2021年7月3日に発生した熱海市伊豆山での土石流災害をきっかけに、盛り土規制に関する法律面での課題が明らかになりつつあります。
甚大な被害をもたらした今回の災害を受け、政府や静岡県は盛り土の規制強化に向けて多方面からの検討を急いでいますが、関係する法令の多さなどと複雑さから法の網をすりぬける悪質業者が憚っています。これを打開するには、自治体が主導で規制を行うのに限界があり、盛り土等に関する全国一律の法律が整備される必要があります。
画像はYAHOO!JAPANニュースより
令和3年7月伊豆山土砂災害の実態から、上述の法の網をすり抜ける悪質業者の実態が見えてきました。県などの説明によれば、2007年以来すでに解散した不動産管理会社が熱海市に対し盛り土計画を提出したが、その後実際には届け出の3倍以上の高さまで盛り土を積み上げたと言います。
不正な盛り土の規制強化に向け取り組む富士市の担当者によれば、「盛り土ビジネスは年に億単位の利益を生むため、悪質な業者は条例を意に介しません。仮に静岡県が罰則を強化したとしても、罰則の弱い他県に流れます」と法律による全国区での罰則強化を求めています。
このように盛り土ビジネスは、業者の利害が関係ない範囲で市民が脅威にさらされる一方、盛り土を引き受けることで多大な利益を受け取ることが出来るため、全国区での根本的な規制強化と罰則を設けることが必須であると言えます。
ですが法規制が進んでいない現状、住民や不動産管理者などはこのような実態とリスクをあらかじめ管理する必要があります。その際、各地方自治体が発表している災害ハザードマップなどにしっかり目を通しておくべきだと言えます。今回被害が発生した伊豆山一体でも、静岡県が公表するハザードマップ上では「警戒区域・土石流」として登録されており、事前に読み込んでおくことの重要性がうかがえます。