ダイアモンド社企業情報部は6月21日、上場企業の有価証券報告書に記載されている平均年収のデータを使用して算出した「高年収な不動産会社ランキング」を発表しました。調査の対象となったのは企業単体の従業員数が30人以上の上場している不動産会社。対象期間は、2019年12月期~20年11月期。
1位はなんと平均年収が1921.1万円で、日本商業開発でした。
同社は、「土地」に特化した不動産開発や投資を行います。独自で取得した用地をテナントにしながら20~30年程度の長期間の契約に基づいてクライアントに貸し出し、その上で当該用地を不動産の投資用商品として販売を行う「JINUSHIビジネス」が主力サービスです。
同社は大阪府に本拠地を構え、20年3月末時点での単体従業員数はわずかに48人。他の上位企業と比較して少なく圧倒的な少数精鋭といえます。
今回発表されたランキングにおいて対象となった20年3月期の連結売上高は742億円で、前期比86.2%増にも及ぶ大規模な増収となりました。また最終利益でも32億円で、こちらは前期比18.3%増と前期を1割強上回るなど、非常に好調といえる業績でした。
ここまで完了
2位には、こちらもかなりの高年収といえる平均年収1761.0万円でヒューリックがでランクインしました。東京都区内の駅周辺といった安定的に収益を確保できる土地を中心にオフィスビルや商業施設等を保有し賃貸事業を手掛けています。
3位にランクインしたのはファーストステージで、平均年収は1291.5万円でした。3~5位までの3社は全て年収1200万円台となっています。業界最大手の財閥系総合デベロッパーである三井三菱よりも平均年収が高い会社が3社もいるということは少々意外にも感じますね。
4位は三菱地所(平均年収1273.5万円)、5位は三井不動産(平均年収1273.4万円)でした。単体従業員数は、三菱地所が903人、三井不動産が1678人(共に20年3月末時点)となっており、三井不動産の規模の大きさがわかりますね。
6位には渋谷の都市開発で有名な東急不動産HD(平均年収1137.2万円)がランクインしました。三菱地所や三井不動産と同じく大手の不動産ですが、東急不動産HDは東急不動産や東急などの複数企業を束ねる役割を果たす持ち株会社であり、単体従業員数は67人と選ばれし者のみが入れるエリート企業だ。
7位にランクインしているのがプロパスト(平均年収1055.2万円)。分譲・賃貸マンションの開発を行う中小企業です。
8位は、不動産運用の事業を手掛けているいちご(平均年収1020.4万円)となりました。不動産業界において2020年に平均年収が1000万円を超えたのは、以上の8社だけです。
ダイアモンド社によると、今回のランキング対象期間(2019年12月期~20年11月期)において、まだ新型コロナウイルス感染拡大の影響が正常に業績に反映されていない企業も多く、コロナ下では、事業の形態によって大きな打撃を受けた不動産会社もあります。中でも数度に及んで営業休止を余儀なくされた商業施設を保有する会社や、ホテル事業を中心に展開している不動産会社は大きな影響を被ったはずです。こうした業績への影響が、従業員の年収にどう影響してくるのか、市場ニーズの変動が激しく熾烈な競争環境にさらされている不動産業界では、引き続き注視していく必要があります。
(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)