【避けられない外国人との不動産取引】登記必要書類を解説

不動産市況が活性化されるのは、何も日本人相手との不動産取引だけではありません。
外国からの資本流入により、不動産市況が活性化しているのもまた事実です。
グローバリゼーションの現在、言語の問題や慣習の違い、取引経験がないなどの理由から外国人との不動産取引を嫌悪するのは、ビジネスチャンスを自ら狭めていると言えるのかも知れません。

例えば私が活動している北海道のニセコ地区などは札幌から車で約2時間、道庁所在地のある札幌からおおよそ100㎞も離れる山岳丘陵地であるにもかかわらず地価は上昇を続けています。
ニセコは風光明媚なスキーリゾートとして栄えていましたが、バブル崩壊後は低迷していました。
そんな低迷する状況を打破したのは、外国人観光客の力でした。

2000年以降、良質なパウダースノーを求めるオーストラリア人を中心に口コミか広がり多くのスキーヤーが頻繁に訪れるようになってから様相が一転したのです。
現在では現地にある「ヒルトンニセコビレッジ」などの富裕層向けホテルでは公用語が英語であり、館内の案内表記も日本語より英語表記を優先しています。
同地区で最も栄えている「ひらふ」地区ではショップ看板や広告も英語表記のみで、現地に入ると日本であることを忘れるほどの様相で、ショートトリップを満喫できる場所へと変貌しています。

2005年当時の基準地価は㎡¥12,000円程度だったものが値上がりを続け、2021年においては¥20,000円を超すエリアも存在するようになりました。

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これはあくまでも路線価ですので、実勢価格はこの金額を上回って取引されています。
価格変動率は2020年度で全国8位となっています。

これら値上がり原因は、海外資本によるリゾート関連施設の建築を目的としたものの他、従業員の寮などへの転用のために中古住宅を購入するなど多岐に渡っています。
実際に私のところにも海外の不動産エージェントから購入打診があるなど、外国人との不動産取引は日常的になっています。
例示したニセコ地区に限らず、外国人との取引は日常化する傾向がさらに高まると考えられ、取引に必要な知識の拡充は必須であるとも言えます。

そこで今回は、外国人の登記書類について解説したいと思います。

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所有権移転に必要な書類を再確認

ねんのため所有権移転に必要な書類を再確認しておきます。

1. 司法書士への委任状
2. 運転免許証やマイナンバーカードなど
3. 印鑑証明書及び実印
4. 住民票(写し)
5. 売買契約書(登記原因証明情報)

さて、これら必要書類の中で外国人の購入者の場合に用意するのが難しい書類は、3の印鑑証明や実印4の住民票の写しです。
これらの書類はどのように準備したら良いのでしょうか?

外国人の住民票

日本に「中長期在留資格」「永住資格」を有している場合には、住居地として届けた市町村窓口に申請することにより「外国人用住民票」が取得できます。(出入国管理及び難民認定法第19条7第1項及び第3項のほか、住民基本台帳法第30条46)
問題はそれ以外の在留資格のない外国人との取引ですが、この場合には国ごとにことなる書式の官公署で発行する住所を証明する書類(住民登録証明書)を入手して提出してもらうことになります。
ただし書類の真偽を証明(本当にその住所に居住しているか)するために書類の翻訳を行ってから提出しなければならないなど時間もかかり、あまりお勧めできる方法ではありません。

実際の取引の時には、「宣誓供述証明書」による方がスムーズです。
宣誓供述証明書とは、各国にある公証人役場において宣誓することにより所属公証人の認証を得て発行される書面で、これを住民票の代わりとすることができます。
また外国にある在日大使館領事部でもこの「宣誓供述」をおこない認証して貰うことができますので、あらかじめ各国大使館に問い合わせして宣誓供述に関する対応にようする期間などを確認しておけば、余計な手間を省くことが出来ます。

外国人の印鑑証明

住民票と同じく、在日外国人の場合には通常手続きと変わらない方法で取得できます。

在留資格のない外国人の場合には、

あらかじめ司法書士に委任状を作成して貰い国際郵便などで送付してサインをして貰ったものを返送してもらう。
② 上記の準備をしたうえで、決済時に来日して貰う際には多少余裕を持ったスケジュールで来日してもらい、当該国の在日大使館において委任状のサインとの整合性を確認して「認証」を受ければ印鑑証明の代替書類とすることができます(昭和59年8月6日民三3992号民事局第三課長依命通知による)

司法書士は原則、本人確認と意思表示確認の徹底が求められていることから立ち合いのうえで面前筆記が望ましいのですが、語学に堪能な司法書士ばかりではありませんし、購入の相手方が外国人である(売主が外国人の場合には司法書士も販売意思確認を絶対条件としますので、依頼する司法書士に都度、ご確認下さい)という前提においては、困難な場合もあるかと思います。

来日できない場合には司法書士に予め「宣誓供述書」を作成してもらい国際郵便で送付し、現地公証人の面前で署名と認証をしてもらい返送されれば、この書類を登記申請における印鑑証明証の代替添付書類として適格性を有するとできます。

依頼する司法書士は誰でも大丈夫?

司法書士資格を有している以上、今回ご紹介した手続きについての知識は当然として持たれていると思いますが、「知識」を有しているということと「出来る」ということは別の話のようです。
経験則ですが、書類のやりとりの煩雑さや、場合によって必要な翻訳作業などで手間がかかると敬遠されることがあります。

またコロナ禍においては決済時に当事者が来日できないケースも多く、本人確認の問題などについては私たち不動産業者と司法書士の「信頼」と「協力」により、成り立ちます。
気心の知れた「外国人登記」の取引経験がある司法書士に依頼する方が手続きもスムーズに進みます。
あらかじめ知己のある司法書士に打診して、取り扱いが可能か確認しておく方が良いでしょう。

まとめ

一度、経験をしてしまえば「登記取引」に関してはそれほど難しいものではありません。
外国人との取引で難しいのは、商習慣や法律の見解がことなることに起因する「重要事項」や「契約書の約款」に関しての説明です。
実際に私も中国の富裕層との土地契約のために上海に2泊3日の予定で乗り込み、休息を挟んで連日8時間

「その法律は変だ、間違っているのではないか」
「納得できないから、その約款は書き直せ」

などの意見に対して、「それは違う。日本の法律ではこの場合の解釈は……」と喧々囂々、双方の通訳を交えながら交渉した経験があります。
交渉後に相手側は、何事もなかったようにニコッと笑い、「さ、飯を食べにゆこう」と、大勢の知人が集まる円卓で毎晩のように豪華絢爛な中国料理を振舞われました。
会食から解放された夜半過ぎ、一人でホテルに戻り合意にいたった約款の作成を行い翌日の契約に臨むという2日間でした。

結局、固辞したにも関わらず相手側が用意した豪華なホテルのベッドは一回も使用せず睡眠時間もまともに取れずに疲労困憊しました。
もちろん紆余曲折あったものの、契約も決済も無事に終了させましたが……。
外国人との不動産取引には「知識」もさることながら、タフな精神が必要であることは間違いありません。

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