不動産の取引では、土地の境界線を正確に把握することが、トラブルのない取引の重要なポイントのひとつでしょう。
そこで今回は、境界石・鋲について、その種類や見るポイントなどについて紹介していきます。
境界石とは
境界石とは、隣接する土地の境界がどのラインにあるかを示している標識です。「石」と言われていますが、実際にはコンクリートや金属、プラスチックなどで鋲の場合もあります。
土地の測量をした「土地家屋調査士」が設置の手続きを行っており、土地を所有している人にとって、測量図と境界石の存在は、土地取引をする上で非常に重要なものになっています。
基本としては、隣地と接する全てのポイント地点にあり、道路と土地の境界にも設けられています。
境界石の役割
境界石は、隣地との境界を視覚的に「明確化」しているものであり、所有者のみならず、第三者にも認識できるものです。そのため、「境界はこの辺りだったと思う」という曖昧な判断をすることなく認識できます。
もし境界石がなかったら、塀がないような土地の場合、正直どのあたりが境界だったのかが、長い年月でわからなくなってしまう恐れがあるでしょう。境界石は、土地のトラブルを防ぐ意味でも重要な役割を担っているのです。
境界石の種類
境界石は、境界となるポイント地点や杭・鋲の素材によって次のような図柄の種類があります。
・●印
木杭が境界石となっているときに使われることがあります。四角の木杭の中央あるいは端に●印があり、●が境界地点を示しています。
・矢印
垂直や45度などで境界ポイントを示しています。道路との境界などで目にする機会が多いのではないでしょうか。
・十字
境界石の中央で十字に表記されています。隣地との境界ポイントで多く使われています。十字になっていることで、同時に4つの土地の境界ポイントを示すことができます。
・T字
境界石の片側に向けてTの字のように表記されています。T字になっていることで、道路と隣地など3つの土地の境界ポイントを示すことができます。
■境界石を見るポイント
ここからは、境界石を見るポイントについて確認していきましょう。
境界石は正しい位置にあるか
境界石が正しい位置にあるか、現地で測量図と照らし合わせながら確認する必要があります。なぜなら、境界付近の工事をしたり、車両にふまれるなどで、まれに境界石が「無くなっている、移動している」というケースがあるためです。確認すべきポイントをしっかりと見ておきましょう。
また、境界石は「石」という概念が強すぎて、「鋲」が境界ポイントにあっても気が付かないことがあります。「境界石がない」と思ったときは、別の素材のものや埋もれている可能性がないかも考慮しましょう。
境界石がはっきり読み取れるか
境界石に表記されているポイント地点のマークが、はっきりと読み取れる状態であるか、必ず確認しましょう。境界石や鋲などのポイント表記は、年数が経つと薄く劣化することがありますので、しっかりと確認しておきたいですね。
境界石の見分け方!気を付けるべき3つのポイント
最後に、境界石を確認するときには、どのようなことに気をつけるべきか、ポイントをお伝えします。
①境界確認は立ち合いする
土地の売買をするときに、一般的には境界確認を行いますが、境界確認は必ず隣地の所有者と立ち合って行います。たとえ境界石があったとしても、「お互いその位置で相違ないですね」という了承が必要です。こちらを疎かにすると、後々「この境界は納得できない」などとトラブルになるケースもありますので、必須事項です。
②境界と塀の位置関係
境界位置に、ブロック塀や木塀などが建っているときは、塀の基礎・土台(土に埋まっている部分)の位置に注意しましょう。特にブロック塀の基礎はブロックよりも大きめに造られていることが多く、外に出ている塀よりも基礎が隣地に越境しているケースも少なくありません。
また、隣地同士でお金を出し合い、境界の真ん中にブロック塀を施工していることもあります。境界石の位置と塀の位置関係がどのようになっているか、しっかりと見ておきます。
③境界付近の付属建物等について
境界付近の付属建物・植栽等がある場合、隣に越境していないかなど確認をします。たとえば、境界ギリギリの場所に物置を置いてあることがあります。この場合、物置の屋根の高勾配は注意しなければなりません。屋根の勾配が隣地側に下がっていて、境界ギリギリの場合、雨や雪は隣地に流れてしまいます。また、植栽の枝も不用意に越境していると、望ましくありません。境界石よりも超えることは、建物以外でも気を配る必要があるのです。
まとめ
今回は、不動産取引ではとても重要になる境界石について、境界石の概要や見るポイントなどについてお伝えしました。実務では、境界石があったとしてもトラブルがまったくないというわけではありません。しかし、境界石を基に隣地所有者としっかり確認しながら、手順通りに進めていくことで、スムーズに手続きを行うことが出来るでしょう。