大阪本社の老舗百貨店「高島屋」は、自社物件である「立川高島屋ショッピングセンター」内の「高島屋立川店」の営業を終了し撤退します。終了は2023年1月31日の予定です。
撤退後は「立川高島屋ショッピングセンター」の大家として、テナントから集金する家賃のみで運営する「不動産業」に業種を変更します。
この思い切った変更の原因は新型コロナウイルス感染症でした。
百貨店業界はコロナ禍以前から売上が低迷しており、3年目に入ったコロナによる影響はさらに深刻な打撃を与えました。
撤退後の空きスペースには新規の専門店を誘致する予定であり、すでに誘致したニトリやユザワヤと共にショッピングセンターとしてリニューアルすることになります。
2019年には東京都中央区の日本橋店を都市再開発事業としてリニューアル、日本橋高島屋三井ビルディングとして百貨店・専門店街とオフィスがいっしょになった複合ビルになりました。
百貨店が立地する都心繁華街は一等地であり、専門店やオフィスの入居希望も多く「地の利」を活かした経営多角化の一環と捉えられます。日本橋高島屋の場合は2021年2月期の百貨店利益率は-3.7%の赤字でしたが、日本橋店付近のオフィスビル利回りは+3.7%が見込め生き残り策としては有望なものでした。
同様の動きは
1.エイチ・ツー・オー リテイリングが行った大阪梅田ツインタワーズ(実施済)
2.2029年度予定の小田急百貨店の複合ビル化
3.セブン&アイ・ホールディングスが売却予定の西武池袋店の複合ビル化
などがあげられ「百貨店事業」から「不動産事業」への転換は今後もつづく可能性があり、不動産事業での成長はやがて百貨店全店舗の完全撤退と、不動産事業に特化した「百貨店大家」がぞくぞく登場するかもしれません。
元記事はM&A Online