所有者不明の土地対策に向けたロードマップの現状

放置された空き家・空き地が社会問題となってきた今日です。
政府は今後5年ほどの期間で、根源的な問題ともなっている「所有者不明土地」の解消に向けて、法的整備と制度の創設をおこなうこととしました。
国土交通省のサイトには「人口減少時代における土地政策の推進~所有者不明土地等対策~」が掲載されページ内には膨大な資料が紹介されています。

このテーマには解決すべき多くの課題があることがわかります。
2021年6月7日にはロードマップ「所有者不明土地等問題対策推進の工程表」が公表されました。
ここでは上記ロードマップから読み取れる、所有者不明土地対策のスキームと、今後の見とおしについてお伝えします。

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所有者不明土地利用の円滑化(2017年~2023年)

所有者不明の土地対策としてまず法制化されたのが「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(2017年制定)です。
2018年11月15日に一部施行開始され、2020年6月1日に全面施行されました。
「所有者不明土地特措法」では主に次の3つの措置が重要です。

1. 所有者不明土地の円滑利用
公共事業において収用手続きする用地に所有者不明土地がある場合、都道府県知事の裁定を受けることにより収用できる(収用委員会による清潔手続きが不要)
2. 所有者の探索を合理化
土地所有者の探索のため公的情報を利用することができ、相続登記未了の土地について登記官は相続人の探索をおこない、職権で「特定登記未了土地」である旨を登記できる
3. 所有者不明土地の適切な管理
国の機関または地方公共団体の長は管理上必要な場合、家庭裁判所に対し民法の規定にもとづき相続財産管理人の選任を請求できる

所有者不明土地特措法は施行後3年経過の見直しを予定しており、2021年12月ころには見直し内容をとりまとめることにしています。
検討事項は以下のとおりです。

・所有者不明土地を公共事業に活用する制度の対象事業を拡充
・上記事業における使用権の上限期間を延長
・管理不全土地の適正管理を図るため代執行を含めた行政措置の創設
・民法改正による管理不全土地管理命令制度について地方公共団体等による活用を可能とする特例を創設

土地基本法の改正と土地基本方針の策定と改定(2020年~2023年)

土地所有者に対し適正利用と管理責務を明確にするため「土地基本法」が改正され2020年4月1日に施行されました。
相続登記未了のため所有者不明の土地が増加し、利用および管理上において問題が生じることを防ぐため、土地基本法にもとづいた「土地基本方針」を策定することが定められました。
併せて国土調査法などの改正により地籍調査の円滑化と迅速化を図ることとし、以下の政策がおこなわれます。

・新たな国土調査事業十箇年計画の策定(令和2年度~11年度)
・所有者探索のための固定資産課税台帳の利用や地方公共団体による筆界特定申請に関する調査手続きの見直し
・都市部と山村部など地域特性に応じた調査手法の導入

土地基本方針は土地基本法の理念を具体化させる重要な政策であり、今後も改正や追加されることになりますが、令和2年度でまとめられた主な内容は以下のとおりです。

・低未利用地の適切な利用や管理を促進できるよう税制面での特例措置の導入
・未利用地のマッチングやコーディネートをおこなうランドバンクの活用
・管理不全となっている空き地や空き家の対策推進
・相続登記の義務化と民法上の規定の見直し
・土地・不動産に関する情報基盤のオンライン化を含めた整備と充実

民法等の改正と相続した土地所有権の国庫帰属(2020年~2021年)

所有者不明の土地対策に向けたロードマップの現状

2021年4月21日に「民法等の一部を改正する法律」と「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立しました。
施行は2023年~2026年の期間でおこなわれます。
両法は「土地基本方針」に法的な根拠を与えるもので、所有者不明土地の発生予防と円滑な利用を図るものです。

・相続登記の申請を義務化し「相続人申告登記(仮称)」を新設
・所有者の住所などが変更した場合の申請義務化と住基ネットにもとづく職権による変更登記導入
・相続により取得した土地の所有権を国庫に帰属できる制度の創設
・土地利用の円滑化を図るため、民法の規定を見直し(財産管理制度・共有制度・相隣関係・相続に関し長期間経過後の遺産分割の見直し)

両法は施行まで2年から5年の準備期間があり、関係する政令・省令の整備や住基ネットと法務局との連携をおこなうシステム開発、地方公共団体との連携整備などが整ったのち実施されます。
今後新たに検討する事項として以下のものがあります。

・登記官が相続人の探索をおこなった結果を登記し、法定相続人情報を法務局に備え付ける制度の新設を予定
・分筆登記や地積更正登記の円滑化
・隣地所有者不明の場合の筆界認定について法務局の調査で実施できる仕組み

不動産登記システムと住基ネットとの連携(2021年~2024年)

これまで述べた所有者不明土地利用の円滑化を図る法律は下記のとおりです。

・所有者不明土地特措法
・土地基本法と土地基本方針
・民法等の一部を改正する法律
・相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

上記のうち「民法等の一部を改正する法律」は次のように多岐にわたります。

・民法
・不動産登記法
・非訟事件手続法
・家事事件手続法
・外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律
・抵当証券法
・大麻取締法
・相続税法及び租税特別措置法
・質屋営業法
・国土調査法
・農地法
・特許法
・建物の区分所有等に関する法律
・住民基本台帳法
・日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法
・民事訴訟法
・破産法
・有限責任事業組合契約に関する法律
・競争の導入による公共サービスの改革に関する法律
・特別会計に関する法律
・所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法
・表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律

重要な法律は民法と不動産登記法になりますが、これらの法改正が多くの法律に関係しています。
改正後の民法施行は2022年4月1日であり、改正点も多くなっています。
法改正と共に重要なのが不動産登記システムと住基ネットなどとの連携です。
今般の新型コロナウイルス感染症対策で露呈したように、デジタルトランスフォーメーションが出遅れている我が国で、円滑な連携システムの構築が可能なのか不安はありますが、連携システム運用開始は2024年の予定です。

まとめ

所有者不明の土地対策は関係する法律が多く、関係する省庁や機関も多く複雑です。
最大で2026年まで期間を要する大きなプロジェクトと言えるでしょう。
この記事では概要について触れましたが、改正法の施行や制度の新設など今後継続していくものと思われます。
ぜひ注目していただければと思います。

人口減少時代における土地政策の推進~所有者不明土地等対策~」のページには「所有者不明土地対応事例集」も掲載されており、民間事業においても障害となっている、所有者探索の事例も参考になります。
なおこの記事では以下のサイトページも参考にしています。

所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議(第8回)議事次第
「土地基本方針」及び「国土調査事業十箇年計画」を閣議決定

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