【令和3年度 住宅市場動向調査】発表!情報収集の主流はやはりインターネット

令和4年4月26日に令和3年度「住宅市場動向調査」が国土交通省から公表されました。
この調査は個人の住宅建設等に関して及ぼした外部要因などの影響や、資金調達方法などの実態調査ですから不動産市場の今後を予想する上で有効なデータになります。
特に令和3年度調査は新型コロナウイルス感染拡大後の状況を初めて把握した調査になっていますから厳しい時代を生き抜く方法を模索する上で、貴重なデータであると言えるでしょう。

データは国土交通省HP:https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000173.html
から確認できますが、市場動向調査報告書は419Pもあり全体に目を通すだけでも一苦労です。

そこで筆者が参考になると思う部分を抜粋してご紹介します。
データを基にこれからの不動産動向について考察してみましょう。

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住宅市場動向調査とは

調査目的は冒頭で解説した通りですが、調査は平成13年度から毎年実施され今回の調査は21回目になります。
過去のデータも国土交通省のホームページで全て公開されていますから、現在までの流れを分析するのに有効な資料です。
調査対象は、年度により多少、変更があるものの最新版は令和2年度中(令和2年4月1~令和3年3月)に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯で、物件としては注文住宅・分譲住宅・既存(中古)住宅・民間賃貸住宅・リフォーム住宅に分類されています。

住宅市場動向調査

上記の調査票回収数をご覧戴ければお分かりになるように、国土交通省による調査ですから注文住宅で755件・既存住宅で1,074件ものアンケートが回収されており、統計学的な標本誤差は385件とされていますが、各対象で500件以上回収されていますからデータの信頼性は高いと言えるでしょう。
民間調査ではなかなかこうはいきませんから、さすがと言うべきでしょう。

情報収集についてはインターネット利用が他を圧倒

新築関連においては過去5年間のデータと比較しても、注文住宅を除いてはインターネットによる情報収集が他を圧倒しています。

情報収集,インターネット利用者
この傾向は下記グラフの既存(中古)住宅でも同様ですが新築戸建分譲やマンション分譲と比較すると多少、低くなっています。
反面、不動産業者から情報収集しているケースが増加していることから、既存住宅の購入検討者はインターネットを経由して不動産業者と繋がり、その後において不動産営業マンが条件に合致した物件提案するなどの「追客」を行い、結果、成約に至っているケースが多いのではないかと推察されます。

物件に関する情報収集方法
いずれにしてもインターネットが主流であることに違いありませんから「物件力」もさることながら、見やすい・利用しやすいなどを意識して「より多く利用される」システムの構築が重要ではないでしょうか。

住宅が選ばれる理由

注文住宅においては「高気密・高断熱であることを選択理由」とする傾向が5年連続で増加しています。
「高気密・高断熱」は時代の趨勢でもあり、注文住宅に関して大手ハウスメーカーはもとより地域工務店も力を入れている部分です。
営業マンも同業他社との差別化を理解してもうらおうと、自社の住宅に関しての説明に熱弁をふるうからでしょうか。
もっとも注文住宅の検討者は比較的予算が潤沢ですから、住宅展示場などを巡り各社から住宅性能の重要性や性能比較等の説明を受け理解を深めていきますから、結果として選択基準にされているのでしょう。

注文住宅,高気密,高断熱

興味深いのが注文住宅では「高気密・高断熱」が重視されているのに対し同じ新築でも分譲戸建てやマンションの場合にはあまり重視されていない点です。

注文住宅,設備,選択理由分譲戸建,設備,選択理由

新築分譲は「現物売り」ですから、営業マンは性能説明より見た目の特徴、たとえば「立地・価格・デザイン・大きさ」などの説明を重点的に行い、一気呵成に契約締結しているといった営業手法の違いもあるのかも知れません。

住宅,立地・価格・デザイン・大きさ

筆者は自身がハウスメーカーに勤めていた経験もありますが、分譲戸建てやマンションなどの現物を販売する場合には、あまり詳しく住宅性能について説明することが逆効果になることは実感していました。
現物売りの場合には建物の大きさや、使い勝手、メンテナンスなどのフォローアップ体制などについての説明を重視するほうが歩留まりは高くなります。
この傾向は既存住宅になるとさらに顕著に表れており、中古戸建・マンション共に高気密・高断熱を選択理由と回答したのは6%程度で「間取りと広さ」により選ばれています。

設備,選択理由

当然に価格・立地も重視されてはいますが、建物自体に関して言えば間取りと大きさが、購入条件を満たしていることが重要視されているのですから新築分譲・中古戸建・マンションを希望する顧客に物件紹介する場合にはヒアリングを徹底して「希望する間取り・大きさ」の条件を満たしている物件を紹介することにより成約率が高まると言えるのではないでしょうか。

もちろん先程、解説したように予算が重視されているのは下記グラフのとおりです。

中古住宅にした理由

いずれにしても物件種別により、営業トークも含めた説明内容を検討する際に活用できるデータでしょう。

住宅業界へのコロナ禍の影響は?

今回の「住宅市場動向調査」結果で、筆者がもっとも注目したのがこの「顧客の購入に影響を与えた経済的要因」の項目です。
長引くコロナ禍による不景気は不動産市場に少なからぬ影響を与えていますが、顧客はそのような状況下でどのように考え不動産を購入したのかを図る重要なデータであるからです。
この項における設問は以下の通り。

●景気の先行き感
●家計収支の見通し
●地価/住宅の価格相場
●住宅取得時の税制等の行政政策
●金利動向
●従前住宅の売却価格(売却による住み替え世帯)

この経済的要因を年度別に表したのが下記のグラフです。

コロナ,住宅,経済的要因

結果はグラフのとおりですが「景気の先行き感」に対する不安が与えた影響は令和2年から見れば上昇しているものの、調査開始以降、最も不安の高かった平成27年ほどではありません。
とはいえ平成29年から下降していた先行き不透明感が上昇に転じているのですから予断を許しません。

家計収支の見通しに対する不安は調査開始以降、最大となりました。
地価/住宅の価格相場についてですが、基準地価や実勢相場の上昇は皆様ご存じのとおりですが、顧客の不安要素にはなっていません。
この結果をどのように見るか判断の難しいところではありますが、調査対象が「これから購入をしよう」としている方ではなく「すでに購入している」方であることからこそ得られた結果ではないかと考えられます。
購入時に物件価格は重要な選択基準の一つですが、それについて納得し購入しているのでしょうからその結果と見るのが妥当でしょう。

住宅取得時の税制等の行政政策ですが、景気回復に影響を与える「悪法」と指摘された令和4年税制改正大綱により、住宅ローン控除率が引き下げられました。
とはいえ令和元年以降、その影響度は増加していることから購入により得られる「住宅ローン控除」の説明は、営業マンにとって必須だと言えるでしょう。
金利動向による影響は平成28年以降下降していますが、ウクライナ紛争等の影響を受けて加速するインフレにより長期金利の上昇が懸念されています。
短期金利の変動も含め、今後、少なからぬ影響が予測されます。

住宅取得は「初めて」が他を圧倒

住宅取得世帯の取得回数は、「全ての住宅種別で今回が初めて」が他を圧倒しています。

住宅取得世帯,取得回数,今回が初めて
これは調査開始以降の傾向ですから、初めての住宅取得者が私たちにとってのメインターゲットであることは間違いありませんが、分譲マンション・中古住宅に関しては2回目以上との答えた方が30%弱存在しています。
これだけの住み替え層を取りこぼすのは勿体ないことですから、可能な限り傾向を読み取りたいものです。

とはいえ住み替え理由は様々ですから一概に解説することは出来ませんが、データで着目すべきは住み替え先の床面積です。

延べ床面積,住居別
注文住宅・分譲戸建・中古住宅に共通して、従前住宅との比較で「床面積が大幅に広く」なっています。
「多少ではなく大幅」です。
必然的に従前住居が手狭になったことが住み替えの理由になっているだろうと推測できます。

もちろん住み替え理由や予算にもよりますが、提案する物件選択のポイントであると言えるでしょう。
中古マンションにおいては従前住宅と比較すれば床面積が狭くなっていますが、これは中古マンション市場の価格が上昇傾向にあることから、価格や立地・利便性などの条件を満たす別件を探すと床面積で妥協する必要があるからではないかと推測されます。

住宅購入者の年齢層

購入世帯を物件種別と年齢でみると、注文住宅・分譲戸建及びマンション・中古住宅は30歳代が最も多くなっています。
購入者の大半が一次取得者であることを加味しても妥当な年齢であると言えるでしょう。

住宅購入者,年齢層
ただし二次取得者に限って言えば、注文住宅・分譲戸建及びマンション・中古住宅において「60歳代」が最も多くなっています。
これは所有物件の住宅ローンが目減り、もしくは完済しており、それを売却して住み替えを検討できる年齢が「60歳代」であると考えれば合点がいくでしょう。

選ばれている住宅ローンの傾向

まず利用されている金利タイプですが、全国的な傾向として「変動金利が断トツ」です。
この傾向は平成30年を契機として加速的に増加しています。

住宅ローン,金利タイプ
変動金利を選ぶ傾向に物件種別による影響は少なく、注文住宅においては多少、少ないといった程度です。

次に借入期間ですが、注文住宅・分譲戸建やマンションなどの新築は30年以上、中古戸建やマンションは30年未満が多く見られます。

住宅ローン,返済期間

続いて自己資金比率ですが注文住宅や分譲マンションが多少、多い以外は概ね20%程度であることが確認できます。

購入資金,リフォーム資金
次に融資を申し込んで「条件変更もしくは否決」された件数です。
これは私たち不動産業者としても頭の痛い問題ではあるのですが、どれだけ営業努力をして購入意思が得られても決済できなければ意味がありません。
融資承認が得られなければそれまでの営業努力がまったくの無駄になるのですから、早い段階で事前承認などを申し込むなどして、概ねどれだけの融資が受けられるのか判断してから営業をしたいものです。

ですが初対面でいきなり源泉金額や借入金の有無などを聞き取りすれば「あの営業は満足に物件説明もせずお金のことばかり」と嫌われるのがオチです。
長けている営業マンは物件案内をしながら世間話などを交えたテスクロにより、勤務先の属性や勤続年数、ライフスタイルにたいしての拘りなどを聞き出すのですが、融資に関しての話をどのタイミングで切り出すかは悩みどころです。

あくまでも筆者の私見ですが、不動産のプロとしては無駄な営業はできる限りさけることが大切だと考えています。
ですから可能な限り自然に、かつより早く着座してもらい融資も含めての詳細なヒアリングを徹底します。
そのような融資等のヒアリング重要性について考えさせられるデータが下記のグラフです。

希望額融資,断られた経験

このアンケートは「住宅を購入した方」つまり現在は融資を利用している方を対象としていますが、分譲戸建て取得世帯で12.9%、分譲マンション取得世帯で13.1%もの方が過去に希望融資を断られた経験をしているのです。
融資の否決理由が返済負担率なのか他社からの借り入れ等によるものかは定かではありませんが「10人に1人以上」がそのような経験をしているということです。
これから住宅購入を検討する一次取得者予備軍を含めれば、その比率は更に大きくなるでしょう。

まとめ

不動産営業は目を引く物件情報などを掴むことに熱心ですが、今回、解説したような景気動向が与える不動産市況への影響・一次取得者の自己資金比率や年齢層・物件を購入するポイントなどについての情報が公開されているのに、そのような情報を精力的収集し学ぼうとする方は多くありません。
学習意欲という観点でいえば、圧倒的に顧客の方が高いようです。
それもそのはずで不動産営業にとっては「数多くいる顧客の1人」でしかありませんが、顧客にすれば高額な不動産を購入するのですから絶対に失敗したくないとの思いがあるからです。

知識格差は過去の話で、最近では不動産に限らずどのような分野でもインターネットや書籍により情報が得られますから、不勉強な営業マンは「物を知っている顧客」に太刀打ちできないケースが多く見受けられます。
実際に筆者に相談のあったケースでは「全国展開している不動産業者だから相談したのだが、担当の営業マンはこちらの質問に満足に回答することもできず、話をはぐらかせるばかりで心配になって」との趣旨でした。

不動産業界の未来を占う国土交通省や経産省などのWeb会議視聴者も、マスコミなどの報道関係者を除けばほとんどが一般の方です。
投資家にたいし不動産営業を経験したことがある方ならご存じでしょうが、成功している不動産投資家の知識は並大抵ではありません。
各種法律や建築に対しての知識、金融動向は勿論のことエリアごとの居住者嗜好性なども把握しています。
このような傾向は今後はさらに高まりを見せていくでしょう。
私たち不動産業者は積極的に情報を集めて学び、自身の不動産知識やスキルを高めていくことが大切だといえるでしょう。

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