【マンション】新築・中古の並行検討層を取り込むためのポイント

(株)リクルート住まいカンパニーが実施した「2020年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、新築分譲マンション購入者における中古マンションを並行検討した割合が、2003年以降で初めて50%を超える結果となりました。

その理由として最も大きいのが新築分譲マンションの価格高騰と考えられます。

同調査によれば、新築分譲マンションの購入価格は、2010年比で約35%上昇の5,538万円(首都圏)となり、高止まりする状況が続いていますので、今後も一定数の中古マンション検討層が発生し続けることが予想されます。

この記事では、そういった背景を踏まえて、新築・中古マンションの並行検討層を不動産仲介業者が取り込んでいくためのポイントを、購入者調査(首都圏版・関西版)から分析・検証してみたいと思います。

新築・中古の並行検討者が2003年以降で最多(首都圏・関西圏)

以下の表は、新築分譲マンション購入検討時に並行検討した物件を種別ごとにまとめたものです。

■新築マンション以外に具体的に検討した住宅種別(複数回答)

中古マンション 新築戸建て 中古戸建て
首都圏 51.7% 22.8% 5.8%
関西圏 48.5% 22.8% 6.3%

出典:(株)リクルート住まいカンパニー「2020年新築マンション契約者動向調査」

首都圏では、新築分譲マンション以外で検討した割合が最も高いのが「中古マンション」で、51.7%となりました。

2019年から4.6ポイント上昇し、2003年以降で初めて50%を超える結果となりました。

関西圏でも最多は「中古マンション」で48.5%で、19年から3.6ポイント上昇し、こちらも2003年以降で最も高い割合となっています。

平均年齢は37.3歳、既婚世帯の共働き率が過去最高の72%

以下の表は、新築分譲マンション契約時の世帯主の年齢分布をまとめたものです。

■契約時世帯主年齢(実数回答)

20〜29歳 30〜34歳 34〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60歳以上 無回答
首都圏 16.3% 29.6% 22.7% 19.7% 6.6% 4.5% 0.6%
関西圏 14.7% 30.1% 20.7% 18.0% 9.8% 6.3% 0.5%

出典:(株)リクルート住まいカンパニー「2020年新築マンション契約者動向調査」

首都圏、近畿圏ともに30歳台が50%強でボリュームゾーンとなっており、平均年齢は首都圏が37.3歳、関西圏が38.8歳となっています。

■契約時世帯主年齢(シングル世帯20代〜30代のみ抜粋)

20〜29歳 30〜34歳 34〜39歳
首都圏(シングル世帯) 男性 24.7% 16.7% 17.4%
女性 8.6% 20.5% 23.9%
関西圏(シングル世帯) 男性 20.0% 15.6% 13.3%
女性 6.3% 20.5% 23.2%

出典:(株)リクルート住まいカンパニー「2020年新築マンション契約者動向調査」

シングル世帯に絞って世帯主の年齢を見ると、男性のボリュームゾーンが20歳台であるのに対して、女性のボリュームゾーンは30歳台後半となっています。

新築分譲マンションの購入理由は「資産性と広さ」

以下の表は、首都圏と関西圏で新築分譲マンションを購入した理由の上位5項目をまとめたものです。

■<首都圏>購入理由(上位5項目、複数回答)

首都圏 差分(2015年比)
子供や家族のため、家を持ちたいと思った 38.1% −4.9
現在の住居費が高くてもったいない 32.5% +1.8
資産を持ちたい、資産として有利だと思った 28.0% +4.4
もっと広い家に住みたかったから 27.1% +4.7
老後の安心のため、住まいをもちたいと思った 16.9% +1.7

出典:(株)リクルート住まいカンパニー「2020年新築マンション契約者動向調査」

■<関西圏>購入理由(上位5項目、複数回答)

関西圏 差分(2015年比)
子供や家族のため、家を持ちたいと思った 38.2% −2.1
現在の住居費が高くてもったいない 28.6% +0.1
資産を持ちたい、資産として有利だと思った 25.9% +6.0
もっと広い家に住みたかったから 20.8% +5.1
老後の安心のため、住まいをもちたいと思った 19.7% +3.2

出典:(株)リクルート住まいカンパニー「2020年新築マンション契約者動向調査」

首都圏・近畿圏共に購入理由の上位は傾向に類似性があり、資産性や広さにこだわって購入を決めたことが分かります。

【まとめ】集客のポイントは「地域・SNS・動画」

SNS,集客

ここまで、新築・中古マンションのインサイトを購入者調査(首都圏版・関西版)から分析・検証してきました。
ポイントは以下の通りです。

・新築分譲マンション購入者の約半数が中古マンションを検討している

・新築分譲マンション購入者のボリュームゾーンは、30代。ただし、シングル世帯では20代男性の割合も高い

・新築分譲マンションの購入理由は「資産性」と「広さ」

ポイントをまとめると、「20代男性」「30代男性・女性」への貴社物件の優位性、貴社のブランドを的確に訴求することが重要だと言えるでしょう。

若年層が接触するメディアの傾向

以下の表は、博報堂生活総研の「生活定点調査」から30代および20代男性のメディア接触の傾向を他世代と比較し、特徴的かつ今回のテーマと関連性の高いものを抜粋してまとめたものです。

■30代と他世代のメディア接触の比較(他世代よりも回答率が高い関連項目のみを抜粋)

差分
平日・休日、新聞を読んでいない +17.4
動画投稿共有サイトを利用している +14.5
動画投稿共有サイトを利用したい +12.8
平日、ソーシャルメディアを見ている +12.0
休日、ソーシャルメディアを見ている +11.8

出典:博報堂生活総研「生活定点調査」

■20代男性と他世代男性のメディア接触の比較(他世代よりも回答率が高い関連項目のみを抜粋)

差分
平日、新聞を読んでいない +23.6
ソーシャルメディアへの投稿をしている +21.6
ソーシャルメディアへの投稿をしたい +21.1
平日、ラジオ放送(PC/スマホでの聴取含む)を聞いていない +20.6
休日、新聞を読んでない +20.3

出典:博報堂生活総研「生活定点調査」

20代〜30代は旧来のメディア(新聞・ラジオ)の利用率が他世代に比べて低く、SNSや動画投稿サイトの利用率が高いことが分かります。

ちなみにSNSの利用率(平日)は20代男性が90.4%、30代が92.3%、動画投稿サイトの利用率は20代男性が80.8%、30代が76.3%となっています。

特に動画投稿サイトについては、コロナ禍の巣ごもりの影響で2018年調査時よりも15ポイント以上上昇しています。

訴求のポイントは「情報共有」

こういったトレンドを取り込み、20〜30代の若年層へのプロモーションを強化する不動産会社が増加しています。

実際、「動画に出演した営業スタッフを指名した問い合わせが増加した」、「動画経由での反響は成約率が高い」といった成果が上がっているようです。

具体的には、敬遠されがちな広告色の強い動画ではなく、視聴数が伸びる傾向にある「ハウツー系動画」(方法や手順を説明・紹介する動画)をSNSを通じて拡散させていく方法を採るケースが多いです。

貴社および貴社物件の認知向上・ブランディングを目的に、不動産・街(商圏エリア)のプロとして、室内を広く使うためのインテリア術や街の魅力・快適な暮らし方などを紹介する動画を制作することも一つの有効な方法になりそうです。

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