不動産従事者であれば「任意売却取扱主任者」という資格に興味を持っている方も多いのではないしょうか?
ひとつでも自分の武器が欲しいという理由から任意売却取扱主任者を目指す方も増えてきていますが、実際のところ任意売却取扱主任者はメリットがある資格なのでしょうか?
本ページでは
- 「任意売却取扱主任者」って意味あるの?
- 「任意売却取扱主任者」は取ったほうがよい?
- 「任意売却取扱主任者」の合格率?
といった悩みや疑問についてご紹介いたします。
お客様から任意売却の相談があっても、
経験が少なくどうすればいいかわからない
任意売却は通常の仲介と比較して、確かに難しいです。
ただ、それは他社も同じ。
任意売却を扱えるようになることで、他社と大きく差別化を図ることができます。
本動画では任意売却を手掛ける際の「マーケット知識」「債務者との折衝の仕方」「債権者との交渉の仕方」「陥りがちな失敗」をお伝えさせていただきます。
任意売却取扱主任者の概要
任意売却取扱主任者は「一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会」が実施する民間資格です。
任意売却取扱主任者を理解するためには、まずは任意売却について理解する必要があります。
ざっくり任意売却とは?
住宅ローンを組んだ方が「滞納」「支払い不能」になった場合、通常、競売による差し押さえが行われます。しかし任意売却の場合、借りている金融機関からの合意を得て、通常の取引と同様に不動産・土地の売却を行うことができます。
債務者からすると、任意売却であれば通常の不動産取引と変わらず、ただ不動産を売っただけなので、住宅ローンの支払い残債や懐事情を周囲に知られることもなく不動産を手放すことができます。
貸している金融機関としても焦げ付きかけの住宅ローンが、任意売却した代金から回収することができます。
債務者・債権者、双方にメリットがあるのが任意売却です。
任意売却取扱主任者の仕事は、
- 債務者にたいして任意売却の流れ/注意点
- 債権者間の調整
- 連帯保証人からの合意の取り付け
などを行い売却までサポートすることにあります。
ただし、任意売却取扱主任者は独占業務がありません。(後述します。)任意売却取扱主任者の資格を持っていなくても上記のような仕事を行うことは可能です。
試験概要・日程
受験資格
- 弁護士、税理士、司法書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者の有資格者
- 金融機関、債権回収業または不動産業に2年以上従事した者
試験内容 | 四肢択一:40問、筆記:2問/120分 ①宅地建物取引業法、都市計画法、建築基準法、民事訴訟法、民事執行法、税法、民法、弁護士法などの法律問題 ②任意売却取引に必要な手続き等の商慣行や実務に関する問題 |
願書申込み受付期間 | 7月中旬~9月下旬頃まで(年1回) |
試験日程 | 11月下旬頃 |
受験地 | 東京、大阪 |
受験料(税込み) | 16,200円 |
合格発表日 | 1月上旬頃 |
合格率は40%前後
任意売却取扱主任者の合格率はここ数年40%前後を推移しています。
宅地建物取引主任者は15%前後ですので、宅建と比較すると簡単に取得できそうですが、まったく勉強しないで臨むと不合格になります。
任意売却取扱主任者を保有するメリットは本当にあるのか?
ここからが本題です。
不動産実務を行う方、これから不動産実務に携わる方にとって一番大事なのは「任意売却取扱主任者を保有するメリットは本当にあるのか?」という点です。
まず先に結論からお伝えしますと、任意売却取扱主任者を保有するメリットはあまりありません。
いくつかの角度から考えていきます。
独占業務の有無
先ほど簡単に説明した通り、任意売却取扱主任者には独占業務がありません。
宅建であれば
- 契約締結前の重要事項の説明
- 重要事項説明書面への記名押印
- 契約内容書面への記名押印
さらに、ひとつの事務所において「業務に従事する者」5人につき1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士の設置が義務付けられいます。
宅建の場合、独占業務もあり、企業から必要な資格のため、需要があるわけです。
一方、任意売却の場合、知識があれば誰でも任売の業務を行うことができます。
求人面でもあまり優遇されることがなく、任意売却取扱主任者を保有していれば資格手当などといった会社も少ないです。
「独占業務がない」のであれば、時間をかけて資格取得する理由もなくなります。
知名度
任意売却取扱主任者は知名度が低いです。
不動産従事者であれば、聞いたことがある方も多いかも知れませんが、お客様にとっては「任意売却?なにそれ?」というレベルです。
すぐにピンとこないのでブランディングにも繋がりにくく、さらに今では調べればすぐに合格率40%といった情報も出てきます。
あまり任意売却取扱主任者であることを武器にするのは得策とは言えません。(資格全般に共通して言えますが・・)
銀行との付き合い
これは独立しているケースに限りますが、任意売却を専門としている場合、金融機関から警戒されやすいです。
金融機関から貸している住宅ローンを辞めて、売却手続きを促すですから、金融機関側からするとあまり良い印象はありません。
融資を受けられない。口座を開設できないなどの問題が発生する可能性があります。
競合他社の存在
任意売却の場合、競合は不動産会社だけではありません。
- 司法書士
- 弁護士
- 税理士
- ファイナンシャルプランナー
といった士業も競合に含まれます。
仮に、自分が借金を抱えてしまい、借金の整理についての相談を行いたいと思った場合、どこに相談するでしょうか。
多くの方が弁護士・司法書士といった法律事務所を選択します。
不動産会社にまっさきに相談するというのはレアケースです。
任意売却取扱主任者だからといって集客が成功する可能性は極めて低いです。
任意売却取扱主任者(資格)では勝負できない
任意売却取扱主任者に限らず、資格を持っている程度では、競合ひしめく不動産業界で勝ち続けることはできません。
独占業務のない任意売却取扱主任者であればなおさらです。
資格を勉強する時間をビジネススキルの向上や現場経験を積む時間にあてたほうが将来的に役立つスキルを身に着けることができます。
資格を武器にする人は業界では使えない認定されます。下記の記事で紹介していますので、ご参考に。
▶宅建士を武器にする営業マンは役に立たない説【これマジです】
まとめ
総論、任意売却取扱主任者は売上げアップのため、集客のためにわざわざ取る意味がある資格とは言いにくいでしょう。
わざわざ時間を割いて取得する資格ではありませんが、知識の確認には役立つかと思います。
不動産会社のミカタでは資格に頼ることなく、売上げを上げる方法を紹介していますので、こういった情報も是非チェックしてください。
はじめての任意売却の手掛け方
お客様から任意売却の相談があっても、
経験が少なくどうすればいいかわからない
任意売却は通常の仲介と比較して、確かに難しいです。
ただ、それは他社も同じ。
任意売却を扱えるようになることで、他社と大きく差別化を図ることができます。
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