住宅系の専門コンサルティングを事業とする(株)市浦ハウジング&プランニングは、(株)織本構造設計、東急建設(株)、戸田建設(株)などと共同技術開発グループを組織し、中高層木造建築物を対象とした新構法「P&UA構法」を開発しました。
木造による高耐力・高剛性・高靭性を持った構法であり、10階建て共同住宅のモデルプランに対して、日本建築センターから構造評定を取得しました。
「P&UA構法」は「GIUA」と「シアリングコッター耐力壁」がコアの技術となっており、どちらも特許の出願済となっています。
「GIUA」は中大規模木造では一般的となっている木材に鋼棒を挿入し接着・接合する方法において、あえて鋼棒を接着しない部分を設けることにより、地震時のエネルギーを鋼棒の伸縮により吸収する仕組みとなっています。そのため、木材の脆性的な割れを抑えることが可能になりました。
この特徴により工場で柱や梁の木材端部を工場で加工でき、現場では木材と鉄骨の接続をボルトで緊結することができ省力化が図れます。
「シアリングコッター耐力壁」は、上下に並べた木質パネルの間に切り込みを設け、L型に折り曲げた鋼製コッターを差し込んで接続した耐力壁であり、地震時にはコッターが変形することにより地震エネルギーを吸収する仕組みです。
一般的な木質耐力壁に比べて変形性に優れ、エネルギー吸収性能を保有します。
中高層木造建築物は地震に対して粘りの強い構法がなかったのですが、この構法により中高層木造建築物の弱点を補う可能性が期待できそうです。
元記事は日刊建設工業新聞