「クソ物件オブ・ザ・イヤー2020」。
令和2年12月18日、今年もクソ物件の各賞とグランプリが決定されました。
不動産のミカタをご覧いただく、不動産感度の高い御仁であれば、既知かもしれませんが、見逃しの無い様、振り返って記憶に刷り込んでおく機会として頂ければ幸いです。
尚、本年度も直前にオファーを頂き、ニコニコ生放送にて公式解説員を務めてまいりましたが、音声トラブル等で本領発揮できなかった分、こちらで文章にてフォローできればと。
第5位【パンケーキ松田、大喜利のネタに】
【パンケーキ松田、大喜利のネタに】
— 坂口ジャス子 (@jusco0) November 18, 2020
売上が半分になったので家賃も半分にしろツイートしたパンケーキ松田のリプ欄が不動産クラスタの大喜利会場に
売上4倍になったら家賃も4倍にすんのかと聞かれて、差額はパンケーキで払うので黙ってろというリプに私の腹筋が崩壊
#クソ物件オブザイヤー2020 pic.twitter.com/yECpbtDPcq
第5位入賞は「松田公太さん」絡みのツイート。タリーズコーヒージャパン創業者にして、国会議員経験者、そして現在は有名パンケーキ屋さんEggs'n Things(エッグスンシングス)の経営者。
そんなピカピカ経歴のマジな実業家様が、コロナ拡大のタイミングで「家賃モラトリアム」的なことを本気で発言してきたので、大家さんを中心に不動産クラスタが沸き立ちました。
売上が半減して苦しいときには家賃半額?それなら、売上が倍増したときには家賃を2倍払ってくれるの?苦しいときだけ「分かち合い」ってオカシクない?という一般人の感覚に対して、斜めからきた(松田さんではない人の)「うるせえな。四倍の売上のときはパンケーキで払ってやるって言ってんだ」のリプとセットで突き刺さります。
第4位【姫路の不動産王破産】
【姫路の不動産王破産】
— Yohei Shiraishi (@yh_shiraishi) November 15, 2020
「日本の物件、全部買うたる」という意気込みで姫路の不動産を買い漁り、借入総額は320億円、所有物件4500戸以上、年収24億円の不動産王に成り上がった大川氏が今思うことは「見ずに物件買うたら、あかん」#クソ物件オブザイヤー2020 pic.twitter.com/Yme0u8pGNW
4位入賞は、みんな大好き姫路のトランプ大川護郎さんネタ。
借入総額500億超え、楽待の取材動画などでも高級時計や高級車、絵画諸々の分かりやすいお金持ち像が集約されていた人物ですが、従業員による横領や管理会社とのトラブルなどから、税金滞納他、肝心のお家賃収入が滞り、返済が回らずに差押え、銀行取引停止処分…。
経済ニュース等では、管理会社トラブルなどが強調されていたものの、買っていた物件が酷かったのではないか、というそもそもの部分が顕になってきました。
特に、今回のクソ物件オブ・ザ・イヤーのスピンオフ企画で、実際に現地を見に行く「クソ物件GO」でも「大川護郎氏の物件GO」の指示があったのですが、「欲しくない」「なんでこんなところに買ったんだ」という声が多数。
「融資が出るなら全部買う、どうぜ全部買うんだから見に行く必要なんかない。」そんなニュアンスでノールックのままバンバン買っていった結果の現れかもしれません。
とはいえ、借入額の大きさ=大家パワーな側面もあるので、500億を借りることができた大川氏が凄い人であるのは間違い有りません。ほら、本家トランプも苦境から立ち直ったことあるし。
第3位【無数の謎の"理事会王様"ルール】
【無数の謎の”理事会王様”ルール】
— はるぶーは㍇ヲタクで会うととてもいい人 (@haruboo0) November 15, 2020
友人泊めたら5千円
UberEats/介護ヘルバー出禁等
厳禁無数で話題のバランス釜指定
『秀和幡ヶ谷レジデンス』
管理費・積立共に坪千円で外観は綺麗。
標準に完全準拠で管理規約は超普通。
理事会王様ルールは規約には一切出てこない#クソ物件オブザイヤー2020 pic.twitter.com/hUlbirGaA4
第3位は秀和幡ヶ谷レジデンス。
周辺相場より、賃料も売買価格も割安で出てくるこのマンション。
管理規約は極めてノーマル、されども理事会の独自ルールが強すぎて「バランス釜以外禁止」「介護ヘルパー出入り禁止」他、諸々がフライデーされて話題に。
第2位【川口駅直結】
【川口駅直結】
— 諸星あたる (@GundariumAlloy) November 15, 2020
コンコースじゃないよ、専用シャトルバスとかでもない。"うちの前のバス停から駅まで行ける"って話を駅直結と言い張る「メイツ川口元郷」。これが直結ならみんなタクシーで東京駅直結じゃろが!実際に見て、触れて、感じて欲しいから、新築竣工販売中です。#クソ物件オブザイヤー2020 pic.twitter.com/AdE2B4uaKF
メイツ川口元郷という新築分譲マンションのオフィシャルサイト。
この物件概要(オフィシャルサイトより)なのではあるのですが、なんとか物件をよく見せたい気持ちがオーバーフローして「直結」と書いてしまったのか…。
理系弁護士さんがツィートで「直結」の使い方は規定ないよって書いてありましたが、普通の感覚として優良誤認(本来のモノより誤って良く見える)するレベルなので、方々からツッコミが入り、ノミネート後にはWebサイトもバス12分に修正されちゃいました。
これで直結が許されるなら、どんな物件でも駅直結だわってなりますよね。
第1位【コロナウイルスで賃貸借契約は消滅する!】
【コロナウイルスで賃貸借契約は消滅する!】
— 諸星あたる (@GundariumAlloy) November 15, 2020
解約予告期間分の家賃を支払いたくない店子テナントが、コロナで賃貸借契約は消滅したとのアクロバティックな主張をしていきなり夜逃げする事態が同時多発。あんなに強かった賃借権もウイルスには弱かった…。(消えねえよ!#クソ物件オブザイヤー2020 pic.twitter.com/H2QSi2YOis
第1位に輝いたのは、こちらの貼り紙。
コロナからの緊急事態宣言等々で「営業終了のお知らせ」を貼るのは分かる、けれどもその中に「天災地変で賃貸借契約が消滅しました」と書いて夜逃げするケースが多発。どうやらテンプレで流行ってしまった模様です。
建替えとかを狙って追い出したかった店舗がこれで出て行ってくれたラッキー(?)な大家さんもいるかも知れませんが、普通に継続した賃貸・店舗運営を望んでいた大家さんからは「勝手に消滅させんな!」と。
また緊急事態宣言されそうな雰囲気もあるので、同一テンプレが今後も使われてしまう可能性は否めません。
気持ちは分かるけれども…。
さて、今年のクソ物件オブ・ザ・イヤーもコロナに始まりコロナに終わる世相を表したものになりました。これらを押さえておくことで、決済時の着金待ちの時間を楽しく過ごせるかも知れません。
不動産マーケットがどう変遷していくのか、いまいち良く分からない状況が続いて行きますが、まずは目の前の自分の持ち場で頑張ってまいりましょう。
クソ物件オブ・ザ・イヤーのオフィシャルサイトは
↓こちらから↓
https://www.kusobukken.com/winners2020
ここで触れなかったグランプリ以外の特別賞も掲載されていますので、ぜひ。