2021年度の首都圏における新築マンション平均価格は6,360万円であったと、2022年4月18日、不動産経済研究所が発表しました。
2020年度と比較して6.1%高くなり、1990年度のバブル期以来31年ぶりに過去最高を更新しました。原因の1つが都心部での「億ション」が価格全体を押し上げたと見られます。
発売戸数は32,872戸と前年度比13.2%増となり、2年連続で前年度実績を上回りました。また3万戸台の回復は2018年度以来であり、都心部を中心として販売が好調でした。ただ、大型案件が4月にずれこんだため3月の発売戸数は前年度を下回っています。
地域別では東京都23区は前年度比プラス18.3%の13,169戸となりました。埼玉県・神奈川県も前年実績を超えています。
販売状況の好調さを測る目安となる「契約率」は発売初月の契約率を指しており、不動産経済研究所によると72.9%でした。3月末時点での販売在庫数は5,881戸となり、前年同月比マイナス1,500戸と期末においても好調さは変わっていません。
販売が好調な背景として「新たなライフスタイルに合う住宅探し」を行う動きがありそうです。大企業を中心とした「テレワーク」の定着により、間取りに対する要求が変わり新居を探す傾向が生まれています。
通勤便や資産性を考慮して職場に近い23区内の高層マンションを選ぶケース、郊外の複数の路線が走る駅近物件を選ぶケースなどが注目されます。
またファミリー層には広さを重視した住環境を求める動きもあります。最寄駅からバスに乗る「バス便」物件も割安感があり人気となっています。
2022年度については、ウクライナ侵攻による建設資材関係の価格高騰が不安材料であり、秋商戦に影響が出るだろうと、不動産経済研究所の松田忠司主任研究員は指摘します。現状においては販売の減速は感じられませんが金利の先高観があるなか、市場におけるさらなる価格高騰による先行き警戒感が強いと言えそうです。
元記事は日本経済新聞