道路の調査など、従来であれば時間をかけて役所回りをしなければならなかった調査の、かなりの部分がインターネットで調査することが出来ます。

実際に、私の場合も活動拠点である北海道のオフィスにいながら、東京や関西、沖縄など各地域での物件調査依頼を受け対応しています。

地籍測量図や公図も、皆様ご存じの登記情報サービスを駆使すれば問題なく取得出来ますし、遠隔地の現地状況についても撮影時期による誤差はありますがGoogleマップのストリートビューを利用すれば確認することができる時代です。

遠隔地の打ち合わせも、Zoomなどのコミュニケーションツールを利用すれば、問題なく行うことができます。

結局は、システムをどれだけ使いこなすことができるかが、これからますます発展していくだろうグローバルな時代に私たち不動産業者が生き残る唯一の手段だと言えるのかも知れません。

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