公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会は2021年度の賃貸住宅市場景況観調査を実施し、その結果を発表しました。同調査はこれまで年2回実施していましたが、今回より年1回となり今回の調査は26回目となります。
調査内容は同協会会員へのアンケートにより業況判断指数(DI値)を算出しています。
「成約件数」に関する今回のDI値は6.5となりプラスには振れていますが、2020年度下期調査の8.6よりは下回っています。
成約件数の「増加比率」と「変化なし比率」はそれぞれ4割弱であり、エリア別でも同じ比率でした。
「成約賃料」は1R~1DKがマイナス5.8となり、2020年度下期調査の3.3より下降しています。1LDK~2LDKは10.3(2020年度下期調査8.7)、2LDK~は10.0(2020年度下期調査3.8)と共に上昇しています。
成約賃料の「変化なし」比率が約5割あり、首都圏においては1R~1DKの「減少」が4割以上となり、1LDK以上は逆に「増加」が3割以上高くなっています。単身世帯や夫婦のみの2人世帯の増加、給与収入の減少や在宅勤務の定着などにより、広めでしかも賃料の安い物件へとニーズが変化したと考えられます。
「物件の仕入れ」は新築戸数が3.9と2020年度下期調査10.3より下降しました。
しかし全国では「増加」比率が4割以上となり、関西圏では既存戸数の「増加」が6割以上と比率が高くなっています。
「新規管理物件受託時の条件交渉」では、委託管理に関し「入居者募集・仲介」が75.5%と最も高くなり、次いで「管理報酬」68.2%、「建物管理対応」53.8%、「入居者対応」44.6%となっています。
従前の管理業務に対する不満は少なく、経営悪化による費用削減を目的とした管理会社の変更も少ないと見られます。
一方サブリースの「借上料率」についての交渉が86.1%と極めて高い割合となりました。
「入居希望者からの条件交渉」は礼金・フリーレントが2020年度下期調査の17.0から21.8へと上昇、設備設置・交換・改修が2020年度下期調査の3.5から10.2と上昇しています。
入居状況についての調査では「入居率」が全国の委託管理物件で93.6%、サブリース物件で98.7%となっており入居率は2020年上期から堅調となっています。
「平均居住期間」については単身世帯が3年3か月、ファミリー世帯で5年1か月と世帯構成により約2年の差がありました。
元記事はR.E.port