不動産会社は売主と買主の取引がスムーズに進むよう、双方の間に立ち不動産取引の専門家として公正な仕事をするよう求められますが、取引の関わり方が以下の3種類あります。
- 単独仲介
- 共同仲介
- 代理取引
今回は不動産実務をこれから始める方のために、それぞれの取引の仕方と報酬額について説明します。
単独仲介・共同仲介・代理取引の違い【不動産実務】
1.単独仲介(両手手数料)
元付業者が客付けもおこなうのが「単独仲介」です。
買主側に媒介業者はいないので媒介業者は1社だけ。売主・買主の両方から仲介手数料を受領できるので「両手手数料」といいます。
不動産会社にとっては、ひとつの物件で仲介手数料が倍になる “両手” は経営面で非常に効率がよいことで、元付業者はまず “両手”を狙った営業活動をおこないます。
なお、アメリカやシンガポールでは「両手手数料」を禁止しています。
日本でも「両手手数料」禁止の法案が一度検討されたことがありましたが、実現していません。
(*両手手数料禁止の理由や意義についてここでは省略します。)
2.共同仲介(片手手数料)
元付業者と客付業者が別で複数の媒介業者が関わる取引を「共同仲介」といい、元付業者は売主からの仲介手数料を受領し、客付業者は買主からの仲介手数料を受領するのが一般的です。
これを通称 “分かれ” といっています。
また媒介業者が2社とは限らず3社、4社と媒介に関わるケースもあります。
この場合は売主側と買主側に区分し、それぞれの依頼主から受領する仲介手数料を分割して媒介業者間で分配するのです。
立場として “売主側” とか “買主側” と便宜上区分していますが、媒介業務の責任は共同で負います。つまり買主が取引でなんらかの損害を蒙った場合、賠償責任は客付業者はもちろん元付業者にもあるのです。
3.代理取引
売却を依頼された不動産会社が “媒介” ではなく代理人として取引に関わることを「代理取引」といいます。
代理権限を明記した「委任状」や「代理契約書」など、書面による代理契約の締結が必要です。
不動産会社が代理をする場合、売主の代理あるいは買主の代理をすることはできますが、同一物件の代理を売主・買主双方から受けることはできません。
(双方代理の禁止 参照:e-Gov 民法第108条 )
代理の報酬は通常媒介業務による仲介手数料の2倍になるので覚えておきましょう。
不動産売買で代理が一般的におこなわれるケースは次のような場合。
- デベロッパーが開発した宅地の分譲事業でおこなう「販売代理」
- 建売事業者が販売する建売住宅の「販売代理」
そのほか売主が遠方にいるとか海外に在住しているなど特殊な場合に、不動産業者が代理人として契約するケースがありますが、買主の代理人として不動産会社が売買契約をおこなうことは非常に稀です。
まとめ
取引の関わり方について解説いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
関わり方で報酬や責任も大きく異なります。
今後不動産実務を行っていくのであれば、まずは関わり方をしっかりと覚えておいたほうがよいでしょう。