【不動産業界でもChatGPT利用者が急増中】有効な利用方法と業界全体にあたえる影響について《後編》

▼前編の記事はこちら▼

ジェネレーティブAIはここまで進化している

ChatGPTを使いこなすためには何が出来るかを正確に知ることが大切です。

ChatGPTは「ジェネレーティブAI」の一種であり、自然言語処理については現在において最も成功しているモデルの1つだと言われています。

「ジェネレーティブAI(Generative AI)」は人工知能技術の一種で、与えられたデータから新しいデータを生成する技術のことです。

ChatGPTに代表されるテキスト生成のほか、画像・音楽・音声などの生成が可能です。

このようなジェネレーティブAIを利用した技術やサービスを、先進的に利用している海外不動産業界の活用例を幾つか紹介します。

海外の不動産業者ではOpenAIと提携し、自然言語処理技術を活用したマーケティングツールを実装している会社があります。

これはエージェント(不動産営業)が顧客にたいしメッセージを送る際、より大量のパーソナルメッセージを自動生成してくれるツールです。

これによりエージェントは最小の労力でいたれりつくせりの内容を網羅したメッセージを、顧客に送付することができるのです。

差別化に有利に働くのは間違いないでしょう。

メッセージを受け取った顧客は、それが自動生成されたのか、それともエージェントが苦心して作成したのかを判断することはできません。

24時間、質問や相談をすれば論理的でそつのない返信をしてくれる。

「なんて熱心で知識があり、親切な営業マンだ」と思うことでしょう。

次に画像生成などのジェネレーティブAI分野における「restb.ai」を紹介しておきましょう。

このサービスはアメリカやカナダを中心に提供されています。

物件写真や位置情報などの基本データを与えれば、300を超えると言われる物件の特徴を自動記述してくれるというサービスです。

最終的には人の手によりテキストの微調整が必要とはいえ、築浅、大手ハウスメーカーによる建築、人気の〇〇エリアなど、広告表示法違反スレスレのキャッチをわざわざ考えなくても、AIが自動生成してくれるのですから物件資料や広告作成などを手掛ける営業マンの労力が一気に減ることでしょう。

次に紹介するのが、新人営業マンなどにたいしマンツーマンでサポートしてくれるシステムを紹介します。

最近では顧客とのやりとりにLINEを筆頭としたSNSを利用することが多くなりました。

そのやり取り、つまり書き言葉などを学習して相手方の傾向や指向性を分類し、顧客にたいしより効果的な提案を自動生成してくれるサービスを提供しているのが「CYRANO.AI」です。

単純に顧客からの質問にたいし論理的な内容を交えたテキストにして返信するだけであれば、顧客からの質問をコピーアンドペーストして指示テキストとし、ChatGPTにより生成されたテキストを返信することで代用できます。

ですが「CYRANO.AI」の凄いところは、顧客とのやりとりにおいて助言してくれる機能を持っていることです。

例えばやり取りの中で特定の話に及んだ場合、「顧客の話を盛り上げ、ノッテください」などのアドバイをしてくれる。

つまり相手の性格などを分析したうえで次の行動をナビゲートしてくれるのです。

営業マンがコンスタントに実績をあげられるよう一定のレベルまで引き上げるには、相応のトレーニングが必要とされます。

ですがテキストのやり取りに限定されるものの、百戦錬磨の営業マンと同様のやりとりが、入社して数日の新人営業マンでもできてしまう(そもそも対応する人間が営業マンである必要すらないかもしれません)

AIが導く未来

ChatGPTを提供しているOpenAIが一歩先んじてはいますが、GoogleやMicrosoftなどを含めたIT業界が「力」を入れているのが前述したジェネレーティブAIです。

この技術がさらに進めば、既存の社会構造を根本的に覆すとまで言われています。

なんせ有効な交渉方法などにまで言及してくれるのですから、給料ばかり高く仕事ができない上司などは不要になる時代がくるのか知れません。

そのような発展による近未来として筆者の注目しているのが海外取引についてです。

ChatGPTもそうですが、ジェネレーティブAIは多国間言語はもとより国ごとにことなる不動産に関しての法律などについて論理的に分析しテキスト生成することが可能です。

言い換えればそれこそがジェネレーティブAIのもっとも得意とする分野なのです。

本来であれば国ごとの法律を調べるなど事前準備や豊富な経験がなければ契約書の作成業務などを行うことはできませんでしたが、ジェネレーティブAIが進化すればグローバル取引が容易におこなえるようになるでしょう。

一地方の社員2~3名の不動産業者でも、ラスベガスの邸宅を顧客に紹介し契約までも行うことが現実として可能になるのです。

海外のクライアントとのやりとりも基本的な部分はAIが代理し、契約書の作成も購入者が利用する言語で作成してくれます。

当然にことなる他国の法律にも準拠している。

まさに「夢」のような現実が目前まで近づいているのです。

ジェネレーティブAIは少ないサンプルデータからコンテンツを生み出すことができます。

さらに進化すれば人間にしかなしえなかった「考え」そして「計画する」といった「0から1」を生成することが、違和感なくできるようになっていくでしょう。

現在、日本の不動産業者でもシナリオ(ルールベース)型チャットボットは広く採用されています。

これはあらかじめ設定しておいたシナリオにそって会話を行うもので、現在でもマーケティング支援や問い合わせ、資料請求などへ自動に誘導する目的として活用されています。

問題は設定外の質問などには対応できないことで、その場合には担当のオペレーターなどによる有人対応が必要になることです。

最近は自然言語処理技術の進歩により、シナリオ(ルールベース)型チャットボットも少しずつ進化を続けていますが、ChatGPTなど自動生成AIがさらに発展すれば、有人対応など必要なくなるでしょう。

顧客が担当営業マンと対話(文字情報のやりとり)していると思い込むような自然さで、要望や予算に基づいた物件提案を受け、資金相談を行い、住宅を購入する場合の疑問や不安に対応してくれるのです。

当然に、芸業マンのストレスになるクレーム対応などにも応じてくれるでしょう。

このような未来が現実になるのもそう遠い日のことではないのです。

AIが人間を駆逐するは本当か?

今回はChatGPTを中心として基本的な利用方法からきたるべき未来などについて解説しました。

お読みいただければ分かるとおり、ジェネレーティブAIは驚くべきスピードで進化を続けています。

そこで心配になるのが、「このままAI技術が発展すれば不動産業界において営業マンは不要になるのでは?」という不安ですが、心配する必要はありません。

オープンソースを利用して論理的に思考できるとはいっても、AIには倫理観もなければ感情もありません。

感情の微妙な揺らぎなど、人間ならではの非論理的な思考に即応することはできないからです。

顧客の顔色を見る。無口になった時の反応や、微妙な目配せなどで相手の思考を読み取るのは営業マンの経験などにより培われたもので、こればかりはAIが真似ることができません。

いわゆる「勘働き」、つまり「ものごとの意味やよしあしを、理屈ではなく直感的に判断する」能力は、人間ならではのものです。

経験や知識のある営業マンは往々にしてこの「勘働き」が鋭く、実際それにより数多くの実績をあげます。

ですがそれ以外の部分。従来は営業マンの仕事とされてきた資料作成や契約書の作成、メール対応などについては論理的に思考し、不平不満も言わず24時間働き続けるAIに太刀打ちできる道理はありません。

業務が効率化され人手が不要になれば、実績をあげられない営業マンから淘汰されていくでしょう。

「AIが人間を駆逐する」との言い回しを耳にしたことがあるかと思いますが、その根拠は前述したような理由によるものです。

ためしにChatGPTに「AIが人間を駆逐するとはどのような意味ですか?」と質問したところ、下記のような回答が得られました。

前述したように、これまで人間が行ってきたルーチンワークや労働集約的な業務が自動化されることにより、その分野で働いていた人が職をうしなうと指摘しています。

ですが「お互いの得意分野を生かしてより豊かな社会を実現することが望まれる」ともしています。

これまで解説してきたように、ChatGPTを利用しないのはあまりにも勿体ない。

便利なシステムは使い倒すべきです。

張り合うのではなく利用するのです。

AIで可能な分野についてはある程度まかせてしまい、人間でなければできない部分において生産性を向上させ業績を発展させるにはどうすべきかという発想を持つべきなのです。

まとめ

ルーティンワークの多くがAIに取って代わられる日はそう遠くない未来におこり、それにより人的資源は削減されるでしょう。

特に不動産業界などのサービス業は人件費と販売管理費が高い業態ですから、業績が維持できるのなら可能な限り減らしたいと思うのが企業の本音です。

不動産DXについて言えば、企業が導入を検討する理由は業務効率化です。

業務が効率化されれば営業マンの時間が空き営業に専念する時間が増える。

結果として業績があがるだろうという目論見があるからなのです。

空いた時間が営業活動にあてられれば、「成果は労力に比例する」と言われるとおり実績があがるはずなのですが、なかなかそう上手くはいかないようです。空き時間が浪費されることも多いからです。

結局のところ、空いた時間を有効活用させるためにはマネジメントの改善や教育研修を充実させるなど営業活動を効果的におこなわせるための手間が必要とされるのです。

ですが競争の厳しい時代、空き時間を自ら活用できない営業マンを雇用しておくほど企業も余裕はありません。

ましてやジェネレーティブAIが進化すれば「営業マンでなければ手出しできない」分野のルーティンワークなどほとんどなくなります。

業務効率化により空いた時間を同僚との無駄話やネットサーフィンなどに使うのか、それとも自身の知識や知見を拡充するため「学び」の時間に利用する、もしくは新しい企画を練るのに利用するかは人それぞれでしょう。

ですがその努力こそが、生き残れるかどうかの明暗を分けるのでしょう。

人間が持ち、ジェネレーティブAIが持つことのできない能力が「独創性」です。

AIはあくまでも事前に学習したデータに基づいて処理をする技術に過ぎませんから、自発的に創造的なアイディアを生み出すことはできません。

「独創性」を生み出すためには好奇心や探究心を持ち、幅広い知識を学びながら経験を積み重ね、幅広い見識により多角的な視点をもつことが必要です。

「ジェネレーティブAIの発展により仕事を奪われるかも」などと考えるより先に、便利なシステムであれば使いこなし、より自身を高めていくというポジティブな発想が大切だと言えるのでしょう。

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