【実践編】事故物件の調査・査定を徹底解説

先日、記事掲載を行った【心理的瑕疵に時効は存在するか?】事故物件告知の法的見解を考えるでは、おかげさまで多くの反響を頂戴しました。

ご意見の中には「事故物件の法的な見解は分かったけど実践的な調査方法や査定方法、実際に売却する時の注意点を解説して欲しい」と、言ったご要望も多くありました。

実際に解説記事を執筆している私としても、実践編を解説せず法的見解のみを行うだけでは片手落ちだと自覚しています。

そこで今回は実践編として、事故物件の調査方法や査定に関して解説を行います。

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事故物件は最初のヒアリングが大切

取り扱い物件が事故物件であるかどうかを知る手掛かりは、売主へのヒアリングにより判明することが大半です。

こちらから質問をしなくても、相手側から話を始めてくれる場合もありますが、事件から年数が経過してしまっている場合やあまり積極的に話をしたくないと言った心理状態の場合には、こちらから質問をしなければ話をしてくれません。

ですから、一見関係が無いように思える会話の節々から兆候を読み取る必要があります。

一般の方は事故物件に関する心理的瑕疵についての告知義務、つまり法律的な見解に長けている訳ではありません。

事故の発生が近々の物であれば、売主も覚悟して告知してくれるとは思いますが、問題は年数が経過しているケースです。

一般の方はこう考えます。

「もう20年も前のことだから、いまさら言わなくても良いだろう」
「随分と前のことだから、あえて話をして査定額に影響しても嫌だから」

悪意ではないのでしょうが、一般の方がこのような理由で告知を怠るケースは良くあります。

前回の記事で、「心理的瑕疵には具体的な定義は存在せず、また明確な時効も存在しません。全ては取引当事者の感情に大きく左右されます」と解説を行っていますので、皆様はすでにご存じかと思います。

この法理屈を知らない売主が、自己都合に解釈により告知を怠っても、心情的に責任を追及するのは難しいものです。

ですが購入する買主からすれば一大事であり、裁判になった場合に巻き込まれる私たちもたまった物ではありません。

予兆を読み取る質問

ヒアリングの大切さについては前項でも記載しましたが、それらを引き出す質問は「なぜ売却するのですか?」という質問です。

実際には、この売主の売却理由を聞かない仲介営業が思いのほか多いいようです。

これでは、万が一トラブルが起こった場合、売主の告知義務違反理由が「業者に聞かれなかったから話す必要もないと思って…」となります。

通常、査定依頼は1社だけでは無く、同時査定があたり前となっている昨今ですから「余計なことを聞いて、売主の心証を悪くするのは…」などと言う気持ちが働くのかも知れませんが、売却理由は査定価格に影響を与える大切なファクターです。

単純な住み替えの場合には特に問題はないでしょうが、大切な不動産を売却するには相応の理由が存在するはずです。

これらの情報を聞き出すにはある程度、信頼関係が構築されているという前提もありますが、この質問から

「実は融資の支払いが厳しくなって」
「離婚することになって財産分与のために」
「実は15年前に娘が…」

など、タイミングの良い質問により売却理由などが開陳されます。

経験則として事故物件の告知は「実は…」から始まり、事件の概要について語り始めます。

懸念があれば徹底調査

事故物件ではないかという懸念が生じた場合、もしくは事件の概要を、売主自ら告知してくれた場合には事件の背景や概要を可能な限り徹底的に調査します。

告知者が正直に話してくれているという性善説を信じたい気持ちもありますが、とかく人間の記憶はあやふやですから、しっかりと裏付けを取る必要があります。

事故物件調査方法

具体的に事故物件の概要調査を行う場合の方法は、実はそれほど多くありません。

それぞれの方法を具体的に解説していきます。

A.公的機関

信頼性は高いのですが、公表されている情報が少ないとのが難点です。
過去の事件については地元警察が一番の情報を持っていますが、管轄警察署に出向いても一切、答えてはもらえません。

これは警察官に限らずですが、地方公務員法34条に定められている守秘義務規定によるものです。

「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする」

それでは埒があきませんので、具体的な調査方法をお話します。

まず事件が未解決であれば、各管轄警察署のホームページにアクセスして「情報提供のお願い」などのページで該当事件がないかを確認します。

情報提供を募るページですので、事件日時や事件発生の場所、事件の概要や写真などかなりの情報を得ることが出来ます。

情報が掲載されていない過去の事件については、公的機関で調べる方法はありません。

B.新聞(バックナンバー)

アメリカ映画などでもよくあるシーンの一つですが、事件調査の際に図書館に出向き、マイクロフィルムを拡大した新聞記事を調べるシーン。

日本では過去新聞の記事を調査するには国立国会図書館を始めとして、道立・県立・府立などの各図書館出向くと、映画のワンシーンを再現することが出来ます。

市町村の図書館でもある程度のバックナンバーまで確認することが出来る場合もありますが、所蔵量の問題もありストック量にバラつきがあります。

図書館で事件を調べる場合には、掲載新聞と掲載日が予め分かっていれば良いのですが、だいたいは「15年ほど前」などの曖昧な状態がほとんどです。

その場合にはおおよその日付から調べることになります。

図書館に足を運ぶ場合には、無駄足にならないように予め各図書館のホームページなどで(新聞本紙・縮小版・マイクロフィルム)の所蔵状況を確認しておくと良いでしょう。

大型図書館でも、新聞のバックナンバーに対応していないところもあります。

下準備としては国会図書館で運営している「リサーチナビ」を利用すると良いでしょう。

https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-700037.php#1

事故物件,調査

上記アドレスからアクセスして、エリアごとの新聞所蔵期間を調べ、バックナンバーが所蔵されているかを確認します。

所蔵されていれば、各図書館に出向き時間をかけて調べることになります。

またインターネットで全国紙や地方紙のバックナンバーを直接調べたい場合には、各新聞社の有料サービスを利用すれば、だいたいの記事が検索出来ます。

調査経費と割り切っても、情報の信憑性を得るには複数の新聞バックナンバーを時系列で確認する必要があります。

費用の面からも、図書館利用をお勧めします。

C.インターネット記事を検索する

使い勝手の良いインターネットは基本情報を収集するのに最も有効ではありますが、同時に憶測や誹謗中傷、単なるデマなど玉石混交です。

特にマスコミで大きく取り上げられて事件の場合には、真実情報にたどり着くのが非常に困難です。

事件以降現場では深夜に「白い人影が出没する」などと言ったオカルト情報が書き込まれているような場合もありますが、賢明な皆様ならご存じの通り、このようなオカルト情報まで含めて告知するように法律で義務付けされていません。

告知義務として求められるのは、下記に説明するポイントです。

1.事件があったという事実
2.事件の具体的な日時
3.事故の概要
4.事故発生以降の不動産に関する経緯

例を上げると

「現在は更地となっていますが、15年前の9月深夜に出火原因不明による火事が発生し、就寝中だった当時5歳の長男と、39歳のご主人がお亡くなりになりました。事件後、家屋は解体され駐車場として運用され現在に至ります。所有者は、この土地を相続された奥様で、今回、老人介護施設に入所される資金調達のために土地売却を行っています」

このような説明が出来れば、後は購入を検討するかどうかは相手方次第です。

この説明により告知義務は充分に履行したことになります。

もちろん契約の際にはこの説明を文章にして、説明責任履行を証しておかなければなりません。

論理的に説明責任を履行する情報を、インターネットで調査する場合には掲載されている情報サイトの信憑性を確認する必要があります。

不動産業者を始めとして、一般の方もよく利用される有名な事件調査サイトとして「大島てる」があります。
https://www.oshimaland.co.jp/

事故物件,調査
事件サイトとしては非常に良くできてはいますし、信憑性も高く情報管理も徹底されている優秀なサイトですが、投稿情報による掲載なども含まれており、公的機関や新聞バックナンバーなどから独自調査を行うことに比較すると、数段は落ちてしまします。

「大島てる」に関しては、「不動産会社のミカタ」のサイト内でも記事が掲載されていますので、詳しくはそちらをお読みください。

【1分で完了】大島てるの掲載物件に削除依頼を出す方法
https://f-mikata.jp/oshimaland-sakujo/

D.ご近所への聞き込み

ご近所付き合いが希薄な昨今では効果も限定的となりますが、住宅街の場合には聞き取り調査も有効です。

私の場合は、公園などで井戸端会議を行っている主婦グループや、幼稚園の送迎バスを待っているお母さん集団に声を掛けます。

刑事ドラマ張りに近隣宅のチャイムを鳴らしてインターフォン越しに聞いて回るのは、あまりお勧めしません。

余程、切込みトークが上手くなければ不審者として警察に通報され、職務質問を受けることになります。

実際に私自身も聞き取り業務中に何度も職務質問を受けていますし、特に私のような顔が怖いタイプの方は注意が必要です。

聞き取り調査を実施する際には、名刺はもちろんですが不動産従業者証明証を携帯し、職務質問を受けたときに身分を明かし調査目的を説明出来るように準備しておきましょう。

また具体的な聞き方ですが、個人情報保護法の厳格な昨今は、あからさまに「○○横の青い屋根の○○さんの家で、数年前に殺人事件があったらしいのですけど、お聞きになったことがありますか?」などと、知らない方が物件を特定できる聞き方をしてはいけません。

あくまでも近隣で宅地開発を行うために近隣商業施設などについて調査を行っている善良な不動産業者ですよ、という前置きから「そういえば先ほど、このご近所で数年前に人が亡くなった事件があったと聞いたのですが、何かご存じですか?」程度にしておくことです。

事前に調査した情報が事実であれば、信憑性は別として驚くほどの情報を持っていたりします。

聞かれる方も、わざわざ自分から話し出しはしませんが、聞かれれば教えてくれる方が多い物です。

事故物件の査定額

入念な調査が終了し、事故物件であることが確定した場合、実際の査定額や販売額はどのようにしたら良いか悩むところです。

この記事を執筆するにあたりインターネットによる調査や、日頃から付き合いのある業者へのヒアリングを行いましたが明確な回答は、ほぼ得られませんでした。

基本はケース毎であるという理解で良いでしょう。

ですが、それでは回答になりませんので、あくまでも私が実際に「事故物件」を販売する場合の査定額について解説します。

その前に前提ですが、「事故物件の心理的瑕疵に説明義務はあるが、相場よりも価格を下げなければならない」と言う義務はありません。

あくまでも事故物件であるという「説明責任」を果たしたうえで、相場どおりに(希少物件の場合には相場以上)販売をしても問題はありません。

心理的瑕疵は当事者によって個別に判断される」という原則を再度、ご理解ください。

事故物件の不動産額を、相場よりも下げるのは心理的瑕疵があって、その嫌悪感を金額に勘案し、減額を行うことで早期に売却が出来るようにすることです。

この前提を理解した上で通常物件相場から、自然死2割減・自殺3割減・殺人事件など事件性が著しく強い場合は5割減を目安として、調査により判明した事件概要や経過年数などを考慮し調整すれば良いでしょう。

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    まとめ

    今回の記事では、実践的な事故物件の調査方法とともに、査定算出の目安までを解説しました。

    心理的瑕疵が存在する事故物件は、事件の内容により積極的に取り扱いたくない方も多いでしょう。

    ですが売却をする所有者、特に突然の事故に巻き込まれた被害者遺族であるのに、心無い風評被害に晒され、その風評から逃れるための新生活資金として不動産を売り出しても売却出来ずに困っておられる方がおられます。

    私たち不動産のプロが、一般の方と同じレベルで風評を鵜呑みにして事故物件を取り扱わない、または販売できないのは如何なものでしょう?

    私が不動産コンサルティングを行っている関係上、相談者から「インターネットで事故物件を積極的に買取しますと宣伝している買取業者に査定依頼を行ったら、相場の3割程度(7割減)の金額を提示されたのですが、この金額は妥当ですか?」と言った相談がありました。

    今回ご説明した方法で、実際の事件概要や近隣を始めとする認知度も勘案し、私が査定額を算出したところ、せいぜい相場の2割減が良いところです。

    遠方物件であったところからエリアに強い知人の不動産業者に事故概要も含めて伝達し、相談者を紹介したところ、売り出しから1か月以内で相場の約3割減(7割)で売却出来たとの連絡を貰いました。

    買取専門業者を擁護する訳ではありませんが、事故物件の買取を積極的に行っている会社は営業マンに至るまで「心理的な瑕疵」の法的見解や、実際の調査方法に長けています。

    不動産業者が買取を行う場合には100%に近い形で「損をしない」ことが求められますので、査定相場の2割から3割減を買取価格とするのは一般的です。
    おそらくではありますが、相談に出てきた買取業者も7割減(3割)で買取が出来るとは思っておらず、交渉により5割減ぐらいまで買いあがりをする考えだったのではないかと思います。
    実際に売却が出来た金額が相場の約3割減(7割)でしたから、買取金額が5割減ならさすがの目利きです。

    失敗は最初の提示金額が、売主にとって衝撃が強すぎた点かも知れません。
    不動産のプロである私たちが、事故物件であると言うだけで正確な調査も行わずに安易な価格を算出することは恥ずべきことです。

    不動産業者の社会的地位向上のために、理論武装と具体的なスキルを身に着け業務を行えるように切望いたします。

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