こんにちは。ミカタ株式会社の大場真理子です。
皆様、一括査定サイトを利用していて「また同じ方からの反響だ」と思ったことはありませんか?
私が売買仲介営業時代に一括査定サイトを利用していた時期は何度も感じたことがあります。
一括査定サイトは、不動産査定を依頼できる便利なツールです。
しかし、時折同一人物から複数回の査定依頼が行われることがあります。
本記事では、この現象の理由について解説し、その背後にある要因について考察します!
まず、データの基になる内容としては、弊社は一括査定からの反響に対して、すぐに電話しアポ取りを代行する『一括査定初期対応コールセンター』というサービスを運営しています。
現在、日本で一番一括査定サイト反響の電話代行を行っているサービスです。
月間3,000件以上の対応をさせて頂いております。(2023年7月現在)
一括査定サイトの数は弊社が把握しているだけでも全国約40社以上も存在します。
地域限定なども含めるとそれ以上存在するかもしれません。
弊社の莫大なデータから一括査定案件の重複について調査をさせて頂きましたのでぜひ参考までにご覧いただけると幸いです。
【全体の13% 22,000件のうち約3,000件が重複案件だった!】
まずは、全体の重複結果をご報告させて頂きます。
送反響数:22,865件
重複件数:2,999件
重複割合:13%
※重複・・・同一人物より複数または同一の査定サイトに2回以上査定依頼があったもの
そして、少し調査の視点を変えて調査も致しました。
1回目の反響から30日以上半年以内に再度査定依頼をした方:234件(7.8%)
1回目の反響から半年以上1年以内に再度査定依頼をした方:2,414件(80.4%)
重複案件2,999件のうち約20%が半年以内に再度査定依頼をかけており、約80%は半年以上1年以内に再度査定依頼をかけていることが分かりました。
【重複の回数について】
異なる媒体に2回登録:9.9%
同一媒体に2回登録している方の89%のうち82%は大手3媒体を利用し、再度同じ査定サイトを活用している方が多いことが分かりました。
【重複案件の初回対応結果】
訪問査定着地:15%
机上査定着地:36%
14回架電終了:16%
※14回架電終了・・・弊社サービスでは1件の反響に対して14コール(毎日2回×7日間)の架電代行を行っております。
1回目の査定依頼の通電結果についても調べてみました。
架電結果が訪問査定・机上査定・14回架電終了で重複の67%を占めている結果となりました。
【なぜ最初の不動産会社に連絡をせずに再査定をかけるのか?】
こうした背景から、同一人物が複数回の査定依頼を行う理由はいくつか考えられますが、1つ例を挙げるとすると不動産情報の正確性と査定会社の信頼性を確認する為だと思っております。
不動産売却は大きな経済的な取引であり、査定は売主にとって重要な判断材料です。
異なる不動産会社からの査定結果を比較することで、一つの査定結果だけに頼らず、複数の専門家の意見を得ることができる為です。
そこでなぜ最初の不動産会社に連絡をせずに再査定をかけるのか、仮説を立てました。
1.同時査定の数を増やしたい
同日に重複があるケースに考えられると思います。
媒体によっては参入企業が少ない場合、同時査定が1社〜2社の時がある為です。
査定をお願いする不動産会社を増やしたい為に、複数の査定サイトに登録する可能性が考えられます。
2.査定依頼したけど不動産会社から連絡がない
このケースは最初の査定依頼から数日経ってからの重複に考えられると思います。
忙しいから後回しにされているケースや市街化調整区域や再建築不可の物件は売却ができない・対応したくないという不動産会社もいらっしゃるからです。
3.連絡頂いた不動産会社に任せられると思わなかった
こちらのケースも最初の査定依頼から数日経ってからの重複に考えられると思います。
不動産取引には法的な手続きや、市場動向の把握、交渉スキルなど、幅広い知識とスキルが必要です。
もし売主が不動産に関する資料・知識・経験が不足していると感じる場合、別の不動産会社を探そうと思うかもしれません。
4.不動産会社を覚えていない
期間が空いて再度査定依頼をかけることもあります。
一括査定依頼をしてから実際に売却活動に移るまでに時間がかかるケースも多々あるためです。
特に初めての不動産取引やまだ不動産市場に関わり始めたばかりの場合、定期的に接点を持ち続けないと名前を覚えていない可能性があります。
【重複案件は案件化するのか?】
重複の一括査定って、実際どのくらいの案件が売り出されるのか?
調査時点における最新の登記簿謄本を閲覧し集計致しました。
集計対象の案件は、弊社のコールセンターで初期対応を代行させて頂いたものを集計しています。
非常に驚いたのですが、机上査定顧客よりも重複顧客のほうが売買率は高くなっていたのです。
やはり、何度も査定依頼をかけてる顧客は売却意欲が高い顧客は多いということがわかりました。
したがって、「また同じ方からの反響だ」と肩を落とすのではなくしっかりと追客を行い、なぜもう一度査定依頼をかけてきたのか本質を見抜く必要性がある為です。
重複を防ぐために、どのような対処法を行うべきなのか解説をしていきます。
1.同時査定の数を増やしたい
→ここに関しては正直難しいと思っております。
同時査定が1社〜2社の場合、いくつかの不動産会社と話をして任せる会社を決めたいという層になるかと思います。
他社に劣らない為にも売主に誠実に対応することが大事です。
他社と差別化するにあたり、すぐに実践できる方法を1つご紹介させて頂きます。
査定書をメールと郵送両方でお送りすることです。
実際に2つの手法で査定書をお送りしている不動産会社は少ないかと思われます。
まずはメールにて当日中に簡易査定書をお送りし、迅速に対応してくれる会社という印象をつけます。
そして、郵送をしないとそもそも土俵にあがれません。
なぜならば、売主は後日手元にある査定書を基に訪問査定に呼ぶ不動産会社を決めるケースが多い為です。
家にプリンターがなく、メールだけでは何ページもある査定書をすべて読み切れないでしょう。
すぐに始められる手法としてぜひ行っていただけると幸いです。
2.査定依頼したけど不動産会社から連絡がない
→査定対象地が市街化調整区域や再建築不可の物件は売却ができない・対応したくないというケースもあると思います。
しかしながら連絡をしないのは不誠実であり会社信用にも関係してきますので、対応が難しい場合は売主にしっかりと連絡を入れましょう。
また、重複案件は媒体によっては除外申請の対象になるケースもありますが、どの媒体にも除外申請を行える期間が限られてます。
他の業務に追われていると期限に間に合わない可能性もあるでしょう。
もしも、忙しいから後回しになっている場合は社内体制を見直す必要があります。
反響1件でも課金か非課金によって大きく費用面は左右される為です。
一括査定の件数を減らすのか・人員を投下するのか・一時対応を外注する選択をする必要性がでてきます。
3.連絡頂いた不動産会社に任せられると思わなかった
→こちらに関しては提案内容を見直す必要性があります。
よくあるケースですが沢山の数をこなしていると流れ作業になってしまうこともあるかもしれません。
しかしながら、売主にとって貴社は唯一頼れる存在なのです。
お客様の悩みや要望をしっかりとヒアリングをし、適切な提案をすることが大事になります。
近隣の競合はどのような資料や提案をしているのか調査することによって競合との差別化・自社資料に足りない物は何か、差別化するために対策を練りましょう。
4.不動産会社を覚えていない
→媒体によっては最初の査定から3ヶ月を超過していると除外申請ができない場合もあります。
3ヶ月も経過し再査定を依頼しているので、売主の状況変化が考えられる為です。
そして、売主が不動産会社を覚えていないという理由は大変悲しいです。
追客を行っていれば不動産会社を忘れることはないはずですよね。
そもそも、売却案件は長期化するケースが多いです。
なぜならば、住みかえ・離婚・相続などの売却までに長期にわたる理由が多いからでしょう。
それゆえに、重複案件の80%が半年〜1年以内に再度査定依頼をかけていることが分かりました。
しっかりとこの期間まで追客を行うことは重要度が高いと言えると思います。
もう一度反響をかけるということは心境や環境の変化に動きがあった指標ととらえることが出来る為です。
【最後に】
一括査定の反響から実際に売買している方も一定数いらっしゃいます。
先日弊社では、約1年半前に一括査定を利用された方々の登記簿謄本を取得しました。
その中で重複案件は34%の方が実際に売買を行っていることも判明しております。
3人に1人の計算です。重複の案件化期待値は高いと言えるでしょう。。
さらに、成約日数を集計してみたところ、査定発生日から売買までの平均日数は約207日でした。
反響取得後、約7ヶ月で売買が成立してるのです。
これを踏まえて、最低でも7か月は追客をするべきと言えます。
したがって、7ヶ月間メールやお電話できちんと追客し、お客様と連絡が取れていれば約3割は案件化するのです。
重複案件は長期追客を行い、しっかりと接点を持ち続けることによって得られている効果はあるのではないかと思います。
最初に、長期間の追客方法として一番取り入れやすいのはメールです。
理想としては7ヶ月間週1で連絡をとることです。営業メールではなく、売却ノウハウ・お役立ち情報をお送りしましょう。
定期的に接点を持ち続けることによって忘れられることを防ぐこともでき、気にかけてくれて信頼して任せられる不動産会社と思っていただけるはずです。
自社で対応するのが難しい場合は、ツールなどもございますので導入するのも効率化を図る為にはひとつの手段だと思います。
自社の追客方針を今一度、見直していただくことで、より成果に繋がる可能性がございますのでご一考頂けますと幸いです。
今後も調査対象件数を増やしながら定期的に実施していくつもりでおります。
より多くの件数を調査し、精度の高い統計データを公開していく所存ですので、次回の調査もお楽しみに。