9月16日、不動産売買・賃貸プラットフォームのWebサイト「RENOSY」を運営する株式会社GA technologiesの株が急落し、連日のストップ安となりました。
9月14日に2021年10月期第3四半期の決算を発表した同社ですが、この決算内容が前四半期と比べて赤字幅が拡大した上、2021年10月期通期決算の予想が赤字転落となったため、同社株が急落する形となりました。
決算報告会において赤字の要因については「RENOSYマーケットプレイス事業における取引量が増大したことに伴い、調達価格が高騰してしまった不動産商品が増え、従来の計画と比較し利益率の低い取引が多く生じたため」と説明しています。
元記事はYAHOO!JAPANファイナンスより
GAテクノロジーズは、不動産売買仲介や不動産販売をウェブやアプリ上で完結させる、不動産総合プラットフォームの「RENOSY」などを運営する会社です。2013年3月に創業して以来急激な成長を遂げ、不動産業界のデジタル化を推し量ってきました。
今四半期決算報告では、売上高修正はせず営業利益に関して大幅に下方修正しました。主力の「RENOSYマーケットプレイス事業」における3Qの減速要因は、2Qと比較してGWやオリンピックなどにより稼働日数が減少したことや、Web商談予約システムを新規導入する先行投資で一過性の要因によるものと説明します。
また、買取再販において、「商品の収益用不動産価格が高騰したため、仕入れが難しくなってきた。しかしそれを簡単には販売価格に転嫁できず、利益率が下がった」と説明します。
同社は売上高予想自体は変えていません。しかし、利益面での業績進捗は厳しいものがあります。実際、営業利益と減価償却費を合算した「EBITDA」及び営業利益は、急減速しています。2020年10月期1~3Qの売上総利益率16.1%に対して、2021年10月期1~3Qの売上総利益率は14.1%です。2%という大幅な利益率の低下となります。
また、同社の主力はRENOSYマーケットプレイス事業であり、運営する幅広い新規事業から発生する収益は、現状では全体のほんのわずかにしかすぎません。
しかしながら同社は非常に良いタイミングで増資したと考えられます。1Qで増資を実施したため約120億円の手取金を手に入れ、資金繰りを心配せず積極的な事業買収や物件取得を行えました。よって今回の業績下方修正は経営陣の想定内だったと言えるかもしれません。
これらのことを踏まえれば、同社が現時点で破綻に追い込まれていくというようなことは想定しづらいと言えます。
増資により2021年7月末時点の現預金が100億円を超える一方、有利子負債が61億円となっています。仮に債権の返還を求められたとしても、手元資金で返済ができます。また、RENOSYにおける会員ストック数も、前四半期比から53%の増加を達成しています。
その一方で懸念点があるのも事実です。四半期で見た場合、成約数の推移がわずか9%に留まっており、会員数が増加しながらも成約数が伸びていません。「稼働日数の減少」などの影響がある可能性はありますが、この点については今後の推移に目を見張る必要があります。会社説明がどれほど事実に即しているのか、仕入価格上昇による販売価格上昇・利回り低下で本当に顧客が敬遠したのか等、現時点データだけで要因の真相を解明するのは難しいかもしれません。