一括査定サイト毎の所有権移転率について調査してみました

弊社は、一括査定サイトの反響に対して、訪問査定のアポイント取得をする「初期対応コールセンター」を提供しております。

サービスを運営していく中で、不動産会社様から

「どのような査定サイトがオススメなのか?」
「実際に案件化する査定サイトが知りたい」

といったご質問をよくいただきます。

このようなお悩みを少しでも解決するべく、弊社では査定サイト毎の通電率や訪問査定率をご紹介させていただいています。

その中で今回は、登記簿謄本を基に「査定サイト毎の所有権移転率」について調査し、レポートにまとめさせていただきました。

本レポート記事が、不動産会社様の日々の営業活動や査定サイトの選定などに少しでもお役に立ちましたら幸いです。

【調査概要】

調査期間:2023年4月~2023年10月
調査概要:①「一括査定初期対応コールセンター」で受信した査定情報を基に集計
:②n=150以上の媒体のみ調査
調査方法:月毎に登記受付帳を閲覧し、登記原因が売買にて所有権移転していた物件の所有者事項を取得
※地番・家屋番号が判明した査定

【調査結果】

まずは、調査期間内での所有権移転率についてまとめてみました。

所有権移転率

全体としての所有権移転率は6.44%。

売買するまでの期間の平均は132. 62日間という結果となりました。

この結果から、一括査定を利用する売主様が実際に売買するまでの期間は、約4か月ほどかかるということが分かります。

次に、本題である査定サイト毎の所有権移転率についてまとめてみました。

査定サイト毎の所有権移転率

この表から、所有権移転率は、各査定サイトによって大きく差が開いていることが分かります。

また、所有権移転率の高い査定サイトは、「1位 すまいステップ」「2位 LIFULL HOME'S」「3位 いえカツLIFE」という結果になりました。

ここからは、この結果を踏まえたうえで、査定サイトの傾向と運用方法について考察していきます。

▼1位:すまいステップ

すまいステップ

本調査結果によると、すまいステップは、所有権移転率が16.27%という平均6.44%と比べて、ずば抜けて高い比率であることが分かりました。

他にも、すまいステップは、訪問査定率が18.66%と平均数値よりも高く、所有権移転するまでの平均日数も105. 94日と比較的短期間での実績となっており、全体的な数値が平均よりも高い傾向にあります。

また、法人売買率が28.48%であることから、所有権移転率の内訳のほとんどが一般個人による売買であることも分かりました。

このことから、「出来るだけ早く売りたい売主様」の集客ができている査定サイトではないかと考えられます。

※補足※

ちなみに、すまいステップと同じ運営会社(株式会社Speee)であるイエウールは、所有権移転率が5.70%と平均6.44%よりも0.74ポイントほど下回る結果となりました。

しかし、査定数では、全体で最も多い数を集客できており、すまいステップと比べて5倍以上の査定数を集客している査定サイトであることが分かりました。

このことから、イエウールは、「今売りたいと考えている本気度の高い売主様」と「査定額だけ知りたい興味本位の売主様」の売却検討度のフェーズが広い売主様が集客できている査定サイトなのではないかと考えられます。

そのため弊社では、イエウールで査定数を担保し、すまいステップで確度の高い案件を狙うといった査定サイトを組み合わせて運用する方法を推奨させていただきます。

▼2位:LIFULL HOME'S

本調査結果によると、LIFULL HOME'Sは、所有権移転率が9.39%と平均6.44%よりも3%ほど高い結果の査定サイトであることが分かりました。

また、訪問査定率では、23.54%とすまいステップよりも高く、全体では最も高い訪問査定率を誇っております。

では、なぜ所有権移転率が1位のすまいステップと2位のLIFULL HOME'Sで大きく差が開いたのか、考えられる一つの要因として「同時査定社数」に着目してみました。

それぞれの同時査定社数の上限を比較してみると、LIFULL HOME'Sが10社であるのに対し、すまいステップが4社と、LIFULL HOME'Sの方が、不動産会社様に査定依頼できる上限の数が多い査定サイトであることが分かります。
※尚、他の査定サイトは、同時査定社数の上限が6社であることが多い

このことから、LIFULL HOME'Sは、すまいステップと比べると「複数社と比較検討がしたい慎重な売主様」が利用されている傾向にあることが考えられます。

そのため、LIFULL HOME'Sは、他社との差別化を意識し、売主様の記憶に残るような戦略が必要であると考えられます。

たとえば、査定書を送る際に、メールで簡易的な案内をお送りして、あとから郵送でしっかりとした結果をお送りすることでスピード対応と丁寧さをアピールすることができます。

他にも、査定書と同時に売主様の勉強になるような本を一緒に郵送する方法もございます。

本は、紙と比べて捨てにくいため売主様の手元に残りやすく、今は売る気がない売主様であっても、将来的に検討する際に思い出してもらえるきっかけになるかもしれません。

LIFULL HOME'Sは、訪問査定率が高い査定サイトですが、競合他社が多いため、訪問査定を獲得する前段階から他社との差別化を意識することが重要となります。

▼3位:いえカツLIFE

いえカツLIFE

本調査結果によると、いえかつLIFEは、所有権移転率が8.96%と平均よりも高い査定サイトであることが分かりました。

また、法人売買率が33.33%と、全体の査定サイトのなかでは、法人の割合が高い傾向にあります。

これは、いえカツLIFEが他の一括査定とは異なり、仲介・買取希望・リースバック希望と売主様が3つの査定方法を選択できるため、法人売買率が他の査定サイトよりも高くなった可能性があると考えられます。

現在、いえカツLIFEは、一都三県での対応エリアから徐々に全国へとエリアを拡大している査定サイトになります。

また、査定サイトの特徴として、いえカツLIFEから売主様へ電話で本人確認を行ってから不動産会社様へ送客されるので、いたずらが少ない傾向にあります。

他にも、訪問査定率も平均値と比べて高く、全体的に平均より高水準である査定サイトですが、現状では査定数が少ないため、他の査定サイトと併用して利用することを推奨させていただきます。

【所有権移転率と訪問査定率の関係性について】

最後に、訪問査定率と所有権移転率の関係性について考察いたしました。

査定サイト全体で比較すると、所有権移転率と訪問査定率の平均差異は48%という結果でした。

次に、査定サイト毎の所有権移転率と訪問査定率の差異について比較していきます。

査定サイトによっては、平均値と同様である査定サイトと、平均値よりも大きく差が開いている査定サイトでくっきりと二分に分かれる結果となりました。

査定サイト毎の所有権移転率と訪問査定率の差異

そこで、はっきりと結果が分かれた理由を探るべく、査定サイト毎の「同時査定社数」に着目してみました。

査定サイト毎の所有権移転率と訪問査定率の差異,同時査定社数

この表から、同時査定社数が6社である場合は、平均値48%とほとんど近い値になることが分かります。

また、同時査定社数が4社、あるいは9〜10社である場合は、平均値48%から大きく差が開くという結果となりました。

このことから、同時査定社数が多い程、訪問査定率と所有権移転率の相関関係は弱くなる傾向にあることが分かります。

売主様目線では、売却意欲が高いほど訪問査定に呼ぶ不動産会社様の社数が多くなるとも考えられます。

さらに、実際に同時査定の依頼をしている社数での所有権移転率と訪問査定率を比較してみました。

同時査定の依頼をしている社数での所有権移転率と訪問査定率

この結果から、査定依頼をする不動産会社様が多いと売却意欲の高い売主様からの査定依頼が増え、査定依頼をする不動産会社様が少ないと減るということが考えられます。

競合が少ないエリアでは、訪問査定の獲得はしやすいですが、実際に売買に繋がるというわけではないようです。

【まとめ】

各査定サイトによって特徴が異なり、地域や物件などの得意な分野が違うため、一概にどの査定サイトが優秀であるのか判断するのは難しいと思います。

今回は、全国のデータから弊社対応実績をもとに、査定サイト毎の所有権移転率についてご紹介させていただきました。

本調査が一括査定サイトの選定や日々の営業活動のお役に少しでも立ち、不動産会社様の業績向上の一助になれば幸いです。

NEW都道府県×媒体レポートを公開【全13項目】

毎月公開している媒体毎のレポートを都道府県別にわけて集計いたしました。

都道府県別データサンプル

レポートには2023年1月~12月までのデータが記載されております。自社に該当する都道府県の集計レポートをダウンロードして媒体選定や営業活動の参考データとしてお役立てください。

レポートに記載されている項目は以下の通りです。

媒体名/査定数/対応顧客数/通電数/通電率/架電回数/平均架電回数/訪問査定数/訪問査定率/キャンセル数/キャンセル率/他人間違い数/他人間違い率/キャンセル・いたずら等/

こんな方におすすめです。
  • 自社営業マンの通電率や訪問査定率との比較。
  • 新たに媒体を追加しようとしている方は媒体選びの参考に。
  • これから一括査定を導入するか悩んでいる方は、一括査定で採算がとれるのか目安に。

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