新型コロナウイルスの感染拡大・緊急事態宣言を受け、物件のダブつきに頭を悩ませている管理会社は少なくありません。
このまま、空室状態が続いてしまったら…と不安に思っているという担当者も多いでしょう。
そこで今回は、予算がほとんどなくてもできる賃貸モデルルームの作り方について、現場担当者に話を聞きました。
賃貸モデルルームを作るべき3つの理由
売買に比べ、賃貸でモデルルームを作るのは一般的ではありません。賃貸は売買に比べて利益が少なく、また、成約までのスパンが短いことなどが理由です。
しかし、賃貸であっても、モデルルームを作るメリットはあります。理由を踏まえて、詳しくご説明していきたいと思います。
類似・競合物件と大きな差別化ができる
賃貸物件でモデルルームを作っている管理会社は、ほとんどありません。そのため、多少なりともモデルルームのように見せることによって、類似・競合物件と大きな差別化ができると考えられます。
モデルルームとは言っても、売買物件や新築物件のように、全部屋を完璧に仕上げる必要はありません。そもそも、類似・競合物件が「ゼロ」ベースの状態ですので、「1」以上を目指すだけでも十分に「競争優位性」が生まれると考えられます。
第一印象がアップする
「メラビアンの法則」によれば、人が第一印象を決める時間は3~5秒とされています。
これらを物件案内に当てはめた場合、部屋のドアを開けて3~5秒の間に目に入る物をモデルルーム仕様にするだけで、第一印象をアップすることができると考えられます。
お客様に入居後の生活をイメージしてもらいやすい
モデルルームは、その名の通り、「住戸の見本」です。実際の暮らしを意識したモデルルームを作ることで、引き渡し後の生活をイメージしてもらいやすくなり、成約率のアップに繋がります。
とは言え、賃貸物件の場合は、売買物件や新築物件のように、充実した設備や豪華な家具・インテリアなどは必要ありません。一般家庭に置かれているようなリビングテーブルセットで置いておくだけでも、何もない状態と比べれば、モデルルームとしての役割は十分に果たしてくれます。
予算がほとんどなくてもできる賃貸モデルルームの作り方
それでは早速、賃貸モデルルームの作り方を見ていきましょう。予算がほとんどなくても、できることはたくさんあります。以下、例になりますので、ぜひ参考にしてみてください。
予算がほとんどなくてもとりあえずできること
玄関に生花やアロマを置く
賃貸物件の玄関、シューズボックスの上に生花を飾り、明るく爽やかな部屋の雰囲気を演出します。生花のみずみずしさや華やかさは、お客様の賃貸物件に対する第一印象を格段にアップさせ、イメージアップにも効果的です。
生花が手に入らなかったり予算的に難しかったりする場合は、造花でも代替することができます。このような場合は、アロマディフューザーで香りをプラスするなどの工夫をすることで、生花のイメージに近付けることをおすすめしています。
女性のお客様は年齢に問わず花好きの方が多く、一人暮らしを予定している方やカップルなどに好評です。
電球を「昼光色」から「電球色」に変える
賃貸物件の玄関の電球を、青白っぽい「昼光色」から赤みのある「電球色」に変えます。
昼光色の方が明るさはありますが、物件自体も青白く見えてしまうため、どこか寒々しい印象になってしまう恐れがあります。
赤みのある電球色に変えることで、部屋全体にあたたかみを感じさせ、リラックスした雰囲気へと変化させることができます。
残置物を有効活用する
物件退去時の立ち会いで、残置物の対応に困ってしまうこと、ありませんか? 本来であれば入居者が処分しなければならないにも関わらず、「まだきれいなので」とか「買って間もないから」などと言う理由で、「よろしければ使ってください」と言われてしまうケースはあることでしょう。
契約書に則って、「入居者様の方で処分してくだい」と言うことは、簡単にできます。また、入居者様からお金を預かって管理会社の方で処分したり、オーナーの許可を貰ってそのまま置いておいたりすることもできるでしょう。
しかし、通常使用に問題がないものであればストックしておき、モデルルームのレイアウト用として有効活用するのもおすすめです。
実際に、リビングテーブルセットや照明などは汎用性が高く、モデルルーム作りに重宝します。
限られた予算内でやるべき優先順位
モデルルームを作る際には、「宣伝広告費」として、オーナー様に負担をお願いすることもできるでしょう。しかし、ダブついている物件の場合、金銭的な負担を負いたくないのは、オーナー様も同じです。
そこで、限られた予算内でもモデルルームを作るために、やるべき優先順位を以下にまとめました。
照明(電球)
照明であれば、電球を数百円から購入することができるため、最低限の予算でも対応が可能です。
ちなみに、照明が必要なのは、「物件案内時のみ」です。案内時だけ電球を取り替えるようにすれば、1つ買うだけで暫くの間、複数の物件で使い回すことができ、コストパフォーマンスもアップします。
玄関(生花)
物件の第一印象を大きく左右する生花は、費用対効果が大きく、やるべき優先順位は上位になります。
飾る生花で大事なのは、「本物」ということです。スーパーやホームセンターなどで販売されているような安価な物でも、見た目が美しく、鮮度が高ければ問題ありません。
物件案内終了後、使い終わった生花は事務所の入口などに飾ることもでき、決して無駄にはなりません。
リビング
照明や玄関以外にも余裕がある場合は、ぜひ、リビングのモデルルームにも力を入れてみましょう。
残置物を有効活用することができれば、そこまで予算をかけずに雰囲気作りをすることができます。
リビングテーブルセットに100均で売っているテーブルクロスをかけるだけでも、生活感を演出することができます。
覚えておくと役立つ小技
実際に、現場担当者が実践している「役立つ小技」を以下にご紹介します。覚えておくと、色々な場面で役立ちますよ! ぜひ、参考にしてみてください。
内見直前に準備する
小物はすべて、内見直前にレイアウトしましょう。
特に、生花の場合は、温度によって劣化してしまう恐れがあるため、注意が必要です。
これから夏にかけて、エアコンが効いていない室内の温度はどんどん上がっていきます。そのような環境でも、生花のみずみずしさを維持できるように、時間の管理には気を付けましょう。
100均のアイテムを活用する
生花や造花を生ける花瓶、ペーパーボックスなどの、“おしゃれ見え”するアイテムは、100均で揃えるのがおすすめです。
花瓶は、華美な装飾が施されているものよりもシンプルな方が花そのものを引き立て、センスアップが図れます。花を一輪差しするのもおしゃれですし、最近ではユーカリなどの枝葉を切って生けるのもトレンドになっています。
また、インテリアとしてペーパーボックスをさり気なくレイアウトするのもこなれ感が出て、室内の雰囲気がアップします。ペーパーボックスは軽く、折り畳んで持ち運ぶのも簡単なので、重宝します。
空室を有効活用し、残置物をストックする
同一物件で複数の部屋が空室の場合、予算の関係で全ての部屋を同時に現状復帰するのが難しい時、ありますよね。このような時は割り切って、一部屋をストックルームにし、使えそうな残置物をストックする方法も。
大きな家具や家電は管理や移動にコストがかかり、余計な負担がかかってしまうこともあります。残置物をストックする際は、これらのコストも意識して、物の取捨選択を行いましょう。
賃貸物件をモデルルームにして稼働率アップを目指そう!
閑散期で時間にゆとりのある今は、賃貸物件のモデルルームを作る絶好のチャンスです。
今すぐ案内できるお客様がいなくても、問い合わせが入った時にすぐに対応できるように、物品の確認や仕入先のチェックなどをしておくことも重要です。
また、すぐに問い合わせがなかったとしても、成約率向上の為の努力をオーナーに報告すれば、喜んでいただけますので決して無駄にはなりません。
賃貸物件の稼働率をアップするために、早速、できそうなことから準備を初めてみましょう!