不動産業ではたくさんの種類の看板を使います。売買仲介、賃貸仲介、管理にかかわらず看板がなければ、事業が成り立たないほどの重要なものです。
そのような重要な看板ですが、日常あまり意識することは少ないのですが、法律上の規制を受けており気づかずにいると重い罰則を受けることもあります。
本記事では不動産会社がよく使う看板の種類と、注意しなければならないルールについて解説します。
【不動産会社向け】代表的な看板の10種類と注意点
まずは不動産会社であれば、押さえておきたい代表的な看板の種類と用途と注意点をご紹介いたします。
分譲看板
募集看板
誘導看板
スタンド看板
案内看板
店頭用看板
管理看板
プラカード看板
号地看板
捨て看板
分譲看板
対象:売買仲介
分譲宅地や分譲住宅事業地および分譲マンションにおいて、区画地や分譲物件の案内を目的とした看板。形式としては野立て看板が多く、屋外広告物に該当します。
分譲マンションではモデルルームの入口部分に掲示されることも多いです。
注意点
設置できる許可地域と設置できない禁止地域があり、許可地域においても細かく許可基準が決められています。
また工事完成前の物件に関しては、都市計画法および建築基準法の開発許可や建築確認を受けるまでは、一切の広告ができない「広告表示の開始時期の制限」を受けます。
募集看板
対象:賃貸管理
入居者募集や土地の借手を募集する、あるいは駐車場利用者を募集する目的の看板。募集を行う賃貸物件の外壁や、貸地の区画内などに設置することが多い形式です。屋外広告物に該当しますが一定の基準以内であれば、自己管理用広告物に該当し許可が不要になります。
注意点
募集用の広告グッズに「のぼり旗」がありますが、のぼりも屋外広告物であり規制があります。さらに道路上に置くなどは、道路法や道路交通法の規制を受けることもあるので、注意が必要です。
誘導看板
対象:売買仲介
物件までお客さまを誘導する目的の看板。分譲物件のイベント期間中に設置することが多く、電柱に取付ける看板や歩道に置くスタンド看板もあります。屋外広告物であり許可が必要です。
注意点
電柱に取付けるタイプには、無許可で設置しているケースも多く、地方自治体の条例違反で検挙される事例も起きています。
スタンド看板
対象:売買仲介
オープンハウスの入口部分などに掲示する看板。来場者にオープンハウスの会場であることを知らせ、アプローチの位置を知らせる目的もあります。
注意点
歩道上に設置することもあり、無許可の場合は道路法や道路交通法違反に該当します。また強風により転倒し歩行者に怪我をさせるなどは、不法行為責任を負う可能性もあります。
案内看板
対象:売買仲介・賃貸仲介
物件情報を掲載した広告看板。形状はスタンド看板と同様のものが多いです。店舗の入口に設置し通行する人にアピールする目的で用いられます。
注意点
掲示は長期間になることもあり、設置位置には注意しなければなりません。
歩道にはみ出す場合は許可が必要となります。
店頭用看板
対象:売買仲介・賃貸仲介
店舗の入口に設置する看板。形状はスタンド看板や案内看板と同様です。掲示する内容は物件情報や会社の特徴・店舗の情報など、口コミで広めたい情報を自由に掲載し知名度を上げる目的で活用するとよいでしょう。
注意点
設置位置は歩道にはみ出すことのないように注意しましょう。
また宅地建物取引業法で定める「宅地建物取引業者票」を屋外に面して設置し、店頭用看板と称する場合もあります。
管理看板
対象:賃貸管理・デベロッパー
管理する土地や賃貸物件に掲示する看板。物件の状況により野立てや外壁など、設置方法はいろいろです。表示内容は「管理地」「管理物件」などとすることが多いでしょう。
注意点
ある程度の期間継続して掲示する看板です。期間が長いため掲示する場所が禁止地域に該当する場合には、掲示内容に注意が必要です。
プラカード看板
対象:売買仲介
オープンハウスなどのイベント時に使用する看板。会場への案内のため街頭で人が持って使います。屋外広告物に該当しますが、自治体により「適用除外の広告物」と明記されている場合もあれば、明記されていない場合もあります。
注意点
人が持ち歩くため禁止区域や禁止物件上で掲示する可能性もあり、使用前に自治体に確認することが望ましいです。
号地看板
対象:売買仲介
分譲地で画地ごとの番号や符号を記載し連絡先や面積などを記載した立て看板。
売買対象の敷地内に設置することがほとんどのため、地方自治体の条例で定めるサイズ以内であれば許可不要で設置できるものです。
注意点
設置にあたっては念のため条例を確認するようにしましょう。
捨て看板(違法です)
対象:売買仲介
イベント会場への道案内目的で使う看板。使い終わると捨てるので「捨て看板」と称します。電柱への張り紙や、小さめの誘導看板を電柱に取付ける方法や、木製枠に印刷された不織布を止付けたものを使用する場合もあります。
注意点
無許可で使用するケースが多く自治体の条例に違反する種類の看板です。
不動産会社が看板設置する際に注意すべきルール
不動産会社が看板を製作し設置するには以下の法律による規制を受けます。
- 建築基準法
- 道路法・道路交通法
- 屋外広告物法
建築基準法
看板の安全性を守ることにより公衆への危害防止と、街の景観を良好に形成し風致を維持することが目的です。
看板本体の高さが4mを超える場合は、建築基準法にもとづく工作物確認申請が必要です。また工作物確認申請が不要な場合でも、落下・転倒・風による飛散などによる被害を与えると、民法にもとづく工作物責任や不法行為責任を問われます。
道路法・道路交通法
看板は敷地内に設置することが原則ですが、道路にはみ出す場合もあり道路交通法にもとづく道路使用許可が必要であり、道路法による道路占用許可が必要になることもあります。
建築基準法
看板を屋外に設置する場合は屋外広告物に該当し、屋外広告物法の規制を受けます。規制の詳細は地方自治体が定める「屋外広告物条例」によるため、自治体によって規制内容は異なります。
規制の概要としては屋外広告物を設置できない「禁止区域および禁止物件」と、設置できる「許可区域」が決められています。
さらに禁止区域であっても条件により許可される看板と、許可を必要としない看板が定められ非常にわかりづらくなっています。
屋外広告物を設置する場合は必ず各地方自治体にて確認することが望ましいです。
他に看板の製作にあたっては、宅地建物取引業法と景品表示法において、広告の表記方法について規制を定めていますので遵守しなければなりません。
まとめ
不動産事業を行う上で看板は切っても切り離せないものです。
ルールと目的をしっかり理解して設置するように心がけましょう。
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