新築住宅の着工棟数が年々減少する一途をたどる中、リフォーム市場は年々活性しており、良質な中古物件が市場に多く流通しています。
背景として大幅な法改正のあった2000年以降に建築された良質な住宅が市場に出回り始めていることが大きいと言えます。
リフォームといえば、水回り設備の老朽化や子供の個室が必要となるタイミングでの間取り変更のニーズは現在も大半を占めています。
また、利便性の高い立地の中古住宅を購入後にリフォームを実施して、新築並みの性能や機能にリフォームした住宅を購入する顧客の割合も特に若い世代に需要が高くなっています。
これは、国土交通省が行った市場動向調査にも表れており、顧客が中古住宅を選んだ理由トップ3が「予算的に手頃」「新築にこだわらない」「リフォームで快適に住めると思ったから」であることからも明らかです。
そこで今回、近年のリフォーム顧客の求めるものやこれからリフォーム集客を伸ばしていきたい工務店にとっての集客手法の解説をいたします。
集客とは?について改めて定義
まず初めに、「集客とは?」について正しく認知する必要があります。
集客とは、自社の商品やサービスの魅力を周知して、顧客に行動を起こさせることです。
ここで重要となるのが、下記の3点です。
● 自社の商品に共感を得られる可能性の高いターゲットに絞った施策を打ち出すこと。
● リフォームに対する熱量を増やす環境を整えること。
● 集客数だけに注目せず、リフォーム施工へ結びつく確率の高い顧客を増やすこと。
上記3点を集中して考え抜いて、自社ならではの「尖り」を創出することが重要です。
リフォーム検討客の心理状況別の対策
リフォーム顧客が求めるものとは何か?については顧客の心理状況に合わせた「段階」ごとの対策を講じることが必要です。
心理状況別の段階は、下記のように分けられます。
① 今すぐ具体的なリフォーム計画を検討したい顧客
② 近いうち(6ヶ月以内)に計画を具体化する予定の顧客
③ いつかはリフォームが必要だと考えている顧客
④ 興味はあるが、具体的な計画はない顧客
⑤ 具体的計画を進めていたが何らかの理由で中断した顧客
⑥ 既にリフォームが済んでいるOB客
⑦ 建替断念顧客
それぞれの段階にいる顧客に対して、重点を置いてアピールするべきポイントは下記の通りです。
① 今すぐ具体的なリフォーム計画を検討したい顧客
この段階の顧客の割合は全体の1%未満といわれているので、集客のメインターゲットとするにはターゲットが少なすぎます。
それに加えて、既に他社と商談を始めている場合、自社のブランディングへの十分な理解を得られないまま、価格競争に巻き込まれる可能性もあります。
そのため、集客施策は②~④の顧客をターゲットとして組み立てましょう。
②近いうち(6ヶ月以内)に計画を具体化する予定の顧客
ブランディングへの共感、ファン化の成功、信頼関係の構築をメインに考えます。
具体的な計画に取り組むための仕掛け作りによっては、時期の前倒しも見込めます。
③いつかはリフォームが必要だと考えている顧客
自社について知ってもらうこと、商品への興味を持たせること、ブランディングへの共感、タイミングが来た時に声掛けされる関係の樹立をメインに考えます。
④興味はあるが、具体的な計画はない顧客
自社について知ってもらうこと、ブランディングへの共感、現状より使いやすさや満足度を上げるリフォームへのあこがれを持たせることをメインに考えます。
多くの顧客と信頼関係が構築され、いつかリフォームする時に声掛けされる存在となることは、安定したビジネスを継続するためにとても重要です。
⑤具体的計画を進めていたが何らかの理由で中断した顧客
中断理由にもよりますが、何らかの要因で見込み客へ再浮上する可能性も多くあります。
フォローを絶やさず、現状確認やニーズの変化をキャッチして、再始動のタイミングを見逃さないようにしましょう。
⑥既にリフォームが済んでいるOB客
アフターフォローを継続して行って、満足度を保ち続けられれば、リピート利用、口コミ発信、紹介、オーナーインタビューや施工写真掲載の協力など、力強い味方とすることも可能です。
⑦建替断念顧客
新築住宅へ建替を検討していたけれど、資金的に折り合いがつかず断念した顧客はリフォームへの方向転換を進めましょう。
住宅における優先順位やニーズ、資金計画が明らかになっており、信頼関係もできています。
顧客の期待に沿った提案をするだけで、最も成約が近い存在となります。
具体的な集客施策
特に近年のリフォーム検討客のターゲット層はWEBやSNSの利用頻度も高まっており、従来のアナログ集客方法だけでは十分な集客ができない状況になりつつあります。
現況の最適な集客施策はアナログ集客とオンライン集客をうまく組み合わせることです。
従来通りのアナログ集客に合わせて、ターゲット層の変化に対応したオンライン集客を取り入れていきましょう。
従来のアナログ集客別の特徴や概算コスト
アナログ集客のメリット・・・幅広い世代から信頼を得やすいこと
アナログ集客の問題点・・・大きなコストが掛かること、広告の効果測定が難しいこと
チラシ
流し読みされることを前提に考えることが大切です。
パッと見て理解できる構成や目に留まるキャッチコピーを掲載します。
一瞬で捨てられることを防止するために「チラシ持参で粗品進呈」「ペーパークラフトで楽しめる」など、とりあえず手元に残させるような工夫をしましょう。シニア層はチラシから情報収集していることも多いようです。
概算コスト:デザイン印刷外注1,000枚で5万円程度 折り込み費用は一部3~5円
ポスティング
近所で現場見学会をする場合、開催のあいさつ回りも兼ねてチラシを手渡しすると効果的です。
概算コスト:デザインを自社で行う場合は、コピー代と人件費のみ
展示会出展
リフォームに興味のある顧客が集まるので大量集客可能ですが、競合他社に埋もれやすいので、ブランディングに合わせたブース作りに力を入れましょう。
概算コスト:出展料20万~数百万+ブース作成費用10万~50万
(出展料は、展示会の規模や集客数 ブースの位置によって開きあり)
新聞雑誌広告
「新聞に載っていた会社」となることは、ネットを使わないシニア層に安心を与えられるブランディングとなります。
多くの人の目に社名を触れさせることが可能です。
概算コスト:記事下部の1段広告で10~15万 地方限定広告の場合5段×1/2で100万
雑誌広告
ターゲット層にあわせた内容やテイストの雑誌の選定が重要です。
概算コスト:カラー1ページで10~20万円
無料セミナーやイベント
興味関心を盛った顧客を数十人集めて行うので、商談につながる可能性も多くあります。
数回連続で行う勉強会形式の場合は、来場を繰り返すたびに警戒心を減らすことができます。
内容や外部講師の有無、開催場所によって、コストに差があります。
概算コスト:30~100万円
紹介
第三者の信用がプラスされるので、集客当初より警戒心が少ない状態のため、商談につながる可能性も大きいです。
OB客にとって満足度が高まっているタイミングに紹介が増える傾向にあります。
契約直後や工事完了直後は紹介が出やすいので、紹介システムを整備して、きちんと紹介者特典や被紹介者特典を顧客に伝えることが大切です。
特典内容は、成約時だけでなく紹介獲得時にも紹介者、被紹介者ともにメリットを得られるようにすると紹介のハードルが下がります。時期未定の顧客を気軽に紹介いただける関係性を多くのOB客と保ち続けることが大切です。
概算コスト:0~500万円(特典内容による)
オンライン集客別の特徴や概算コスト
オンライン集客のメリット・・・コストが抑えられる・訪問数や閲覧ページ、滞在時間を解析可能のため、顧客の興味関心がどこにあるかを分析して次のコンテンツ作りに生かすことができる
一度、良質なコンセプトを揃えられば、その後も自動的に集客に生かされる
オンライン集客の問題点・・・インターネットを利用しないターゲット層に届けることができない
SNS利用
自社のアカウントを開設し情報を発信することは、中長期的な取組としてファンを増やすことに向いています。
こまめな発信頻度とブランディングをブレさせないことが重要です。
概算コスト:人件費のみ
SNS広告
拡散力の高さが魅力で、シェアしたいと思われる内容であればどんどん拡散されていきます。
概算コスト:
Twitter→クリック課金 1クリック30円~200円 インプレッション課金 1,000回ごとに400円~650円
Instagram→クリック課金 1クリック 40円~100円 インプレッション課金 1,000回ごとに500円~1,000円
WEBサイト
徹底的に顧客目線に立って、サイト訪問後にどのような経路でサイト内を回るかを想定しましょう。
スムーズに必要とする情報に辿り着けるようなデザインとページ設定が大切です。
コンテンツを確認した後、自然に目に入る位置に顧客による行動(資料請求や問い合わせ、予約受付など)を促すボタンを配置します。
概算コスト:デザインや運営を外注するか社内でやるかによって幅があります
オウンドメディア
ブログのようにコンテンツを増やしていくことができます。
他の関連ページも同時に閲覧させる仕組み、検索機能やタグ付けなど欲しい情報を見つけるための仕組みを作りましょう。
概算コスト:人件費のみ
リスティング広告
検索サイトで、検索結果に連動して表示される広告です。
クリックされると課金されるシステムで、興味関心の高いユーザーに向けて届けられ、無駄な経費が必要ありません。
概算コスト:1クリック 10円~500円 月に30万円ほどが一般的といわれています。
バナー広告
誰にでも表示されるので、社名を広く周知するには向いています。
概算コスト:載せる媒体によって幅があります。
クリック課金方式、インプレッション方式、月額制など様々な方式があります。
まとめ
今回の記事では近年のリフォーム集客方法のポイントと具体的な手法による概算コストや概算コストについて説明しました。
自社のターゲットを分析して、そのターゲットにピンポイントに届くような施策の検討が必要です。
費用対効果を考慮の上、参考とできる施策を見つけていただければ幸いです。