飛び込み営業という営業手法があります。
不動産業界では源泉営業と呼んだりりしますが、とにかく反響営業とは真逆にあるものです。
また、飛び込み営業とまではいかなくても、住宅展示場などへの集客がなくなったら、こちらから動いて新規客を見つけに行くしかありません。
不動産営業と住宅営業では内容が異なるわけですが、こちらから新規客を探す行為は同じです。
今日から複数回にわたってこのテーマを深堀していきます。
戸建て営業の方はもちろんですが、不動産営業で新規開拓に頭を悩ましているのであれば、少し違った観点からのアプローチになると思いますので、是非参考にしてください。
闇雲な飛び込み訪問で戸建て住宅は売れるのか?
当然こういう疑問が出てくるでしょう。
私は積水ハウス在職時代に飛び込み訪問をさんざんやりました。
その結果ですが、9棟を飛び込み営業で販売したのです。
もちろんこれには積水ハウスという知名度が有利に働いたケースもありました。
しかし、飛び込み訪問によって家を建てる予定がある人を発見したことは、動かしがたい事実です。
よって私の結論は、飛び込み訪問でも戸建住宅販売は可能であるとなります。
世界中をコロナが席巻する状態では、飛び込み訪問は難しいかもしれませんが、このトンネルを乗り切れば再び飛び込み訪問でも高額な商品が売れる時代が戻ってくると思います。
原始的飛び込み営業手法
いわゆる飛び込み営業というものですが、 住宅営業の世界でもこの手法は厳然と存在します。
私も新人時代にはさんざんやりましたが、今でも大手ハウスメーカーを中心にこの手法をとる住宅会社はたくさんあります。
もちろん、コロナ禍との特殊な事情の下では下火になりましたが、正常に戻れば必ず復活するでしょう。
アパートへの飛込訪問
基本はこれを徹底的に繰り返します。
アパートに住んでいる若年層が住宅取得予備軍ですから、飛込訪問をどんどんしていけば、必ずターゲットにぶち当たるからです。
関東地方の県庁所在地に置けるこんなデータがあります。
某ハウスメーカーとさせていただきますが、市内の県営団地及び市営団地に関して調査したところ、1年につき40世帯あたり1.5世帯が家を新築して、団地を出るということがわかりました。
大手ハウスメーカーになると膨大なデータが存在します。
例えば群馬県高崎市内で10年間に契約をしたお客さんのデータを調べれば、高崎市内の県営住宅や市営住宅居住者が契約した数字は一瞬にして出てきます。
公営住宅の全戸数に対する契約者の数字を計算すれば、 その比率は簡単に出るのです。
例えば100世帯あたり一世帯が一年間にこの会社と契約をして戸建住宅を手に入れたとしましょう。
この場合、理論的には高崎市内の県営住宅100世帯をピックアップすれば、その中の一世帯は1年間で必ず契約をするという計算が成り立ちます。
もちろん他のメーカーや工務店でも家を建ててるわけですから、実際にはこの2倍以上の潜在顧客が眠っていると想定できます。
後は数の理論です。
この数字をもとに動いていけば県営団地に的を絞った営業戦略というのも成り立つことになります。
古い公営住宅に目をつける
綺麗なアパートでももちろん良いのですが、古い公営住宅というのは、飛び込み訪問において超狙い目と言ってもいいターゲットです。
節約してお金を貯めてる人がいる
例えば家賃が25,000円の築45年の公営住宅があるとしましょう。
これに対して、周辺にあるほぼ同じ平米数の新しくおしゃれな民間マンションでは、家賃が3倍から4倍はすると思います。
仮に3倍の75,000円だとすると、毎月5万円、つまり年間で60万円の差が出ます。
これを5年間のスパンで比較をすると300万円の現金が手元に残るという計算です。
そして古い公営住宅で我慢して暮らしてる人は、節約意識が高いので、より多くの頭金を確保してると想像できるのです。
私はこの理論を頭から信じていたので、 営業エリアにある古い公営住宅を、徹底的に飛び込み訪問しました。
公営住宅には二種類の人が住んでいる
散々回って気づいたことがあります。
公営住宅には2種類の人が住んでいるというのが、私の結論です。
②所得が少ないので家賃の安い公営住宅に住んでる人
築42年の古い市営住宅を飛び込み訪問したことがあります。
1棟あたり30世帯あったのですが、2回の飛び込み訪問を全世帯にした結果、不在もしくは居留守で会えなかった世帯が13世帯でした。
残りの17世帯は玄関を開けてもらえないものの、声を聞けたというのも含めて、ひとまずお話をすることはできました。
17世帯の中で明らかにマイホームなど検討外という方が12組。
ところが、残る5世帯のうち、なんと二世帯が「建築予定はありますよ」と明快に言い切ったのです。
ただ、私としては30世帯の公営住宅があれば、一件二件は真剣にマイホームを考えてる人がいるということを体感的に分かっていましたので、さほど驚くこともなく「この棟には二人いたな」 と思っただけでした。
この時は残念ながら2件とも契約に至らないどころか、折衝状態に持ち込むことすらできませんでした。
しかし、何の情報もない中、家を建てる人を営業の足で見つけ出した のです。
今は絶対にできないナンバープレート飛び込み営業
50歳以上だったら経験があるかもしれません。
その逆に20代30代の営業マンの方は、聞いたこともないような飛び込み利用方法がかつて存在しました。
住宅展示場で来場者の車のナンバーチェック
住宅展示場にはお客さんが車でやってきます。
そのお客さんが自社の展示場に入ってくれば問題ないのですが、大きな展示場になるとそうはいきません。
しかし、総合住宅展示場にきたということは、この方達は家を建てる強い意志を持っていると推測できるのです。
住宅営業マンであればアプローチしたいところですが、自社展示場に入ってくれなければアンケートを当然取れませんので、住所氏名などは全くわかりません。
そこで発明されたのが次の恐ろしい手口。
お客さんの車のナンバーをこっそり控えて、後日陸運局に行って住所を調べるのです。
「何の話をしているのか?」と若手の営業マンの方は言うでしょう。
しかしこの手法が禁止される以前である30年以上前は、こんな営業手法が可能だったのです。
私の友人の会社はこうして受注を上げていた
実話をお話しますね。
私の大学時代の同級生なのですが、卒業後は大手のハウスメーカーに就職しました。
色々あって8年後に退職したのですが、退職と同時に仲間四人と協力して北海道で住宅会社を立ち上げたのです。
Hホームどの名称で営業開始したのですが、展示場やショールームなどは全くありません。
ところが受注は絶好調。
まさにコバンザメ商法と言えるのですが、札幌市内の総合住宅展示場の駐車場が見える場所に陣取り、倍率の高い双眼鏡で駐車場に止まっている車のナンバーを全部チェックしたとのこと。
土日に集めたナンバーを、翌日の月曜日に陸運局に行って住所氏名を調べ上げたそうです。
そして後は飛び込み訪問を装って、そのお宅に顔を出すわけです。
いかがですか。
ちょっと信じられないと思いますが、個人情報保護法の気配すらなかった時代には、こんな飛び込み訪問営業が実際に行われたのです。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。