建材流通商社、銀行、保険、電気、ガス、など工務店に出入りする取引業者の皆さんがたくさんいるかと思います。
それぞれに担当営業マンがいて、定期不定期を問わずみなさんの事務所に顔を出すことでしょう。
銀行であれば「新しいお得な住宅ローンが発売されましたのでお客様にぜひ勧めてください」とセールスするでしょうし、建材流通商社であれば「ウッドショックの厳しい状況の中ですが弊社は早い納期で対応できます」とアピールするかもしれません。
会社の方針はそれぞれあるのですが、基本的にはお客さんとなる工務店に対して、何らかのお役立ちになるような提案をするとともに、工務店に頼られるような存在になれとの指示が出ていることが一般的です。
様々な情報を彼らは発信しているのですが、受け手である工務店がそれを活用しきれていないことに私は大きな不満を感じています。
せっかく情報提供してくれるのですから、それを最大限に活用しない手はないでしょう。
新築激減の時代へ
新築激減予想がずいぶん前から出ています。それと反比例してリフォームが激増するのであればまだ帳尻は合うのですが、リフォームは微増との予想が出ています。
明らかに厳しくなるのがわかっているのですから、少しでも会社の利益になるような情報は積極的に入手すべきですし、会社の営業の手助けとなるような動きをしてくれる取引業者は積極的に活用すべきです。
新築軽減に関するコラムは短く端的に下記の記事でまとめてありますので是非ご覧ください。
アスベストに対する工務店の鈍い反応に驚く
日本国内には建材会社が無数にあります。
業界内では流通などと呼ばれますが、これらの建材会社は取引先である工務店に対して様々な情報サービスを提供していることが多いのです。
アスベスト取り扱いについて法律が強化されたのは皆さんご存知だと思いますが、細かいことまで熟知している工務店は激減するのが現状です。
・請負金額が税込100万円以上の改修工事
・請負金額が税込100万円以上の一定の工作物の解体・改修工事
これら三つのどれかの条件に当てはまるものが対象になります。
解体前のアスベストの調査義務は2020年からスタートしているのですが、2022年の4月からは調査報告の義務付けがなされました。
これらの細かい情報を工務店が完全に把握するのはなかなか困難でしょう。
建材流通の営業がアスベスト講習会への参加を促すのだが
前述した建材を取り扱う商社の営業マンが、顧客となる工務店に対して義務化となるアスベストの話をするのですが、 現場では次のような会話が頻発して困っているケースが多数発生しています。
建材営業「アスベストに関する法律が強化されて、色々とややこしくなるの社長はご存知ですか?」
工務店 「初耳だよ」
建材営業「多くの工務店さんがまだ知らないのが実情なんですよね。それを受けて弊社ではアスベストに関するWeb 説明会を実施しますので是非参加されてください」
工務店 「まだいいよ。時間があったら出るわ」
このような反応が非常に多いらしいのです。
建材流通にとっては、工務店は大事なお客さんですのであまり強く押せないのですが、彼らにとっては工務店の衰退は自らの衰退をも招くわけで、アスベストに関する話は絶対に理解してもらわないと困ると考えているのです。
しかし前述したように、これらのサービスに対して無反応であったり無関心であったり、更に言うならば鬱陶しがるような反応を示す工務店がそこそこにあると聞いています。
流通にとって工務店は大事なお客さんになりますので、あまり強く迫ることはできないのですが、内心は「こんな大事なことを話ししているのにどうして無関心なの!」が本音です。
彼らは口が裂けても言えないので私が代弁させていただきました。
お役立ちに徹するA社、営業のみのB社
とある県に存在する流通建材業者のA社とB社。
私はA社と懇意にしているのですが、B社については全く面識はありません。
営 業「B社はお役立ち情報とかその手のものは一切ないですね。合板を売るだけ。その分うちよりも若干安いかもしれません。分かってくれる所は我が社と取引してくれるのですが、とにかく値段しか見ていない工務店さんが多いのも事実です」
私 「値段が倍も違えばどうしようもならないけども、大きな差がないのであればA社と取引をした方が結果的には得だと思うんだけどね」
営 業「私もそういう営業するのですが、なかなかうまくいかないんですよ(笑)」
これはつい最近、流通の営業マンと交わした会話です。
工務店の気持ちは分かります。
少しでも安い合板を仕入れたいのは当然でしょうし、1円でも安ければそのぶん利益の確保になるわけですから、当然といえば当然です。
ただ、A社のように付加価値をサービスの一環として提供する会社と取引するようにしてください。
アスベストの件でもそうですが、工務店が困らないために様々な情報提供をして無料セミナーまで開いてくれるのです。
取引業者のショールームを活用しないのは重大な機会損失
電力会社もガス会社も、それぞれの地域にショールームを持って持っています。
例えば九州の西部ガスでは、HINATA(ひなた)とネーミングされたガスショールームを福岡、長崎、熊本の各県に複数所有しています。
工務店はお客さんとの商談スペースとしてこれらのショールームを自由に使えますし、 ガスの説明をして欲しいと頼めば快く引き受けてくれます。
これに対して九州電力も、同じような動きで対応してくれることでしょう。
私が九州で工務店を経営していれば、西部ガスであれ九州電力であれ可能な限り活用することを考えます。
ショールームを無料で使えるわけですし、ガスや電気の専門的な説明を無料で説明してくれるのです。
ところが不思議なことに、徹底的に活用する工務店がいる一方で、このメリットをほぼ活かさないような工務店が多いのが実情です。
私は積水ハウス時代に〇〇に助けてもらいました
積水ハウス在籍当時の話ですが、標準仕様のトイレはTOTOを使ってました。
あくまでも標準がTOTOのトイレなだけですから、お客さんの希望があればINAXなど他製品に変えるのはもちろん全く問題ありませんでした。
忍び寄るINAX営業マン
私がいた展示場にはINAXの営業マンが度々顔を出していましたが、もちろん彼は積水ハウスがTOTOのトイレを標準採用してることは知っていたわけです。
度々顔を出せば営業マンとも顔見知りになりますし、彼が人一倍気さくだったこともあり私は懇意にしていました。
展示場にやってくると帰り際には必ず「お客さんにINAXの製品も勧めてくださいよ、お願いしますね」と念押しして帰って行くのです。
ただ、彼には他の営業マンには見られない大きな特徴があったのです。
今でこそインターネットがありますが、その当時は業界の最新情報を得るのは至難の技です。
私は事あるごと、INAXの彼にトイレ業界における最先端の情報があったら教えてね、と伝えていました。
彼は私の要望をしっかり聞いていて、展示場に来るたびに非常に興味深い最先端情報や裏話を提供してくれたのです。
こうなると後は浪花節の世界。
契約してくれたお客さんに対しても、標準のトイレはTOTOだったものの「INAXさんも良い商品を出していますのでご紹介いたしますね」と話をするようになりました。
メーカー選定の決定権はあくまでお客さんですから、ごり押しするようなことは絶対にしません。
しかし、TOTOとINAXの製品を並列にして紹介したのです。
このようにすれば、INAXの製品も一定程度採用されることになり、結果的にはINAXも私もwin-winの関係になったのです。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。