総合デベロッパー「森ビル」は今後5年間のオフィスビル供給量の予測を公表しました。東京23区を対象とした大規模オフィスビルの市場動向にもとづく調査結果です。
今後5年間は年平均88万m2と過去平均104万m2から15%ほど下回ると予測しています。
働き方が変わりオフィス戦略を見直す企業が多く、都心部の新築ビルは根強い需要がつづきますが、立地条件の悪い既存ビルは苦戦し二極化が進むとみられます。その結果、港区、中央区、千代田区の割合は上昇するでしょう。
調査の方法は東京23区内の1986年以降完成で、延床面積が1万m2以上のビルの供給量にもとづいています。なお2022年は5月時点までの調査です。
2022年の供給量は48万m2にとどまり1999年以来の低水準になるとみられ、大規模なビルは8月に完成する三井不動産の「東京ミッドタウン八重洲」などであり、2022年~2026年の年間平均供給量は平均104万m2を下回るでしょう。
エリア別にみると都心3区(港区、中央区、千代田区)の占める割合は75%となり、過去10年の71%を上回ります。ホットスポットとしては、日本橋、八重洲、虎ノ門などであり、延床面積10m2以上の大規模開発もみられると予測されます。
2021年末における空室率は5.6%であり、2020年末よりも1.6%上昇しました。この空室率アップは2013年以来になります。
空室率アップの原因は言うまでもなく、新型コロナウィルス感染症をきっかけとした働き方の変化です。リモートワークの増加によりオフィスの解約や縮小が増加しました。
今後のオフィスマーケットにおける注目点は、新築物件への入居が増加する一方、既存オフィスビルの空室解消がどの程度のスピードですすむかです。
元記事は日本経済新聞