ショート動画アプリTikTok(ティックトック)を運営する中国の字節跳動科技(バイトダンス)が、不動産仲介事業に本格参入する兆しを見せています。今年9月下旬に、中国不動産仲介の大手企業である「麦田房産」の子会社「福旺房地産経記」に対して株主の変更手続きが行われ、同社がバイトダンスの系列会社「好房有幸信息技術」によって買収されたことが明らかになりました。
元記事は東洋経済ONLINEより
市場関係者の間では、バイトダンスが不動産仲介事業に本格参入するための準備であるとする見解が多く、麦田房産の担当者は「今回の取引は、バイトダンスが不動産仲介業の営業ライセンスを取得するのが目的だった。麦田房産の店舗の営業に影響はない」と話しています。
なおバイトダンスが不動産仲介ビジネスに足がかりを築いたのは、スマホ向け不動産ポータルアプリ「幸福里」の運営会社を買収して完全子会社化した2年前のことです。現時点では、幸福里がバイトダンスの不動産仲介事業の中心になっていますが、今回の買収によってさらに不動産仲介事業の強化に本腰を入れていくと考えて間違いないのではないでしょうか。
バイトダンスは中国国内のSNSアプリ市場で強烈なプレゼンスを発揮しており、これまでに多くのITサービスを展開してきています。そこで培ってきた技術力を生かし、不動産仲介におけるオンラインとリアル店舗の統合などのDXを推進していく可能性があります。また、facebook社が屋号をメタに変更するなど、メタバース市場の活性化に注目が集まる昨今、不動産仲介事業の仮想現実空間への組み込みへの期待も高まり、今後のバイトダンスの動きに目が離せません。