不動産業界でご活躍のあなた、こんにちは。
株式会社レコの梶本幸治です。
今回は「不動産価格査定書やアプローチブックを売主様に提示する際、注意すべき事はありますか?」というお悩みを取り上げます。
今、我々不動産業界の営業スタイルも大きく変わろうとしているように感じます。
ひと昔前までは不動産営業担当者個人個人が、その経験とスキルとセンスによってお客様との交渉を行っていましたので、営業担当者によって成績はバラバラとなり、出来る人は出来て給料も増えるが、出来ない人は出来ないまま退職するという、あまり感心しない状況が続いていました。
しかし、これら不動産営業の属人化を解消し、不動産営業をマニュアル化・平準化する事によって、営業担当者全員がそれなりの成果を残せるようにしようと取り組む不動産会社が増えてきました。
そこで今、脚光を浴びているのが不動産価格査定書や不動産営業アプローチブックの活用です。
不動産価格の提案も以前は口頭のみの価格提示や、A4用紙一枚ペラの価格査定書を売主様にお渡しする不動産会社が多かったように思います。
しかし今では、不動産査定書の自動作成システムも多く販売され、少人数制の不動産会社でも大手不動産会社と同程度のクオリティで査定書を作成する事が出来るようになりました。
又、昨今はオリジナルのアプローチブックを作成し、営業担当者に持たせている不動産会社に出会う事も増えています。
これまでのように、全ての商談をトークのみで進めようとすると、それこそ不動産営業の属人化は酷くなる一方です。
しかし、自社の会社概要からサービス内容、選ばれる理由、不動産取引の流れや税金の説明、更にお客様の声のなどを掲載したアプローチブックがあれば、経験・スキル・センスに乏しい営業担当者でも、ある一定以上の商談が可能だと言われています。
では、これら不動産営業の新時代を切り拓くツールである、不動産価格査定書や不動産営業アプローチブックを売主様に提示する際に注意すべき事をお伝えします。
不動産価格査定書やアプローチブックを売主様に提示する際、注意すべき事…それは、出来るだけ「売主様にこれら価格査定書やアプローチブックを見せずに商談を進める」事です。
このように申し上げるとひょっとしたら、「注意すべき事が見せない事って何を言ってるんだ。売主様にご覧頂く為に査定書やアプローチブックを作っているのに」とお叱りを受けるかもしれませんね。
では、ここから解説いたします。
売主様にお目にかかる査定訪問時(若しくは査定報告時)、一番大切な事は何だと思われますか。
あなたの会社やあなた自身の事を知って貰い親近感を得る事でしょうか?
それとも、査定価格の妥当性を説明する事でしょうか?
他社とくらべてあなたの会社が優れている事をご理解頂く事でしょうか?
確かにこれらは重要な事でしょう。それは私にも異存はございません。
しかし、もっと重要な事があると思っています。
それは売主様の【売却理由】の確認と、このタイミングで査定を依頼するきっかけとなった【引き金(トリガー)】の確認です。
不動産仲介業は不動産の取引を成立させる事により手数料を頂く仕事ですが、もっと深く考えると、お客様が不動産の売買によって実現したい希望を叶え、解消したい問題を解決する事によりお金を頂くとも言えます。
しかし、実現したい希望を叶え、解消したい問題を解決する為には、売主様が何故不動産を売ろうと思われたかの【売却理由】と、なぜ今のタイミングなのかの【引き金(トリガー)】を知る必要があるのです。
【売却理由】や【引き金(トリガー)】をヒアリングするには、じっくりと売主様のお話を傾聴する必要があります。
つまり、商談は「売主様⇒不動産会社」のベクトルで進める事が大切なのです。
しかし、査定訪問時(若しくは査定報告時)の冒頭で不動産価格査定書やアプローチブックを提示してしまうと「不動産会社⇒売主様」へのベクトルで商談を進めざるを得なくなり、肝心の【売却理由】や【引き金(トリガー)】を聞き出すことなく商談が終わってしまう危険性があるのです。
不動産価格査定書やアプローチブックは非常に重要なツールです。
しかしその提示は商談の終盤に行う事をお勧めします。
売主様とお話する際は、不動産価格査定書やアプローチブックの提示よりも、【売却理由】や【引き金(トリガー)】を聞き出すことが大切であるとご認識ください。