忘れていませんか?国土利用計画法の届出

バブル経済の地価高騰時、地価抑制策として行われた「国土法」による規制は、現在ほとんど役割を終え不動産取引実務者の記憶から消えてしまっていると思われます。
しかし土地取引は一定規模を超えると取引後の届出義務は買主にあり、宅建士が説明を忘れると大きな問題ともなります。
ここでは国土法の「届出制度」について改めて解説します。

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国土利用計画法とは?

国土利用計画法は昭和49年(1974年)に制定された法律であり、昭和25年(1950年)に制定された国土形成計画法(旧 国土総合開発法)と相まって、国土の利用に関する計画と規制をおこなう法律です。
国土形成計画法は2005年に法律の題名が改正されるまでは、国土総合開発法と称する法律であり、国土の開発計画に関する基本計画を策定する根拠法でした。
しかし国土形成計画法と改正されてからは「開発」から脱皮し、成熟社会に見合った国土の総合的計画を策定するものとなりました。
国土形成計画法は「国土の基本計画」に関する法律ですが、国土利用計画法は「国土の利用」に関する法律であり、2つの法律は補完的に関連しながら国土に係る政策を規定する法律となっています。

国土法による規制制度

国土利用法では土地取引を規制するため、国土を4つに分類しています。

1. 規制区域
2. 監視区域
3. 注視区域
4. 上記以外の区域

規制区域においては土地取引に許可が必要であり、許可を得ずにおこなった契約は無効になります。
監視区域においての土地取引は事前に届出が必要であり、都道府県知事が定めた面積以上の取り引きが該当します。
注視区域における土地取引も事前に届出が必要ですが、面積制限が以下のように決められています。

・市街化区域は2,000平方メートル以上
・その他の都市計画区域は5,000平方メートル以上
・都市計画区域外は10,000平方メートル以上

上記以外の地域では面積制限の区分に応じ、事後の届出が義務づけされています。
届出時期は契約締結後2週間以内となっています。
また「事前届出」は契約(予約を含む)の6週間前となります。

国土法の届出制度

上記のように国内の土地取引に関して、市街化区域内の土地2,000平方メートル以上を取り引きすると、最低限「事後届出」が義務となっており、指定されている区域は少ないですが「注視区域」以上の指定を受けている場合は「事前届出」が義務になっています。
届出は取り引きにより権利を取得する人がしなければならず、一般的には「買主」になります。
届出は市・区役所や町村役場であり届出を怠ると、6か月以上の懲役または100万円以下の罰金に処せられ、厳しい規制がおこなわれています。

取り引きの範囲は

・売買または交換
・共有持ち分の譲渡
・事業譲渡または営業譲渡
・譲渡担保
・地上権または賃借権の設定または譲渡
・予約完結権の譲渡
・信託受益権の譲渡
・地位譲渡

などであり「予約」も含まれます。
また面積制限については注意が必要です。
1つの土地面積が制限に満たなくとも、隣接する複数の土地の取り引きがおこなわれ合計すると面積制限以上になる場合は、個々の契約はすべて届出が必要です。

届出が必要な事例

届出の必要性は面積区分で判断することになります。
一般的な土地取引は市街化区域であり、2,000平方メートル以上の場合は届出義務があります。
複数の土地取引の合計が2,000平方メートル以上となるケースとしては、分譲マンションの建替え事業でデベロッパーが区分所有権に付随する共有持ち分を買取る方式や、建替え組合が共有持ち分を買取る方式が該当します。
共有持ち分の譲渡面積合計で判断しますので、マンション敷地面積が2,000平方メートル以上であれば届出が必要です。

また届出義務は買主が原則ですが、事前届出が必要になる監視区域・注視区域では、一団の大きな土地を小さく分割して譲渡するような分譲事業などでは、売主に届出義務があるので注意しなければなりません。

届出手続き

事後届出書に記載する事項は以下のとおりです。

1. 契約当事者の氏名と住所
2. 契約年月日
3. 土地の所在地と面積
4. 土地に関する権利の種類と内容
5. 土地の利用目的
6. 取引にかかわる対価

添付書類として以下のものが必要です。

1. 契約書の写し
2. 物件の位置図
3. 住宅地図などの周辺状況図
4. 土地の公図や土地の形状がわかる図面
5. 実測面積による売買の場合は実測求積図面

事前届け出書に記載する事項は以下のとおりです。

1. 契約当事者の氏名と住所
2. 土地の所在地と面積
3. 土地に関する権利の種類と内容
4. 予定対価の額
5. 土地の利用目的

添付書類として以下のものが必要です。

1. 物件の位置図
2. 住宅地図などの周辺状況図
3. 土地の公図や土地の形状がわかる図面
4. 実測面積による売買の場合は実測求積図面
5. 登記事項証明書

区域指定と届出の現況

2021年9月現在、注視区域と規制区域はありません。
監視区域の指定状況は下図のとおりであり、指定を受けている市町村は東京都小笠原村で、届出対象面積は500平方メートルとなっています。

国土利用計画法,届出

引用:国土交通省「国土利用計画法における監視区域の指定状況の推移」

2005年~2020年までの届出件数は以下の状況です。

事後届出 事前届出 法定以上 事前届出 法定未満 届出件数合計 総取引

件数

届出件数割合
2005 12,989 0 4 12,993 1,239,857 1.0%
2006 15,631 1 0 15,632 1,666,220 0.9%
2007 16,355 0 0 16,355 1,591,168 1.0%
2008 13,945 0 1 13,946 1,474,721 0.9%
2009 10,116 1 3 10,120 1,358,839 0.7%
2010 10,934 2 1 10,937 1,331,804 0.8%
2011 11,165 5 2 11,172 1,302,669 0.9%
2012 12,433 0 1 12,434 1,369,623 0.9%
2013 13,353 0 1 13,354 1,470,087 0.9%
2014 14,815 0 1 14,816 1,446,845 1.0%
2015 15,253 0 0 15,253 1,482,797 1.0%
2016 15,978 1 0 15,979 1,495,890 1.1%
2017 17,345 3 0 17,348 1,535,276 1.1%
2018 16,909 2 4 16,915 1,541,456 1.1%
2019 16,931 0 1 16,932 1,543,388 1.1%
2020 15,805 0 3 15,808 1,486,427 1.1%

出典:国土交通省「届出件数・面積」

国土法による届出物件は全取引件数の約1%を占めており、ほぼ同じ割合で推移しています。
年間取扱件数の少ない小規模仲介会社においては、届出義務のある物件を扱うことはかなり少ないと考えられますが、国土法は忘れてはならない法律と言えるでしょう。

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まとめ

バブル経済時の地価高騰を抑えるため国土利用計画法の果たした役割は非常に大きなものでした。
現在は1か所のみとなった監視区域ですが、当時は1,212市町村において指定され、届出対象面積は東京都では現在2,000平方メートルの地域は、当時100平方メートルに下げられていたものです。

参考:国土交通省「平成時代における土地政策の変遷と土地・不動産市場の変化」

現在は届出義務のある取り引きは少なくなりましたが、国土法による規制は引きつづき有効であり、2,000平方メートル以上の土地面積の場合は気をつけたいものです。

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