私道に接する宅地でのトラブルを解説|所有権がないとさらにリスクが高くになる

私道に接する物件には多くのリスクがあるため、公道に接する家と同じ内容で物件説明をしてしまうと、売却後に契約不適合として損害賠償を請求される可能性があります。

こうしたトラブルを回避するために、私道に接する物件のリスクをしっかりと把握しておきましょう。

また、所有権のない私道における問題点についても解説をしていきます。

私道に存在するリスクとは

私道に接する家は、近隣の公道に接する家の70%程度の価格で取引されます。これは、私道のみに接する物件が様々なリスクを抱えていることに起因しています。私道に接する物件の仲介に際しては、こうしたリスクを買主に説明をしておかないと売却後のトラブルを招きかねません。

それでは、私道に接道する家にはどのようなリスクがあるのか解説をしていきましょう。

路上駐車を取り締まれない

道路交通法2条1号では「道路」の定義を「一般交通の用に供するその他の場所」としています。たとえ私道であっても、公道から公道に通じるものであれば、不特定の人や車が自由に通行できる状態になっているので、道路交通法の道路として取り扱われます。

しかし、行き止まりの私道だと、特定の人しか利用しない空間であることから、道路交通法上の道路には該当しません。このため路上駐車をしていても、警察が駐車禁止で取り締まることができないのです。

さらに、所有権のない私道では、三角コーンを置いて路上駐車を防ぐといった防衛策を講じることもできません。

なお、路上駐車には、車庫法が適用されることがあります。この法律では、昼間であれば12時間以上、夜間であれば8時間以上、路上駐車をすることが禁じられています。しかし、そのためには、長時間駐車していることを示す写真などの証拠が必要であり、かつレッカーによる強制移動ができないため、ほとんど期待する効果を得ることはできません。

工事ができないことがある

行き止まりの私道では、住民以外の車が通行する場合、原則として道路所有者全員の承諾が必要になります。ただし、宅配便やタクシーなどの一過性の車両は、大きな支障がないことから、黙認という形で通行が可能です。

しかし、建て替え工事やリフォーム工事を行なうようなケースだと、長期間にわたって工事車両が出入りすることになるため、所有権のない私道を利用する場合には、所有者のうち一人でも強硬な反対をすれば、工事車両が出入りできないことがあります。

また、上下水道やガスの引き込みのための掘削については、私道の所有者全員の承諾が必要になります。

掘削承諾については、「ライフラインの引き込みで他人が所有する私道を掘削できる?」の記事を参考にしてください。

廃棄物が放置されたままになる

公道に壊れた自転車などの廃棄物が放置されていると、道路管理者である土木事務所が撤去をしてくれます。しかし、私道に放置された廃棄物は、役所で対応してくれないために、私道所有者が自ら撤去処分をする必要があります。

道路の陥没は所有者が補修をする

何らかの事情で道路が陥没した場合、これを補修しようと思えば所有者自らが行う必要があります。共有の場合は、所有者全員が同意して持分に応じて工事費を負担することになりますが、一人でも反対する人がいれば、補修をすることができません。

電柱の移動が困難

購入した物件で、車の出入りに支障がある電柱を別の位置に移動させたいと考えても、移動先の私道所有者全員の承諾がないと、これを実現することはできません。このため、他人の敷地の前に電柱を移動させるような計画は、ほぼ実現しないと考えた方がいいでしょう。

配管工事の補助金が受けられないことがある

配管工事や道路復旧に関しては市区町村の補助金が受けられます。しかし、私道所有者の中に一人でも税金を滞納している人がいると、補助金を受けることができません。

ローカルルールが制定されていることがある

行き止まりの私道の場合、ひとつの団地の結束が固いことがあり、たとえば行き止まりの私道を子どもの遊び場として活用するために「一切の車の通行を認めない」とか「自宅にマイカーを停めない」といったルールを暗黙のうちに築き上げていることがあります。

こうしたケースでは、買主がカーポートを作ってしまうことでトラブルに発展することもあります。

法律の位置づけがない私道は不安定

私道の中でも位置指定道路や二項道路のように建築基準法の裏付けがあるものは、これに接道している家がある限り廃止されることはありません。しかし、法律の裏付けのない私道は、単なる私有地に過ぎないため、ある日突然宅地の一角に取り込まれてしまうことがあります。

まとめ

私道においては、所有者全員の承諾や同意が不可欠である行為が、実に多くあります。

問題になるのは承認を得られないケースですが、それでも所有者が近隣に居住しているかぎり、説得により解決の糸口を見つけることができます。

やっかいなのは、元の所有者の死亡により相続されているようなケースです。現在の所有者が遠方に居住していることや複数の相続人が散在しているといったことから、問題の解決に手間を要することがあります。

このため、私道に接する物件を仲介する際は、共有者の所在地を確認することが基本になります。また相続物件の場合、登記の変更が行われていないことがありますから、実際に相続した人の氏名と住所を調査が必要になることがあります。

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