毎年この時期になると、仲介会社では徐々に問い合わせが増え始める。
また、ユーザーの引っ越し希望時期も「来春までには」という要望が増え始める。
まさに繁忙期に近づいてきているという印象だ。
また仲介会社がこのように感じるように、管理会社もこの時期は同様に繁忙期が近づいていることを実感することが増えてくるだろう。
管理物件の退去届けが増加し、原状復帰の段取りや募集準備などの数が春先に向けて増加してくる。
仲介会社にとっても管理会社にとっても、これからの数ヶ月は一年で一番忙しい時期であることは間違いない。
管理会社(もしくは管理物件がある仲介会社)にとっては、繁忙期にはなんとしても空室を埋めきらないといけない。
当然のことながら、繁忙期の時期のユーザー数と閑散期のユーザー数は雲泥の差だ。
閑散期に「売れ残ってしまう」とリーシングの難易度は一気に上がってしまう。
今回は、繁忙期の空室対策として効果のあるものをいくつか紹介したいと思う。
1.空室物件のカテゴライズ
管理物件のなかには、比較的特別なリーシング対策をしなくても申込を獲得できる物件もあればそうではない物件もある。
実際、稼働率の高い管理会社の多くが空室物件をカテゴライズしてリーシング対策を実施している。
具体的にいえば以下のようなカテゴライズだ。
- 通常通り募集しても、リーシングに苦労せず、すぐに申込が獲得できる物件(A)
- 通常通り募集すると、少し時間がかかる可能性はあるが、短期間で申込が獲得できる物件(B)
- 通常通り募集しても、申込獲得まで時間がかかることが想定される物件(C)
- 高い確率で、リーシングに苦労し、問い合わせすらも期待できない物件(D)
リーシング対策を実行したとしても、すべての物件が同じ結果を出せるかと言えばそうではない。
特に対策が必要のない物件に対して、コストをかけてしまうのはやはり非効率である。
上記のカテゴライズでいえば、BやCの物件に対してしっかりとリーシング対策を行うことが重要である。
繁忙期前に是非物件のカテゴライズをしてみてはいかがだろうか。
2.仲介会社のリスト化とキャンペーン計画
リーシング営業は直接自社で申込を獲得する場合と、他社の仲介会社にお願いする場合がある。
もし他社付けを中心にリーシングをする場合は、昨年の繁忙期と今年の閑散期にリーシングをした仲介会社をリストアップしてみてはいかがだろうか。
リストアップした仲介会社に対して訪問や電話などでの挨拶を行いリーシング営業を行う。
かなり単純な方法だが、現実的にこうした仲介会社への営業はそれなりに効果がある。
重要なポイントは、とにかく無差別に仲介会社を訪問や営業をするのではなく、しっかりとこれまでの実績を振り返り仲介会社へ営業活動を行うことだ。
また仲介会社に対してのキャンペーンなども、しっかりと計画を立てて行った方が良い。
管理会社が行うキャンペーンはどうしても単発で終わってしまうことが多いが、しっかりと計画を策定していると断続的なリーシング対策になることができる。
3.空室物件の掲載写真の確認と差し替え
空室になった場合、過去に撮影した写真を掲載して物件募集を行うことがある。
写真のクオリティが高ければ問題ないが、クオリティが低い場合は写真の入れ替えを行う。
ちなみにこれは、ポータルサイトでも業者間サイトでも同様に対策しなければいけない。
写真の見え方で実際に問い合わせの数はそれなりに変わっていくのだ。
また繁忙期前に各管理物件の写真の確認などをして、事前に入れ替えなければいけない物件をピックアップをしておいても良いだろう。
4.長期空室物件の清掃
募集開始になってから半年以上空いてる居室は、繁忙期前にしっかりと簡易清掃を行う。
実際に清掃目的で空室の部屋に入ることで、思いのほか匂いが篭っていたり埃が溜まっていたりすることに気づくことも多い。
最近では、多くの管理会社がこうした長期空室物件の清掃を実施しているが、まだ実施していない不動産会社は是非試してみてほしい。
5.オーナーの条件交渉の前準備
様々なリーシング対策を不動産会社が行い、オーナーの希望通りの条件で申込みが入ることがベストだが、その通りにいかないこともある。
そうした場合はオーナーと交渉のうえ、賃料の値下げなどの条件交渉を行わなければいけない。
ここで重要なことはこうしたオーナーの交渉を繁忙期にするのではなく、事前に申し伝えておくことが重要である。
「〇〇や〇〇の対策をしても問い合わせ、申し込みが入らない場合は、段階的な値下げのご相談をさせてください」と伝えておく。
オーナーとの交渉は、信頼関係が前提になる。
信頼関係を築くためにもリーシング戦略の共有と報告、そして条件の相談の時期を事前に知らせておくことが、とても重要になるのだ。
以上のように、繁忙期前に準備しておきたいリーシング対策をいくつか紹介してみた。
繁忙期になって慌てることがないように、是非事前準備を空室対策として検討してみてほしい。
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