三菱地所は子会社である三菱地所リアルエステートサービスが運営する新サイトを立ち上げ、東京建物系など10社から仲介業務担当者100名が登録し、売却希望する顧客に対し担当者を選択できるサービスを5月中にスタートさせると発表しました。
読者の方には【元記事】で詳細について確認していただきたいですが、ここではこの新サービスの狙いについてすこし考えてみます。
この新サービスの背景には最近の「一括査定サイト」の普及があるようです。一括査定サイトでは大手仲介会社に加えて、地元の地域密着型の宅建業者が査定を依頼できる候補企業として一覧表示されます。
一括査定サイト利用者は表示された数社の宅建業者から、上限枠いっぱいまで会社の選択が可能であり、大手も中小も同じ土俵の上で競争をする仕組みになっています。
一括査定サイトが現在のように普及する前は、大手仲介会社のネームバリューは大きく、競合は大手同士という状態だったと想像できます。しかし現在は、大手同士に加えて地元企業も同列で競合することになり、利用者には営業電話が殺到するという弊害もみられると言います。
また一括査定サイトは、実際に査定を行い媒介業務を行う担当者まで紹介するシステムになっておらず、査定を依頼する利用者にとっては情報不足になっていることは否めません。
さらに仲介会社が支払っているシステム使用料には、媒介契約の成約率が反映されず査定に応じただけで課金されるシステムのため、経費負担が増大している懸念もありそうです。
三菱地所肝いりの新サービスは、現状の一括査定サービスでは得られない顧客利益と、参加する大手仲介会社の利便性を提供する狙いと思われます。
元記事は日本経済新聞