不動産海外事業はどこの国にどのように進出すべきなのか?

前回の記事では「日本における海外不動産の歴史」というテーマで時系列に書いていきました。

前回記事:なぜ日本の不動産会社が海外進出すべきなのか?

今回はその流れを踏まえた上で、実際に海外に進出すべき国という点で、どのように考えていけばよいかを書いていきたいと思います。

実際、このテーマに関しては私が企業向けにコンサルティングしている内容でもありますし、企業によってターゲットやゴールが違ってくるので、一般公開される記事ではほとんど話さない、というよりかは話せないという制限がかかるものですが、できる限り書ける内容を書いていきたいと思います。

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不動産海外事業はどこの国にどのように進出すべきなのか?

注意業態によって進出検討国は変わるし、投資額によっても変わる

最初に、「この国がオススメです!」というのは残念ながら言えません。これは企業に限らず投資家個人に対しても私は言わないようにしています。

理由は「それぞれに前提や事情が違うから」というのが答えだからです。

ただ、これだとあまりにも失礼な記事になるので、できる限り検討しやすいように「考え方」を提案していきたいと思います。それと同時に私はASEANが専門ですのでASEAN内での各国の事情などを踏まえて書いていきたいと思います。

まず、不動産関連業で海外進出しようと検討するにあたって、いくつかの検討フェーズがあると思います。その軸は色々とあると思いますが、まずは「進出業態」という点で見てみましょう。

いわゆる、不動産業界の中でも主要3業態(開発、販売(仲介)、管理)で海外進出を検討してみます。

1.不動産開発業
昨今多くなってきているのがこの業態。いわゆるデベロッパー。欧米だけでなくASEANエリアにも積極的に進出している。

2.不動産販売業(不動産仲介業)
現地に根付いて経営している中小企業多数。一番進出しやすい業態とも言える。

3.不動産管理業
不動産管理だけでは単価が合わず苦労している業態。親会社と一緒に進出、もしくはM&Aなどで進出するなど総合力が試される。

では具体的に見ていきましょう。

【不動産事業別】具体的な海外進出

1.不動産開発業(デベロッパー)

まず「不動産開発業」という形で海外進出をするのであれば、投資額も大きくなるため非常に慎重にならざるを得ません。1投資あたり数億円〜数十億円、案件によっては数百億円という規模になってきます。

ただ前回の記事にも書きましたが、日本では新築着工戸数が右肩下がりになっています。たとえ、日本のデベロッパーが優秀で素晴らしい建物を建築すると言っても、人口減かつ大都市に優良な土地がなくなってきていることなどを考えれば残念ながら成長は見込みにくいです。

ですので、多くのデベロッパーは海外にその活路を見出し、積極的に動かざるを得ないという状況になりました。実際、図1のようにASEANにおいても多くのデベロッパーが既に進出をしています。
そして、その多くが2010年以降の進出であり、最近特に加速度的に増えてきました。それは海外でも実際に成功している例が増えてきたからです。

ASEANエリアに進出しているデベロッパー

ASEANエリアに進出しているデベロッパー

図1以外に進出している企業も非常に多いので、それはぜひ調べてみてください。各社それぞれ海外事業についてはホームページ等で公表しています。

しかし、公表された資料だけではなかなか実態が見えてこないと思います。ここでは実際に私がお手伝いさせてもらった事例を元に「なぜ進出を決定したのか?」を書いていきたいと思います。

 海外進出に至るまでの5ステップ

1. 海外事業部発足
2. 調査開始
3. 進出国の決定
4. 投資案件および提携先の具体的調査
5. 投資決定、MOU・JVAの締結

多少、名称の違いやプロセスの変更はあるのせよ、概ねこのような5ステップがあります。では、これらを紐解いていきましょう。

1. 海外事業部発足

まず海外進出を検討するなら、専業・兼業問わず、専門の部署を作る会社がほとんどです。会社の規模にもよりますが、当初は社長および役員がある程度の方向性を決めて、「海外に進出する」という方針が打ち出されてから海外事業部が発足されます。

2. 調査開始

海外事業部が発足されて、2-3名程度の社員が「調査」に入り、具体的に「進出国の検討」に入り、具体的に「現地企業とコンタクト」をしたり、国内で行われる海外の勉強会やセミナーなどに参加したり、と動き出します。私の仕事はここの入口部分からサポートに入らせてもらうことが多いです。

そして、多くの場合が予算をつけてもらえずに(新規事業であり売上もゼロのため経費がほぼ使えない)、担当者の方はかなり苦労する時です。

これを見ている社長や役員の方はこの時が一番お金を生まないのでお金をかけない、というのは理解できるのですが、ここでつまずくと後々大きな失敗にもつながりますから、ぜひ予算を確保してあげてください(海外企業が海外に進出する時は、調査部分に時間と予算をかけます。その割合は投資金額の5%-10%と言われています)。

やはり担当者になったと言っても、日本国内とは違い情報が入りにくいですし、時間ばかりかかります(少し余談になってしまいましたが)。

3. 進出国の決定

さて、海外事業部が発足されて調査を開始していけば、ある程度候補となる国が決まってきます。ここの決定に関してはデベロッパーの多くは以下のマクロ的な指標や各国の法整備などを見ている事が多いと思います。

・ 人口動態(総人口と人口の伸び率・中身など)
・ 経済成長率と一人当たりのGDP(今後の成長予測)
・ 消費者物価指数(インフレ率)
・ 新築着工戸数や販売数、販売単価の推移
・ 外国企業に対する投資優遇制度や関連法案(規制含む)
・ 税制度 など

これらを加味して、「この国にターゲットを絞ろう」と成るケースが多く、これらを満たすのは、アメリカおよびイギリス、そしてアジア諸国になることが多いです。アメリカやイギリスに関しては日本と同じ先進国ですので、やりやすい部分はありますが、いかんせん「新築」の文化はあまりありません。

そのため、デベロッパーとしてはアジア、とりわけ中国とASEANに絞られる事が多いと思います。

4. 投資案件および提携先の具体的調査

ここで「進出国」が決まれば、いよいよ具体的に「案件」の調査に入ります。

しかし、当然ながら「案件」の精度ももちろん、内容も国によって全然違うので、ここは本当に慎重に進めないといけないフェーズです。

日本と違い、多くの「それっぽい情報」が流れています。ましてや日本の企業が投資したいという事が広まれば、胡散臭いブローカーがすぐにたくさん集まります。私も何度も振り回されましたが、現地に入り込めば入り込むほど「人」の重要性が高まります。

日本のように「性善説」で動くと痛い目に遭う事が多いので、ここは複数の情報源を持ちつつ、動いていくのが望ましいです。

実際に私も依頼を受けたら私個人で動く事は少なく、現地のパートナーや弁護士、会計士などチームを組んで動くのがほとんどです。それくらい情報の取り扱いと動き方には注意を払って裏取りをしながら進めていきます。

また日本のデベロッパーの多くは日本で銀行や証券会社、商社との付き合いから情報を引っ張るケースがほとんどです。もしくはグループ会社からというのが多いです(ただグループ会社はあまり使わない時も聞きます。縄張り意識からなのか、いずれにせよ企業によって違いがあります)。

とはいえ、私の勝手な意見ですが、ここで重要なのが「銀行・証券会社からの紹介は100%OKな案件ばかりではない」ということです。

もちろん、重要な取引先ですし素晴らしい案件を持ってこられる時も多いですが、私が言いたいのはそういうことではなく、単純に「彼らは不動産のプロではない」ということです。つまり、現地の不動産マーケットを理解した上で提携パートナーを紹介しているわけではないということです。

ですので、紹介を受けたらもちろんありがたい話なので進めて良いのですが、きちんと現地のマーケットに照らし合わせて、本当に自社にとって提携すべきパートナーなのか、そして投資すべき案件なのか?を確認する必要があります。

5. 投資決定、MOU・JVAの締結

めでたく投資案件が決まり、国内で稟議が通れば、投資先とのMOUが交わされます(*MOU=Memorandum Of Understandingの略、基本合意書と訳される事が多い)。

そして、双方でデューデリジェンスを行い、問題なければJVAの締結をしてプレスリリースが発表されます(JVA=Joint Venture Agreementの略、合弁契約書と訳される事が多い)。

ここは契約内容によってJVAであったり、IA(Investment Agreementの略、投資契約書)であったり、SA(Shareholders Agreementの略、株主間契約書)、STA(Stock Transfer Agreementの略、株式譲渡契約書)であったり、と相手方との状況と契約内容によって最終的な契約書は変わってきます。

少し複雑になってしまいましたが、デベロッパーが海外進出する際に歩む5つのステップについて解説しました。次回は不動産販売業(仲介業)、不動産管理業が進出する時のステップについて書いていきたいと思います。

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