ロンドン中心部の高級不動産市場から、海外からの需要が急速に減少しています。今年の1月から6月においては国外の買い手が取引に占める割合がわずか27%と、ロンドンの不動産ブローカーであるハンプトンズ・インターナショナルがデータ追跡を始めた2011年以降で最低の水準となりました。これは前年の半分強にしか満たない状態です。
画像はBloombergより
世界で最も高価な部類となる物件も存在するロンドンの高級不動産市場では、長い間国外の買い手が価格を押し上げてきました。過去10年を通じて買い手全体のほぼ半分を占めており、新型コロナウイルスの感染拡大により国際間の渡航が大きく制限されてしまった2020年でもこの水準は変わりませんでした。
しかし今年は取引コストが上昇した影響により、中東と東アジアを除く全地域の買い手の割合が低下したのです。これは国外の買い手に課する印紙税が4月から2%上乗せされるようになり、過去1年間でポンドはドルに対し6%近く上昇したことが影響しています。
ハンプトンズの調査担当責任者である、アネイシャ・ベバリッジ氏は「国外の買い手が戻ってくるか否かは依然コロナウイルスが大きく左右するが、国際的な往来の再開で今年末から来年にかけて国外の買い手の数は増えてくるとみている」と語りました。