取引業者を賢く活用する工務店と、それに気がつかない工務店には雲泥の差が出る

同じような趣旨の記事をこれまでに2〜3本書きましたが、今回は先月実際に取材した写真をご紹介しながら皆さんにお話をしていきましょう。

足を運んだのは、富山県ナンバーワンの地場建材会社であるヤマイチさんが所有する施設です。

ヤマイチ株式会社

展示場を所有するような大きな住宅会社であれば話は別ですが、小規模で活動する会社には住宅展示場もありませんし、お客さんに見せるようなショールームもないことが圧倒的に多いでしょう。

「展示場があったらいいよなぁ・・・」

多くの経営者がこう考えるのですが、総合展示場に出展するには毎月100万円程度の出店料がかかります。

年間1,200万円の維持費がかかるのに加えて、展示場そのものの建設コストも数千万円かかるわけです。

よほどの収益がなければ、こんなことは全くの絵空事と言えるでしょう。

しかし、このような施設をタダ同然で「自由に使ってください」という住宅関連会社が全国には存在するのです。

「こんな施設をいつ作ったんですか!?」

ヤマイチの廣瀬社長は以前から存じ上げていましたし、本社にもお伺いしたことがあります。

しかし、工務店が利用できる立派な施設を複数作ったことは全くの初耳で、その施設を自分の目で確かめたかった私は早速連絡を社長にとって富山県に向かいました。

等身大の住宅展示場

最初に向かったのは、外から見ると普通に人が住んでるのではないかと思える外観の住宅展示場です。

住宅展示場,外観

※一見すると街中の一戸建て

私 「この住宅展示場は、ヤマイチさんと取引がある工務店さん全てが使えるのですか?」
社長「基本的には会費を月に1万円払ってもらえればフリーで使ってもらって結構なんです」
私 「1万円だったらポケットマネーですよね。それさえお支払いすれば、商談中のお客さんを連れて来たり見学してもらっても構わないわけですね」
社長「その通りです。ですから、活用する工務店さんは徹底的に活用しますよね(笑)成果もしっかり出ますので」

総合住宅展示場に出展すると毎月100万円程度の出店料に加えて、 建物の建築代がもちろん上乗せされます。

さらには、各社集まってのイベントがあれば、それに対する協賛金も必要ですし、古くなってくれば建て替えも視野に入れなくてはなりません。

これほどまでに経費をかけるのは、それに対する見返りがあるからに他ならないわけですが、小規模な会社がこれだけの経費をかけるというのはあまりにもリスクがあるし、資金的にも無理です。

それに比べてこの経費はまさに驚き。

しかもこの建物は、自分の庭でキャンプができるというコンセプトを持っており、アウトドア指向のお客さんであれば大きな関心を持って見学をしてもらえるような設計になっています。

住宅展示場,内観

※広いウッドデッキから芝生へと続く設計

私が工務店経営者ならば活用しまくります

使用に関する決まりごとはいろいろとあるようですが、私が小規模の工務店の経営者ならば、これは絶対に活用します。

ハウスメーカー出身ということもあるのですが、基本的には展示場でお客さんを接客し、そこから次のステップに持っていくことに慣れているからです。

初回面談を自社の事務所で行ったとしましょうか。

一回で契約は決まらないので、次の約束を取るための口実も欲しいですし、お客さんも色々なものを見たいはずです。

ハウスメーカーのように住宅展示場、現場見学会、ショールームなど目先を変えて色々な所に連れていければ良いのですが、小規模工務店では無理な話です。

それを毎月1万円で使えるわけですから、私からすれば即断即決の話なんですよね。

「関心をあまり示さない工務店さんも結構いるんですよ」

何気なく社長がこう話したのですが、私にとってはかなり意外な事実でした。

希望者が殺到して展示場を抑えるのに一苦労な状態だとてっきり思っていたのですが、現実にはそこまでの応募はないとのこと。

おそらく、展示場を使わない営業スタイルに慣れている工務店さんだと、このメリットが感覚的にあまりわからないのかもしれません。

展示場を使えるのは富山県もしくはその周辺になりますので、北陸地方以外の方には全く関係ない話なのですが、この記事を北陸で営業している工務店の方がご覧になっていれば、是非ともお問い合わせをしていただきたいと思います。

さらに大きな施設を見学しました

GARDENS・GARDEN

GARDENS・GARDENと看板に書いてありますが、先ほどの住宅展示場を見学した後に連れてこられた施設です。

左が廣瀬社長ですが、展示場からは少し離れた場所にこのような規模の大きな施設をオープンさせました。

施設は先ほどの展示場と同じく、アウトドアを意識した作りになっていて、プールとサウナが付いた住宅展示場にアウトドアグッズの販売コーナーを併設した作りとなっています。

ここには取引先の工務店さんが続々と見学に行ってきているとのことですが「これはいいね!お客さん連れてくるよ!」と反応する社長がいる反面「私はアウトドアあんまり興味ないからね」と消極的な人もいて皆さんいろんな意見を持っているようです。

社長や営業担当者がアウトドアに興味あるかどうかは関係ない

この話を聞いて私は疑問に思ったのですが、工務店の社長や営業担当者がアウトドアに興味がなくても、問題はお客さんが興味を持つかどうかです。

また、お客さん自体がアウトドアに興味がない方であっても、見学する分には面白い施設だと思うので、私が営業であれば「アウトドアは私も全く興味がないんですけども、プールもありますし火をいれたサウナもありますので見る分にはなかなか面白いですよ」とアポイントを取りに行くでしょう。

GARDENS・GARDEN,内観

※この日はイメージビデオの撮影をしていました

こんな副産物的な効果もある

今回はたまたま富山県の話を引き合いに出していますが、全国を見渡すと工務店の皆さんのためにこのような施設をわざわざ作っている企業がポツポツと存在します。

繰り返しになりますが、私が小規模工務店の経営者であれば上の写真のようなプール付きの展示場を活用し倒します。

そして、お客さんを案内するときは「うちの会社の展示場だから」という気持ちでご案内をするでしょう。

山口県にある建材会社も非常に大きな住宅設備の施設を持っているのですが、この会社の取引先である小さな有限会社の工務店の社長と面識があります。

私 「社長は我が物顔でこの施設を頻繁に使っているって聞きましたよ(笑)」
社長「そうなんですよ。私がお客さんを連れて行くと、この会社の営業さんや事務の方が私に対して頭を下げて挨拶をしてくれるわけです。その姿を私のお客さんが見たらどう感じると思いますか?」
私 「社長がなんだが凄そうに見えます」
社長「おっしゃる通り(笑)私がお客さんを連れていくときは偉そうに振舞っています。同行したお客さんが見ればこの社長すごいなってことになるでしょう」

なるほどな・・・と私は思いましたけども、この社長は施設の有効性にすぐ気付き、お客さんをどんどん案内し始めたとのこと。

契約に至るまでの成功ストーリーの中に、この施設を見学させる過程がしっかりと組み込まれているのです。

まとめ

札幌の方は札幌近辺で、那覇の方は那覇近辺で同じように施設を持っている取引業者がいないか確認してください。

今回は住宅展示場でしたが、太陽光や蓄電池を比較検討できる施設を持っている会社もあるでしょうし、照明に特化したショールームを構えている施設を無償で使わせてくれる取引先もあるのではないでしょうか。

1回案内するごとに高額な使用料金が発生するのであれば要検討事項となりますが、今回のヤマイチさんのようにほぼ無料といえるような経費で展示場を自由に使えるケースも存在するのです。

もう一度皆さんの取引先がどんな施設を持っているかを再チェックすることを強くお勧めいたします。

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