不動産一括査定サイト「イエウール」や、不動産会社の口コミの共有サイト「おうちの語り部」などのサービスを展開する株式会社Speeeは、新型コロナウイルスの感染拡大が不動産市場、とりわけ不動産賃貸と売買の仲介の場面に与えた影響を明らかにする調査を行いました。
本調査では全国の成人1,000人を対象に定性的なインタビューを行い、新型コロナウイルスの感染が拡大する直前における回答とコロナ禍の期間における回答を比較しました。その結果、売却を開始してから売却が完了するまでの時間はコロナ禍において大幅に短期化している現状が明らかになりました。
画像はJIJI.COM
不動産取引が成立するまでの時間が短縮された理由として最も重大な要素としてあげられたのは、不動産売り主がコロナ禍で感じていた不安感にあると言える。
実際に不動産の売主がコロナ禍で感じていた不安として多く挙げられたものに、以下のような意見があります。消費者の行動が制限されてしまい、購買意欲が失われたことを肌で実感することで、不動産市場における景気の悪化を危ぶむ意見が多いことがうかがえます。
コロナウイルス感染拡大によって実際に内覧するのは難しくなるのでは?そうして売却に時間がかかってしまうのでは?という不安がありました。(30代後半 男性)
都心のオフィス需要は明らかに減退しており、その煽りを受け都心のマンションも長期的に資産価値が落ちていくと思いました。(50代後半 男性)
仮にコロナ禍でなくても長期的に都心部人口が減少するということが明らかで、大きな負債を抱えていることが非常に不安になりました。(50代後半 男性)
当時住んでいた物件は都内でも比較的古かったのが少し不安でした。何よりもコロナによって景気がどう落ち込むのかが予測がつかず、非常に心配でした。(50代前半 女性)
これらの不安はコロナウイルスの流行が終わったとしても不安定な経済市況において簡単にはぬぐえないものであり、これからも続くものと考えられる。売主が抱える不安が不動産の売却を活性化させるかは別として、一度売却を決定したら取引を早急に成立させたいというニーズは今後根強く市場にもたらされていくのではないだろうか。不動産業界においてはスピード感をもってこれに対応できるか否かが問われている。