インスペクションの種類と違いをわかりやすく解説

こんにちは。

住宅診断・ホームインスペクション専門事務所 アフリスペックの清水です。

皆様はお客様から『インスペクションをしたい』と言われたときにどのようなご提案をしていますか。

宅建業法に定められたインスペクションは『建物状況調査』ですが、インスペクションにはそれ以外にも種類があることをご存知でしょうか?

『インスペクションを依頼されたけど、どう説明したらいいのか分からない。』そんな状況を整理しておきましょう。

分かりにくいけどとても重要。

インスペクションの種類についてのお話です。

『インスペクション』の種類は大きく分けて2つです。

2018年4月~宅建業法の改正に伴いインスペクション制度がスタートしたのはご存知かと思います。

法律の施行を背景に『インスペクション』という言葉自体は少しづつ浸透し始めていますが、その定義が分かりにくい為、実際には混乱を招いていることが多いようです。

インスペクションと言われている住宅検査は建物状況調査だけではなく、その他にも種類があります。

その中でも日本のインスペクション制度を理解するうえで覚えておきたいものは大きく分けて以下の2つです。

① 『建物状況調査』(宅建業法上のインスペクション)…建築士(既存住宅状況調査技術者)が行う
② 『その他のインスペクション』…資格に関係なく様々な技術者が行うインスペクション
※②については様々な呼び名があるため、ここではこう定義します

まずはこの2つがあるということを覚えておいてください。

どちらも同じように『インスペクション』と呼ばれ、実施する内容も似ていますが、その意味が異なってきます。

それでは、なぜ2つに分かれてしまったのかを見ていきましょう。

混乱の理由は制度の成り立ちが原因

そもそも、制度が混乱している理由は日本でのインスペクション制度の成り立ちにありました。

インスペクション制度の成り立ちについての流れは以下の図を参照。

インスペクション,種類,違い

2013年に初めて『インスペクションガイドライン』が策定されました。

そして本格的な制度設計を経て現在のインスペクション制度が作り上げられていきますが、その中でインスペクションを実施する者について重要な要件が追加されます。

宅建業法に定めるインスペクションは『建築士が実施する』ということになったのです。

そして『建築士』がインスペクションを実施するために取得しなければならない資格が『既存住宅状況調査技術者』になります。

実はインスペクション制度の施行以前からインスペクションという仕事は存在していました。

それまでのインスペクションは国家資格等に関係なく様々な建築技術者(建築士を含む建築施工管理技士、宅建士、住宅診断士等、建物や不動産に詳しい人)により実施されていましたが、建物状況調査(宅建業法のインスペクション)は、建築士でないと実施することが出来ません。

つまり、建築士ではないインスペクターは建物状況調査(宅建業法上のインスペクション)を扱うことが出来なくなり、大きく2種類のインスペクションに分かれることになったのです。

こうして以前からあった『インスペクション』と、新しく作られた『建物状況調査(宅建業法上のインスペクション)』が混在することになり、それらの区別がしづらいというのが現在のインスペクション制度の混乱につながっています。

一気に広まった『インスペクション』という言葉

宅建業法の改正をきっかけに『インスペクション』という言葉を知った方も多いでしょう。

それ故にインスペクション=建物状況調査と覚えている方もいるかと思います。

しかし実際には『建物状況調査(宅建業法上のインスペクション)』は後から出来たもので、それまで実施されてきた『その他のインスペクション』を簡略化したものです。

『既存住宅状況調査技術者』の講習を受けた建築士であれば、共通したレベルで建物を評価できるようになっており、それは『既存住宅売買瑕疵保険』への加入基準のベースでもあります。

宅建業法上はインスペクションの品質にバラつきが出ないように配慮したのですね。

【重要】2種類のインスペクションは『安心』の落しどころが違う

さて、2種類のインスペクションがあることは分かったと思いますが、なぜ2種類が並行して残り続けているのでしょうか?

それは『安心』の落しどころが違うからです。

『建物状況調査(宅建業法上のインスペクション)』は『既存住宅売買瑕疵保険』の加入基準のベースになっています。

つまり基準をクリアした場合には『保険に入れる建物だから安心』ということですね。

一方で『その他のインスペクション』は建物をより細かく診断し、何処に不具合あるのか…それが何に起因する可能性があるのか…等を把握する為に実施します。

建物にどのような不具合が隠れているのか知りたい場合、更にはその後の修繕計画を立てたい場合等にはこちらを選択すべきです。

インスぺクションは『建物の健康診断』と例えられることが多いですが、あえて人間の健康診断に例えるならば以下のようなイメージかと思います。

● 建物状況調査(宅建業法上のインスペクション) …集団健診
● その他のインスペクション …人間ドック

さあ、どちらを選択しますか?

いかがでしょうか。

インスペクションを依頼されたとき、集団健診人間ドック、お客様がどちらを求めているかを見極めることが重要です。

ここを間違ってしまうと、中途半端なインスペクションで終わってしまう可能性があり、お客様の満足度に繋がらないことがあります。

また国が用意している様々な住宅取得支援制度に絡んでいけるのは『建物状況調査(宅建業法上のインスペクション)』ですので、併せて覚えておいてください。

インスペクションの基本を整理してここまでご説明出来れば、お客様からの信頼度もアップするのではないでしょうか。

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