これまで連載してきた私の受注ノウハウテクニックのご紹介に一旦区切りをつけて、新しいシリーズを開始します。
これまでもたびたびコンサル現場で見た問題点の報告を、このコラムでとり上げてきましたが、しばらくこのテーマから遠ざかっていました。
それからさまざまな現場を見てきましたので、新たな発見や驚きなど新種の問題点を豊富に蓄積できました。
今日第一回目として、コンサル現場で見た話を再びシリーズ化して書き進めていきます。
一発目のテーマはZEH(ぜっち)です。
かなり前からこの言葉は業界の中で認識されていますし、政府の方針なので着手せざるを得ない問題なのですが、小規模工務店の皆さんを中心に先送りになっているのが実情です。
まごまごしていると時間切れになる重要問題です。
某建材会社社長の嘆き
建材などを工務店に卸す会社が全国に至るところにあります。
私はそうした様々な会社の社長と面識がありますが、本州のある県にある某社の社長と、ZEHに関して今やりとりを色々としている最中です。
「取引先の工務店さんがなかなかZEHに真剣に取り組んでくれないんだよね。もう時間がないから早くしなくてはいけないんだけど」
このような話を以前からしていました。
「ZEH啓蒙ビデオがあれば面白いね」
社長からふとこのような話があり、これがきっかけで私がこのビデオを作る話になったのです。
どんなシナリオで、ポイントはどこに置くか、などをじっくりと今考えている最中ですが、このビデオではZEHの細かい制度や内容についてはあれやこれやと触れる予定はありません。
冒頭にも書いたように、ZEHの内容を勉強するビデオではなく、工務店の皆さんに前向きにいかに取り組んでもらうかの啓蒙ビデオに仕上げたいからです。
着手もしてないので完成はまだまだ先ですが、その時が来たらこのコラムでも告知させていただければと思います。
ただ、著作権などの問題がありますので、オープンでお見せできるかどうかわかりませんが、この問題がクリアされればユーチューブ上でご覧いただけるようにします。
社長の嘆きは本当なのだろうか
小規模工務店の皆さんがなかなかZEHに取り組んでくれないと、この社長は嘆いてたわけですが、実際のところはどうなのでしょうか。
ZEHを軽視する工務店が多いのは事実
ZEHに対するさまざまな意見があるのはわかります。
太陽光に関しても、載せるのが当たり前だという工務店もあれば、懐疑的な工務店もあるのが事実でしょう。
両者の言い分は、私もそれぞれ理解できるのですが、間違いなく言えることは、2025年に向けて国が目指す方向は一つだということです。
現実問題として国がZEH推進に向かってるわけですから、工務店もこの流れに逆らうのは得策ではないでしょう。
マイナンバーカードがまさにそれと同じことで、なかなか普及促進が進まなかったのですが、ここにきて一気に取得人数が1億人を超えてきました。
マイナポイントで一人最大2万ポイントを付与する、と人参をぶら下げたのですが、当初は思ったように進みませんでした。
しかし、健康保険証との紐付けや最終的にマイナカードにすべてを移行させると国が決定した瞬間に申し込みが殺到したわけです。
ZEHも同じような匂いがしてなりません。
周囲の工務店がさほど取り組んでいない空気を感じているので「まだそんなに焦らなくてもいいんじゃないか」
このように考えている工務店が多いのです。
しかし、2020年が接近してくると、周りの工務店も一気にZEHに動き出し、それを見て大慌てでほかの工務店も対応し出す情勢になると私は思っています。
結果的にやらざるを得ないのですから、取り組むならば早い方がいいに決まっています。
一条工務店が掲げる超ZEH
一条工務店は住宅の性能を前面に押し出して、受注をこれまで伸ばしてきました。
ZEHに関してもその動きは同じで、業界最先端の取り組みをしてきたわけですが、単なるZEHでは他社と差別化がつきにくくなってくるので、一条工務店は超ZEHを謳ってさらに先に進む選択をしました。
超ZEHとは?
※ 一条工務店ホームページより転載
この表が示すように、一般的なメーカーのZEHは省エネと創エネでエネルギーの削減を目指し、最終的にエネルギー収支がプラマイ0になることを当面の目標としています。
しかし、一条工務店の超ZEHは、超省エネと超省エネでエネルギー収支を大きくプラスに持っていく考え方です。
個人的にはここまでの数字がいるのだろうか?という疑問を私はもっていますが、性能にこだわるお客さんが多いのは事実で、超ZEHの謡い文句が一定の訴求力を持っているのは事実でしょう。
もちろんここまで求めないお客さんも一定数いますし、高い性能の住宅は要望するものの、太陽光パネルの廃棄問題やSDGsに対する懐疑的な考えを持っている方の中には反対するケースも出てくるでしょう。
しかし、繰り返しますが国の方向性は既に決まっています。
最終的には2050年を目指しているわけですが、当面の目標としては、2025年と2030年に一定のハードルが待ち構えています。
2030年には義務化の基準をZEHレベルまで引き上げるので、あと7年しか猶予がありません。
「まだ7年あるか・・・」
こうした考えを持っている工務店さんがものすごく多いのが実情でしょう。
しかし、マイナポイントと同じなのです。
周囲が動かないと余裕綽々の気持ちで構えているのですが、動き出したら業界は一気に一方向に流れるでしょう。
そのとき慌てても遅いので、今のうちからZEHの内容や国のロードマップを完璧に頭の中に叩き込みましょう。
営業現場の実態
比較的大きな会社が所有する住宅展示場で、お客さんと営業の間でどのような会話がされているかを皆さんにお話します。
ZEHなる言葉の認知度ですが、これはさほど高くないと言えるでしょう。
少なくとも、営業との会話の中で、お客さんからこの言葉が出ることはあまり多くはありません。
「ZEHには対応していますか?」
お客さんからこのような質問が出ると驚くぐらいです。
だったらそんなに慌てる必要ないじゃないか、と言われそうですがそれは早合点と言えるでしょう。
お客さんの認知度が低いのは事実ですが、何度も繰り返すように2025年には一定のハードルが待ち構えているからです。
ニュースにもなるでしょうし、大手ハウスメーカーは当然のことながらこの基準をしっかりとクリアしてくるので、2025年が迫ってくると、営業現場ではこの話しをどんどん押し出して来るでしょう。
ZEHを全く知らなかったお客さんも、営業からこの言葉を聞いて国のロードマップを説明されれば「今時ZEH基準を軽視してるような工務店ではお話にならないね」と考えるのです。
実際にあったこんな会話
ある大手ハウスメーカーとしておきますが、完全フリーで来店されたお客さんと営業の会話を現場で私は耳にしました。
奥様「〇〇ハウスさんはZEHには対応していますよね?」
営業「もちろん対応していますが、奥様はかなり勉強されているようですね?」
奥様「そういうわけでもありませんが、実は住友不動産さんを見学したときに、営業さんからその話を徹底的に聞かされて頭に入ってしまったのです」
ここでは、たまたま住友不動産の話が出ましたが、想定される会話ではあります。
ZEHを全面的に押し出すハウスメーカーに行ったお客さんは、ほかの住宅会社に行くと、このような質問をしたくなるのでしょう。
住友不動産の営業に聞いたことがあるのですが、お客さんに対して作り込んだ資料を作っていて、それを使用してZEHの重要性を強く訴えるとのことでした。
まとめ
2050年に向けてのロードマップや、その他の細かいこともコラムで書こうかとも思いましたが、あまりに長くなってしまうことに加えて、読んでも面白くないと思ったのでしました。
確かに面白くありません。
この手のものは、文章で読むと理解するのがなかなか大変なのです。
だから、ZEHに関するセミナーがあれば、積極的に参加して話を聞いてほしいと思います。
人が解説する話を聞いた方が圧倒的に理解しやすいですし、労力も少なくて済みます。
最後に冒頭のテーマに触れますが、某建材会社の社長はこう言います。
「うちでもZEHに関するセミナーはちょこちょこやるのだけどもう参加者が少ないのだよね。そろそろ焦らないとヤバいはずだけど」
これが現状なのです。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。