4月を迎え、繁忙期もひと段落ついてきたようだ。
今年はかなりコロナ前の状況に戻った印象である。
ユーザーの動きも活発だったし、それに合わせて不動産会社各社様もかなり忙しそうであった。
賃貸市場が回復基調にあることは間違いない。
しかし、現場の問題点としては都心部では人気のある物件が軒並み成約済みになり、紹介できる物件が少なかったことがあったようだ。
問い合わせは来ても紹介できる物件が少ないと、営業工数は何倍にもなってしまう。
さて、こうした繁忙期を終えると新入社員が多く入社してくる春の季節が訪れる。
毎年、この時期は新入社員の研修などでそれなりに私も忙しくなる。
以前も紹介したが、新入社員の研修のコツは「不動産事業を総合的に教えること」である。
賃貸仲介業の新入社員でもしっかりと賃貸管理業を理解するべきだし、その逆もしかりだ。
不動産業務全体を把握することで、入社後の仕事の取り組みが大きく異なっていく。
ちなみに、こうした新入社員の研修とは別に、ここ近年は「売上を今より上げるやり方」のような研修要望も頂くことが多い。
繁忙期を終えて、改めて仲介業務の個人成績を上げる方法を考える不動産会社が増えているようだ。
今回は、既存社員(勿論、新入社員のかたも導入できる)のかたへ向けた更なる売上向上の施策を少し紹介したい。
営業売上を上げるために、よく言われることは「接客力の向上」だ。
ヒアリングの徹底、物件提案の方法、内見時のトークなど、細かく接客のフェーズによって向上すべきポイントは多くある。
実際に、接客力を上げることで営業成績は大きく改善できるだろう。
しかし、今回紹介する施策は「それ以前の対策」である。
この「それ以前の対策」をしっかりと実施して、接客力向上の取り組みを行えば、かなり高い確率で売り上げは伸びていくだろう。
自身の営業分析
毎月売上が締まると、営業の成績としてはそれ時点の数字で終了である。
しかし、営業メンバーは月末に自身の営業活動を忘れていいわけではない。
自身の営業の振り返りを行うことは、最高の売上向上施策である。
ここでの営業分析方法は大きく2つある。
1.成約に至らなかったユーザーの振り返りと分析
成功したケースを振り返るのではなく、取りこぼしてしまったユーザーの属性や営業活動を振り返ることが重要だ。
昔、野球の野村克也監督が言った「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」である。
入居時期が合わなかった、希望物件がなかった、他社で申し込みをされた、こうした内容に対して自身でやれる対策がないかを徹底して考える。
実際に「直近で成果にならない作業」はとても億劫かもしれない。
しかし、自身の営業の振り返り作業は、中長期的に見て大いに成果になっていくのだ。
また、こうした振り返りをしっかりと自分自身で記録することだ。
スプレットシートなどでしっかりと記録し、いつでも振り返れるようにしておくことが重要になる。
2.成約したユーザーの分類
失敗した営業活動と同時に成約ができたユーザーの分析も同時に行う。
ユーザーの希望家賃、年収、エリアなどを記憶して、その共通点を見出していく。
このあたりの理解はなんとなく営業メンバーの頭の中にはあるかもしれないが、実際にしっかりと分析をしてみると思いがけず自分の「得意分野」に気づくことができる。
またそれと共に自身の「苦手な分野」にも気づくこともできる。
それによって、今後注力するポイントがわかるようになるのだ。
自身が内見した物件のトラッキング
これは以前も書いたが、自分自身が内見した物件をしっかりと記録する方法だ。
内見した物件をマッピングし、セールスポイントやデメリットを記録しておく。
仲介営業は、コミニュケーション能力と共に知識の提供も重要な要素である。
特に都心部の物件などは、無数にあり全てを頭に入れることは難しい。
しかし自身が内見をした物件をしっかりと記録するだけで、他の営業メンバーから一歩リードできる。
また一物件という「点」を記録し続けることで、「線」にすることができるのだ。
情報が線になることでエリアの特性の説明や他の近隣物件の紹介にも説得力が生まれ、成約率も上昇する。
上記の取り組みの「時間」を確保する
一番重要なことは、こうした営業や内見物件の振り返りの時間を「確保」することだ。
もしこれを読まれている方がマネージャーのかたならば、是非店舗に導入してほしい。
営業の振り返りを数日だけやっても意味はない。
できれば、1年間程度継続していかなければならない。
面倒かもしれないが、1年後には驚くほどの成果が生まれているだろう。
繰り返すが、世の中には自身の営業の振り返りをしている人は驚くほど少ないのが現実なのだ。
繁忙期が終わりつつある今、改めて自身の営業活動を見直してみてほしい。
そして、季節の変わるこの4月から営業活動の振り返りを業務に組み込んでみてほしい。
多くの気づきが生まれるはずだ。
また、それを実施しながら接客術の向上施策を行えれば鬼に金棒である。