賃貸不動産経営管理士試験合格のポイント

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「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」制定により、大きく注目されるようになる資格が「賃貸不動産経営管理士」です。

2019年は全国で約2万3千名が受験しましたが、今後はもっと増えるものと思われます。

不動産業関係の国家資格として宅地建物取引士、マンション管理士、業務管理主任者などがあります。

国家資格に変更される可能性のある、賃貸不動産経営管理士になるための試験制度について解説します。

賃貸不動産経営管理士試験について

開催頻度 年に1回
試験地域 全国24か所
試験時間 120分
出題形式 四肢択一の全50問

賃貸不動産経営管理士試験は年に1回おこなわれています。2020年は11月15日(日)に全国24地域でおこなわれ、試験時間は120分です。

合格発表は翌年の1月初旬、令和3年の場合は1月8日(金)におこなわれる予定です。

出題形式は四肢択一の全50問出題されます。試験問題の内容はおおむね以下のとおりです。

・賃貸管理の意義・役割をめぐる社会状況に関する事項
・賃貸不動産経営管理士のあり方に関する事項
・賃貸住宅管理業者登録制度に関する事項
・管理業務の受託に関する事項
・借主の募集に関する事項
・賃貸借契約に関する事項
・管理実務に関する事項
・建物・設備の知識に関する事項
・賃貸業への支援業務に関する事項(企画提案、不動産証券化、税金、保険等)

公式のテキストが発行されておりテキストの内容を、大項目だけを紹介すると以下のごとくです。

・賃貸管理総論
・賃貸住宅管理業者登録制度
・賃貸不動産経営管理士
・管理業務の受託
・借主の募集
・賃貸借契約
・賃貸管理の実務と賃貸借契約の管理
・建物・設備の知識
・賃貸業への支援業務

賃貸管理業務に関する必要最低限の知見をマスターできる内容となっています。

賃貸不動産経営管理士試験の令和元年度試験合格率は36.8%です。

出典:賃貸不動産経営管理士「令和元年度 賃貸不動産経営管理士試験 結果統計」

【過去問から読み解く】賃貸不動産経営管理士試験合格のポイント

賃貸不動産経営管理士の過去問を解いて感じることは、宅建取引士とほぼ同様のむずかしさであることです。

出題形式と時間は同じであり、対象となる法令の範囲が広いのも同様といえるでしょう。

・民法
・建築基準法
・借地借家法
・宅地建物取引業法
・賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
・賃貸住宅管理業者登録規程
・原状回復ガイドライン
・災害対策基本法
・国土利用計画法
・相続税法
・税法

などに加えて設備機器のメンテナンスに関する知見も必要とされ、何より独特のひっかけ問題が多く、120分で50問は「1問題2分少々」という短い時間で判断しなければなりません。

ひっかけ問題は文章の意味を理解することが必要であり、正確な知識と読解力が求められます。

「次の記述のうち正しいものの組合せはどれか」・・・この形式の設問は、特に時間がとられてしまう傾向があります。

さらに指摘しておきたいことは、出題範囲が宅建取引士と被っています。

このことは試験日が1ヶ月違いである宅建取引士と同時取得を目差すほうが効率よく、同じ年に受験するか、あるいは2年連続で受験するなどを考えたいところです。

賃貸不動産経営管理士は受験講座か独学か?

資格試験の準備は独学でできるか、あるいは講座を受けるほうがよいのか必ず迷うところです。

独学と受講の大きな違いは学習方法です。

・独学:学習範囲を幅広くする必要があり、多くの時間を費やさなければならない
・受講:出題傾向に応じて重要な学習範囲を絞ることができ、限られた時間しかない場合に適している

独学で宅建取引士を一発合格したとある経験者の話では「受験学習は通勤電車の中」だったとのこと、すき間時間を上手に使って幅広い範囲を網羅した学習方法が効を奏したといいます。

日常の仕事の合間や帰宅してからの生活のなかでいかに学習時間をつくり出せるかが、独学で合格できるポイントです。

受講することを考えると現在ほとんどの講座はWeb講座ですから、独学と同様いかに学習時間をつくり出すかがポイントです。

さらに講座の組立が “15分単位” で作られているような例もあり、早目出勤で時間をつくる、あるいは昼食休みの時間を活用するなど、働くスタイルによって工夫できる余地はたくさんありそうです。

賃貸不動産経営管理士は管理会社にとって必須の資格といえ、事務所や店舗ごとに設置しなければならない「業務管理者」の要件となる予定です。

国家資格になると合格率はさらに厳しくなる

令和元年度の試験における合格率は36.8%と前述しましたが、2021年の「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」全面施行により、賃貸不動産経営管理士は国家資格になると予想されています。

不動産関係の国家資格合格率は下記のとおりであり、もっと低い水準になるのではないでしょうか。

受験するなら今年度が望ましいようです。

資格名 令和元年度合格率 出典元
宅地建物取引士 17.0% 一般財団法人 不動産適正取引推進機構
マンション管理士 8.2% 公益財団法人マンション管理センター
管理業務主任者 23.2% 一般社団法人 マンション管理業協会
土地家屋調査士 9.7% 日本土地家屋調査士会連合会

なお、賃貸不動産経営管理士は前述のように「業務管理者」の要件としてみられていますが、宅地建物取引士も含まれる可能性があります。

「業務管理者」については国土交通省令により別途定めることと、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」第12条に明記されており、施行までには確定すると考えられます。

賃貸不動産経営管理士登録制度

賃貸不動産経営管理士試験に合格すると登録をしなければなりません。

登録できる要件として次の2つのいずれかを満たしていなければなりません。

1. 有効な宅地建物取引士証を受けている
2. 一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会が認める、賃貸不動産関連業務に2年以上従事しているか従事していた

一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会が認める賃貸不動産関連業務とは

宅地建物取引業、不動産管理業、不動産賃貸業(家主業)をいい、(公財)日本賃貸住宅管理協会、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会、(公社)全日本不動産協会の3団体の会員または従業員などが該当します。

登録は5年間有効であり、所定の講習を受けることにより更新ができ、宅地建物取引士と同様のシステムになっています。

2020年9月8日現在の登録有資格者は39,139名となっています。

賃貸不動産経営管理士,試験

引用:賃貸不動産経営管理士「有資格者名簿」

まとめ

不動産仲介の仕事に欠かせない「宅地建物取引士」に加え、不動産管理の仕事に欠かせない「賃貸不動産経営管理士」が国家資格になると、賃貸業(家主業)以外の不動産業はすべて資格が必要な事業になります。

資格制度が作られる背景には、公正で質の高いサービスを望む社会の要請があるからです。

不動産賃貸管理の仕事も例外ではなく、賃貸管理の専門家が必要とされその社会的な責任が大きくなってきた表われです。

不動産業従事者としてのキャリアを高めるためにも、是非取得したい資格のひとつとなるでしょう。

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