【不動産業の離職率はやはり高い?】経営者なら知っておきたい、定着率を引き上げるための方法

厚生労働省が公開している令和4年度の雇用動向調査結果を見ると、不動産業(物品賃貸業含む)の入職率は18.4%それに対する離職率は13.8%となっています。

数字だけでは分かりにくいのですが、コロナ禍による業務抑制で離職率が高まった宿泊飲食や生活関連サービスほどではありませんが、産業別で第4位と高い水準になっています。

産業別入職率・離職率

最近は多少、改善されましたが不動産業はブラック企業であるとのイメージが完全に払拭された訳ではありません。

大手では労働時間の見直しやコンプライアンス強化などにより、「不動産業=ブラック」のイメージを払拭する努力を重ねているようですが、不動産業の多くは社員10人以下の小規模です。

労働基準法を真摯に遵守している状態では、なかなかに業績を上げるのは厳しい。

それ以前に、営業個人としても相応の無理をしなければ、ノルマや目標を達成できないのが実情です。

不動産営業にブラックなイメージが付きまとうのは、一般的には以下のようなイメージがあるからではないでしょうか?

1. 定休が平日で、土日が仕事の場合が多い。
2. クレーム産業で精神的な負担も大きい。
3. 勤務時間が不規則である。
4. 有給休暇などが認められず、福利厚生についても充実していない。
5. 給与の大半が歩合給で基本給が驚くほど安い。

もっとも、これらはイメージではなく実際にそうである場合も多いでしょう。

不動産業の経営者などと話すと、社員の定着率に話題が及ぶことがあります。

優秀な人材が採用できないなどの悩みは定番ですが、最近では募集広告を出しても反応がないと悩んでいる方が多いようです。

入所率は低いのに、離職率が高い。まさに雇用動向調査の結果が反映されている状態です。

不動産業の売上は、ある部分で営業個人のスキルに依存していることが多く、歩留まりの高い営業マンの離職は、少数精鋭で事業展開しなければならない業者にとって死活問題です。

今回は、離職率を下げるにはどのような手法が有効なのかについて解説したいと思います。

優秀な人材は入社してこないと考えるぐらいで丁度よい

多額の費用を投じヘッドハンティングする場合は別なのでしょうが、一般的な募集広告で優秀な人材が採用できる可能性は低いでしょう。

残念な話ではありますが、不動産業界のブラックイメージは未だ払拭された訳ではありません。

業界内を渡り歩いている癖のある営業マン、もしくは一攫千金を狙う初心者、選択肢が少なくとりあえずどこでも良いとばかりに応募してくる方々が多いのではないでしょうか?

「優秀な営業マンに心当たりがあれば紹介してください」と依頼される場合も多いのですが、売上をコンスタントに上げクレームも少ないやり手は、よほどの好条件でも示さない限り移籍など考えないでしょう。

だったらどうするか?

育てるしかありません。

不動産業界はとかく人材採用と、初心者を成長させるためのトレーニングについておざなりにしていることが多いものです。

人数的な制約もあるでしょうから、教育訓練などに割く時間も捻出することが難しく勢い、先輩格の指導役に丸投げしてしまう。

相性などによってはその方法が成功する場合もあるでしょうが、その可能性は低いでしょう。

そこで経営者自ら心機一転し、①優秀な不動産営業を採用するための戦略②営業マンを成長させるためのトレーニングプログラムの設計と実施③モチベーション維持に必要な継続的活動の実践、これらについて考える必要があるでしょう。

もっとも多忙な合間を縫って、これらのことを一から考えるのも難しいでしよう。

そのような場合には外部講師の招聘や教育訓練プログラムの導入など、アウトソーシングするのが効率も良いでしょう。

離職率が高いから、余計な費用を投じるのは勿体ないなどと考えず、社員の能力向上が会社の実績に直結すると考えましょう。

ただし、何を採用すれば効果が見込まれるかは未知数です。

採用を検討するサービスは充分に吟味する必要があると言えるでしょう。

労働環境の改善

世間では「働き方改革関連法」によって生じる様々な問題を総称し、「2024年問題」として取り上げ話題になっています。

とくに運送や建設・医療業界に与える影響が甚大とされています。

労働基準法

労働基準法では原則として1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させることはできません。

ただし労使において時間外労働協定(36協定)を締結している場合には、それを行政官庁に届出た場合には時間外労働や法定の休日における労働が認められています。

ですが36協定を締結し、それに基づき時間外労働を指示して残業手当を支給している不動産会社はおそらく少数でしょう。

就業規則や36協定は、本来であれば周知のため見えやすい場所に提示、もしくは備え付けるほか、書面などで労働者に交付することが求められていますが、実態としてはキャビネットの奥にしまい込み、従業者が簡単には確認できない状態のほうが多いのではないでしょうか?

筆者が会合などで、若手の不動産営業マンなどにこの手の質問をすると「就業規則なんか見たことがありません」と返答されることがほとんどです。

そのような会社では、自己に都合よく解釈した「なんちゃってフレックス」やみなし労働時間制により業務に従事させている傾向が高いようです。

従業者から有給を求められた場合に理由を聞き、納得できなければ認めないなんてもの、労働基準法からすれば違法行為です。そもそも有給申請は労働者の権利ですから、それを行使するのに理由を述べる必要などありません。

筆者が昔に勤務していた会社では「ウチは有給休暇なんてないし、認めないから!」と平然と言っていたほどです。

実際問題として、不動産業に限らず社員数の少ない会社で労働基準法を遵守していては業務がこなしきれないという実情もあるでしょう。

法律を遵守したからと言って、売上があがる訳でもありません。

過酷な労働時間を強いるかわりとして、売上実績に応じた歩合給を支給するなどしてモチベーションの維持を図るのでしょうが、そのような考え方は今後労働力の主流となるゆとり世代に通用しません。

過酷な労働環境やそれを我慢したことにより得られる高額報酬よりも、ほどほどの仕事量で相応の収入を得られ、休みを正しく取得できることを希望するからです。

教育訓練を施し、せっかく成長した社員が離職しないようにするためには以下のような改善について検討する必要があるでしょう。

  • 勤務時間の見直しや柔軟な勤務体制の導入
  • 福利厚生プログラムの強化と有給休暇の適切な利用促進
  • 精神的な負担を軽減するために必要なカウンセリングなどストレス管理の支援

直接実績に反映される分野ではないのでおざなりにされがちですが、これらを改善することにより従業者の業務効率も上がり、定着率は向上するでしょう。

歩合と基本給のバランス

不動産営業は売上をあげてナンボですから、どんなに努力を重ねたと主張しても実績がなければ評価できません。

これはいたしかたがない側面もあります。

実力が伴えば数カ月先を見越して創客・追客のバランスをとってコンスタントに成果を上げることもできるでしょうが、それは実力があるから可能であって、成長過程の方が真似できるものではありません。

結局のところ焼き畑農業的に新規客依存の状態となりますから、反響の割当数や相性・運などにより業績は上昇と下降の差が著しいことになります。

売上があがらない月はコンビニで働いたほうが時間給も高いとため息をつく営業マンの話はよく耳にしますが、浮き沈みが激しい状態を放置していては定着率も安定しません。

そこで検討したいのが

①安定した収入を確保するために必要な基本給の見直し
②売上目標に即したインセンティブ制度の設計

この2つの改善は驚くほど効果が高いとされています。

クライアントの満足向上

離職理由には、度重なるクレームによりメンタル面に支障をきたしたことが原因となる場合もあります。

どの業種でもクレームは存在しますが、多くはパーソナルな関係を構築して担当する不動産営業の場合、関係性がこじれ問題が生じると電話やメール・SNSなどにより頻繁にクレームが寄せられることがあります。

初期段階は個人対応しているのでしょうが、解決を誤れば問題が大きくなり、上席に報告した時点では収捨がつかないほど大事になっているケースもあります。

大概のクレームは、初動の対応を間違えず適切に処理すれば速やかに収まるものです。

そこで営業マン個人が問題を抱え込んでしまうことがないよう、報告をしやすい環境を構築するなど、クレーム予防と適切な対応策について制度化しておくことが必要です。

また信頼関係が構築されそれが維持されている状態においては、問題が発生しても大事になる可能性は低いでしょう。

企業としては体制の構築、営業個人としては信頼関係の維持を継続することにより顧客満足度が向上し、クレームがその原因であるメンタル面による離職率を低減させることができるでしょう。

成功事例から学ぶ

顧客の嗜好性や平均予算などは時代により変化しています。

それはデザインや見た目重視から、性能・機能面を選択基準にする方が増加している傾向を見ても一目瞭然でしょう。

商品を提供する側としては、常に情報を刷新し、経験則も含め時代を先取りした方法を検討する必要があります。

これが所謂時代に取り残されないための手段です。

例えば、話題になっているChatGPTなどの生成AIは、不動産業との親和性がとても高いものです。

間取りや画像、文章生成などの分野を手助けする様々なアプリが開発されています。

開発されたアプリを導入するには相応の費用が必要となりますから、採用前には充分に吟味する必要があるでしょうが、大本であるChatGPTは基本システム無料で利用できます。

導入費用も必要ないのですから、存分に使い倒せば良い。

ですが筆者の周りを見回すと、生成AIを利用したことがあるという方は多数いますが、継続して利用しそれなりに使いこなしているという方は少数です。

その理由は提供される情報の信憑性を始めとして「どのようにビジネスに活用すれば良いのか分からない」、「思ったほど約にたたない」、「質問をしても的はずれな回答ばかりする」など様々です。

ですが情報の信頼性に欠けるなどの欠点を理解しつつ使いこなせば、不動産業においてこれほど使えるツールはありません。

これに限らずではありますが、どのような秀逸なシステムを導入しても使いこなせなければ意味がありません。有効に活用するためには相違工夫が必要とされます。

そのためには競合他社の成功事例を積極的に学ぶと同時に、例えば不動産会社のミカタから無償提供されている「役所調査のミカタ」など、導入コストが必要のない無償アプリなどを積極的に活用し、業務効率を引き上げることです。

数多提供されているシステムは、ミスを軽減し労力を低減させ業務効率を引き上げることを目的としています。

自社に適したシステムを積極的に導入し、業務効率を引き上げることにより時間が生み出され、それを有効に配分・活用することにより勤務時間が不規則だと言われる就業体制を改善できるでしょう。

まとめ

不動産会社の多くは、営業個人に依存するスタイルです。

自ら創客を行い、コンスタントに実績を上げ続ける優秀な営業マンが揃っていれば、業績は安定するでしょう。

ですが、優秀な営業マンであるほど自身の力を発揮できる環境か、旧態依然の古い慣習に囚われてはいないか、今後の成長に期待できるかなどを吟味します。

営業力に自信があれば、より働きやすい環境に移籍を考えるも当然で、競合他社も優秀な営業マンを少しでも多く採用したいのが本音ですから受け入れ先も豊富にあります。

筆者が敬愛する某不動産会社の社長は、「営業マンは社長や役職者が馬鹿に見え始めたら辞めていく。だから上に立つ人間は努力を怠らず、自らを成長させ続けなければならない」と公言し、自ら実践していました。

優秀な営業マンは自ら育てる。

また、離職率を下げるには様々な意味合いにおける労働環境の改善を続けていく。

結局のところ、これが営業マンの定着率を引き上げ業績を上げていくために必要な経営努力だと言えるのでしょう。

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