【汚染の告知アリ!】知っておくべき土壌汚染対策法の基本

「瑕疵」が契約不適合、つまり具体的な種類・品質・数量において「契約の内容に適合しないもの」に改められたのは2020年4月に施行された民法改正からです。

改正から執筆時点において2年経過しましたが、契約不適合の認知はそれなりに浸透した一方で、いまだに用語としては「瑕疵」が残り混同されているケースも多いようです。

筆者も含め「瑕疵」という言葉に慣れ親しんでいる世代はつい、説明の時に口にしてしまい、言い直すこともあるのではないでしょうか?

すでに新民法では瑕疵担保責任(旧民法第570条)は削除され、契約不適合責任として追完請求権等(民法第562~564条)で示されています。

ですが新民法で改められてはいても、近隣嫌悪施設の存在など、購入動機に影響を与える要因などの説明については、「心理的瑕疵」という言い回しのほうが収まりもよいものです。

そこで筆者は実務の際、「瑕疵」「契約不適合」の用語を明確に使い分け、顧客説明をしています。

契約不適合責任は特定物・不特定物を問わず適用されます。

それにより原始的瑕疵によらず幅広い責任追求ができるとされ、「瑕疵」において解除・損害賠償のみであった請求権が、契約不適合においては追完・代金減額請求まで認められるようになりました。

もっとも、これらの責任を追求するためには売主の「故意・過失・信義則上これと同視すべき事由」としての帰責性(責めに帰すべき事由)を立証する必要があることから、契約締結前に現況報告書等の詳細な記述を得て、報告と不適合内容についての乖離を主張することが求められます。

ですが不動産における隠れた瑕疵は概念としての適用範囲は広く、一般的には「通常備えるべき性能を有していない」と理解されていますが、瑕疵を争った判例においては「売主が保有すると保証した品質・性能を欠く場合も瑕疵にあたる」としているものが数多く見受けられます。

もっとも不動産の「隠れた瑕疵」は曖昧な部分を残す表現でしたから、建物現況報告書を根拠として、具体的に「契約内容に適合しない」と責任追求できるようになったことにより紛争が生じた場合の早期解決に繋がっています。

それだけに売主が記載する現況報告書は、契約不適合であるとされる判断基準になりますから、正確な記載が求められます。

たとえば売買対象物である土地の土壌に有害物質が含まれているかについての告知です。

現況報告書,確認事項,現在の状況

一般的な報告書では、1.売主の告知2.調査結果3.未確認のいずれかにより告知を行う方式ですが、土壌汚染については事実関係が知られていないことも多く、また平成14年に土壌汚染対策法(環境省所管)が交付され、さらに平成21年に大改正が行われていますが、土壌汚染・基準という言葉は知っていても具体的な基準や設定の根拠についてはあまり知られていません。

個人間の一般的な取引であれば、そのほとんどが「発見していない」とされているのではないでしょうか?

これは私達、不動産業者も同様で土壌汚染調査や対策についての知識が、ほとんど浸透していないといった現象を引き起こしています。

未確認であればその旨を報告すれば、現況報告書としては成立していますが、当該地だけではなく周辺の土地まで含めて土壌汚染の告知が求められている以上、可能性がある場合には調査・対策を提案する必要が、私達にはあるのではないでしょうか?

そこで今回は土壌汚染対策法の概要も含め、押さえておきたい基礎知識について解説します。

未利用地の増加は理解不足と措置費用

「ブラウンフィールド問題」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?

土壌汚染が原因となり売却・再利用ができず放置されている土地を指す言葉で、アメリカでは「有害・汚染物質が存在する、もしくはその可能性により、不動産の開発や再利用が複雑化している不動産」と定義されています。

日本におけるブラウンフィールド問題は環境省の管轄ですが、多少古い調査報告書しか確認できません。

ですがその試算では土壌汚染の存在する土地の資産価値が43.1兆円、潜在的な土壌汚染の資産価値で10.8兆円が存在するとされています。

ブラウンフィールド問題,大きさ

環境省が行ったアンケートによると、健康への影響によらず「過去に土壌汚染があったが、浄化を完了している土地を購入するか?」といった設問では、65%が「過去に土壌汚染があった以上は購入しない」と回答しています。

知っていれば購入を検討していないと回答されている土壌汚染にたいし、現況報告書で「未確認」とされている件数が多いということは、万が一、引き渡し後に発見された場合には紛争の「種」になる可能性が高いしょう。

ブラウンフィールド問題については環境省から多くの情報が公開されてはいますが、不動産業界に浸透しているとまではいえません。

土壌汚染,利活用阻害,事例

そのため過剰な心理状態をまねく結果となり、土壌汚染対策後の不動産価格にたいする影響などの面においても、健康に支障を及ぼさない対策を講じた後も、嫌悪感が先行して売買が上手く行かずに放置されているなどの問題も指摘されています。

土壌汚染対策法の概要

土壌汚染対策法は「土地汚染の状況の把握、土地汚染による人の健康被害の防止に関する措置等の土壌汚染実施を図ることにより、国民の健康を保護する」ことを目的として、平成15年2月に施行されています。

その後、一部改正が度々なされる度毎に対象となる物質や測定方法などが変更されています。

土壌汚染対策法,概要

法律により、物質ごとに調査方法が指定されており、「土壌ガス調査」「土壌溶出調査」「土壌含有量調査」の3種類が、目的により使い分けがされています。

土壌ガス調査,土壌溶出調査,土壌含有量調査

行政主導により土壌汚染状況調査が実施され、基準を超えていた場合、都道府県知事等は要措置区域・形質変更時届出区域のいずれかに指定することができます。

土壌汚染,要措置区域,形質変更時届出区域

また自主的な調査結果に基づき、都道府県知事等に区域の指定を申請することが認められています。

要措置区域(法第6条)の場合には1.封じ込め2.土壌汚染の除去のいずれかの適切な措置を講じることが定められています。

形質変更時要届出区域(法第11条)については形質変更を行う場合のみ、都道府県知事に事前の届け出が義務付けられています。

ですが「健康被害が生じるおそれがない」形質変更時要届出区域において、深さ50センチまでの汚染土壌を掘削除去することまでは求められていません。

イメージとして掘削除去が良いだろうという思い込みが、相応の費用を要することに結びつき、「そんなに費用が必要なら、無理して売却しなくても良い」などの意識が働くのでしょうか、未利用地として放置される原因になっています。

先程も紹介したように、土壌汚染対策で求めているのは「環境リスクの管理・曝露経路の遮断」が基本で、「健康被害が生じる恐れのある要措置区域内」であっても通常は掘削除去までの措置を求めていません。

コストが高くなるのに「掘削除去」が選択されやすい理由は、「土壌汚染が完全に除去されたから安全」と思う消費者心理への対応策が先行しているのかも知れませんが、法の定めに基づき正しく措置を行っていれば購入検討者に対して充分に説明できるのではないでしょうか?

正しい知識で対応する

過去に土壌汚染があった、もしくは可能性があると聞いただけで、「そんなところは購入したくない」と考えるのが一般消費者です。

状況報告に求められる告知事項ですから正しく伝えるのはもちろんですが、必要な措置がどの程度であるか、また措置を実施したのであれば、どのような方法を講じたかまで説明できなければ、

潜在的なブラウンフィールド問題は今後も拡大するのではないかと懸念されています。

このような状態が放置されれば地域コミュニティーや街づくりへの影響が高く、「健康被害がない」とされている形質変更時要届出地域内ですら、思い込みから「多額な費用が必要である」とされ、調査すら行われていない場合も多いようです。

遊休地の効率的な活用は私たち不動産業者の領分であり、土壌汚染に関連する区域であることにより調査もされずに放置された土地があるのは損失です。

私達が正しく、土壌汚染に関する知識を持ち提案することにより、市場に流通させることが出来るのではないでしょうか?

まとめ

今回は状況報告書の告知事項である土壌汚染について、あくまでも基本的な考え方ではありますが土壌汚染対策法について解説しました。

近隣が要素地区域や形質変更時要届出区域である場合や、当該地がそれらの区域内に該当していれば調査は必須であり、調査の結果、必要であれば適切な措置を取ることもまた必然でしょう。

そのような場合、少なくても「未確認」では通用しません。

それ以外でも怪しい場合には事前に調査を提言し、問題や措置の必要性を正確に説明できることが私達に求められているのではないでしょうか?

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