物件調査では権利関係を必ず確認しよう!チェックポイントを解説

物件を知るために、不動産会社では様々な調査を行います。

調査の中でも重要な項目の1つが「権利関係」。

権利関係を調べるということは、

  • 対象物件の所有者は誰なのか
  • 利害関係者には誰がいるのか

などを調べるということです。

今回は、物件調査で権利関係をチェックするときのポイントについて解説します。

物件調査を行う際には、ぜひ参考にしてみてください。

権利関係の調査はなぜ重要?

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不動産の取引を行う上で、取引の相手方が真の所有者であるのかなどの点を確認する必要があります。

さらに、対象物件に抵当権や賃借権など第三者が関係する権利が設定されている場合は、こうした権利の抹消手続きを行う必要があるでしょう。

ここでは、権利関係の調査がなぜ重要であるのかを2つの視点から解説します。

所有者の確認が大切

「所有している物件を売却したい」と不動産会社に訪れた人は真の所有者であるかを確認することが大切です。

自分が所有していない不動産を取引する「他人物売買」という方法がありますが、この場合でも売主は買主に権利を移転する義務があります。したがって、不動産売買契約を締結する上で、「対象物件の所有者が誰であるのか」という点は非常に重要となるのです。

以前、積水ハウスが地面師詐欺の被害にあったことが報道されました。

この地面師詐欺の話題は、みなさんも記憶に新しいのではないでしょうか?地面師グループが真の所有者になりすまし、積水ハウスと不動産取引を行っていました。なりすましですから、積水ハウスへの所有権移転はできていません。真の所有者でない場合、このような被害に遭うことが考えられるのです。

また、相続で取得したけれど登記を行っていないというケースがよくあります。

相続登記には相続人全員の協力が必要となりますから、何代も遡って相続登記を行わなければならない場合は売却できるまでに時間がかかることがあります。

真の所有者が誰であるのか、また登記上の所有権が誰になっているのかを調べることが非常に大切であるといえるでしょう。

その他の権利の確認

不動産には所有権以外にも様々な権利が設定されることがあります。

不動産に設定される権利の1つとして、「抵当権」が挙げられます。

抵当権が設定されている場合は、対象物件を抵当に入れて金融機関から借り入れをしていることが考えられるでしょう。

仮に抵当権がついたまま買主へ引き渡された場合、売主の返済が滞ると対象不動産が競売にかけられてしまう恐れがあります。

したがって、一般的な不動産売買契約において、売主は抵当権を抹消して買主へ対象物件を引渡すことになるのです。

抵当権の他にも、賃借権・地上権・地役権などの権利が設定されている場合があります。不動産売買契約を取り交わす上で、利害関係者にどのような人物がいるのか調査することが大切です。

権利関係のチェックポイント

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ここでは、権利関係を調査する上でのチェックポイントについて解説します。

法務局での調査

権利関係の調査での基本は、法務局での調査でしょう。法務局では、以下の書類を取得します。

  • 登記事項証明書(土地・建物)
  • 公図
  • 地積測量図
  • 建物図面(各階平面図)

なお、法務局で書類を取得する際に必要な「地番」や「家屋番号」は住所と同一であるとは限りません。

また、1つのまとまった地面のように見えても、地番が何筆にも分かれていることがよくあります。特に、対象敷地の地番はすべて調べておきましょう。

私が見聞きしたケースの中には、対象物件が複数の地番であることに気付かなかった営業マンが、そのうちの1筆のみを契約対象としていたことがありました。

このときは、顧客から「敷地面積が小さすぎるのでは」と指摘されたことで発覚しています。必ず、売主の供述や各種書類・現地の確認を行い、対象地番の特定を行いましょう。

権利関係の確認

登記事項証明書からは、対象物件の所有権を持つ人物を知ることができます。

ただし、所有権を持つ人物=真の所有者であるとは限りません。

例えば地方の空き家でよくあるのが、登記簿に記載された所有者が既に亡くなっていて、別の人物に相続されているというケース。相続自体は終わっているけれど、登記を行っていないということがあるのです。

権利関係を確認することで、差押の登記がされていたり、抵当権などの権利が設定されていたりすることがわかります。

抵当権を設定している金融機関は対象不動産を担保にしてお金を貸し出しているわけですから、ローンなどを完済しないと抵当権を外しません。

このような不動産を売却するには、金融機関などの利害関係者とも話をする必要があるでしょう。

隣地も調査する

場合によっては、対象物件の隣地も調査することがあります。

例えば、前面道路が公道扱いであるのに所有者は別の個人・法人になっていることがあります。この場合は、道路の管理や工事の承諾などを自治体で行っているのかなどの点を確認しておくとよいでしょう。

また、対象物件の地積測量図はないけれど、隣地には備え付けられていることがあります。この場合、隣地の地積測量図から対象敷地の奥行きなどを知ることができます。

本人確認を忘れずに

売主との媒介契約時や売買契約締結時などのタイミングで、本人確認を必ず行いましょう。

運転免許証などの写真付き身分証明書・印鑑証明書・実印などを準備してもらいます。場合によっては、登記済権利証や登記識別情報も確認しておくとよいでしょう。

また実際に現地に行って、対象物件を使用している人がいないか確認することも大切です。駐車場として貸し出していたり、畑として利用させていないか、周囲に聞き込みを行うことも有効です。

調査の目的を明確にする

上記でご紹介した登記事項証明書などの書類は基本的なものですから、会社のマニュアルなどにも記載されていることでしょう。

みなさんは、なぜその書類が必要であるか考えながら取得していますか?

調査の目的がわからずに書類のみを取得していると、不審な点に気付かない可能性があります。

物件調査を行う際は、「何の情報を知りたいのか」という目的を明確にしましょう。

不審な点があれば再調査する

万が一、不審な点があれば調査を再開しましょう。

早い段階で問題に気付くことができれば、対処法にも複数の選択肢が生まれます。

契約締結前、契約締結、手付金支払い、残代金決済、引渡し完了…と進んでいくにつれて、できることが限られてしまうからです。

何か不審な点があれば契約の進行を一時中断し、再調査を行ったり、上司などに相談したりすることが大切でしょう。

必要であれば専門家に相談する

例えば売却するにあたって現在の所有者まで相続登記を行わなければならなくなった場合は、司法書士という専門家への依頼が必要になるでしょう。

測量関係のことは土地家屋調査士、税務関係のことは税理士など、必要に応じて専門家に相談してみてください。

物件調査では権利関係についても必ず確認しよう!

物件を調査するにあたって、現地・役所・水道局・法務局など様々な場所に行く必要があります。

どの調査も重要ですが、権利関係は目に見えない分、特に注意して調査を進めることが大切でしょう。

不動産売買にあたり、対象物件の利害関係者とも話を進める必要があります。

物件調査では、真の所有者は誰であるのか、利害関係者にはどのような人物がいるのかなど、権利関係についてもしっかりと調査を行ってください。

わかりやすい役所調査マニュアル公開しました

本マニュアルにおいては、調査項目を8つに分類して解説していきます。また、入門編では各項目の大まかな考え方、概要のみを解説します。それぞれの詳細や具体的な調査方法については、実践編で解説をしますので、まずは全体像を何となく掴んで頂ければと思います。

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