住友不動産が開発・分譲するマンション等の販売を担当する住友不動産販売。270店舗を全国各地に構える不動産仲介業では最大手とも言えるこの会社では、新型コロナ感染拡大が始まった2020年4月頃から社内処分が急増する事態が発生しています。いつ処分されるか分からないという緊迫感が社内に蔓延しているとデイリー新潮が現役社員に対するインタビューから明らかにしました。
画像はYAHOO! JAPANニュースより
事の発端とみられるのは、住友不動産出身の伊藤氏が住友不動産販売の代表取締役社長に就任した2019年4月です。これに伴い経営陣が刷新されましたが、新体制の発足より約1年後となる20年4月頃に処分の乱発が始まったことになります。実際に前経営陣時代の2018年度の処分は、年間でたったの8件でした。
2020年4月頃からの社内処分の数は1年半で300件を超えています。主な処分対象となったのは、全体の約半分となる1800人の営業職で、およそ6人に1人の営業職が何かしらの処分を受けている状況です。一方で以前の処分件数は年間10件程度で、内容は暴力や飲酒運転など社内では愚か社会的に認められない重大な過失に対してでした。しかし、最近はこれまでは見逃されてきたようなレントロール誤記載などの業務上のミスに対しても、降格や出勤停止など問題に見合わないほど重い処分が下されています。一見会社のチェック機能が働いておらず、全社的な責任が認められうる案件に対しても、社員一人の責任に帰属させているように見えます。処分の内容が記された賞罰通知は全社員が閲覧可能となっており、現在は週に1回程度、数人分の処分が書面で発表されている状態です。
「退職する者が後を絶たず、転職が多い業界ではありますが、私の周りだけでも退職者は以前の6倍程度まで増加しました。その中で、会社はなぜか退職者の通知を一切出さないので、具体的な数は分かりません」と都内の営業所で働く管理職のA氏が語るように、大変厳しい処分の乱発により今まで以上に会社に対して不信感を抱く社員が多いのが現状です。今後はこれまで問題視されていたガバナンスだけでなく、働く社員に寄り添い大切にできるような社内風土改善を住友不動産販売だけでなくグループ全体として推し進める必要性があるようです。