【成約数4ヶ月連続マイナス】転換期を迎える中古マンション市況の売主・買主対策とは?

(公財)東日本不動産流通機構「月例マーケットウオッチ(2021年10月度)」によると、2021年10月の首都圏中古マンション成約件数は3,440件で、前年同月比5.4%のマイナスとなりました。前年同月比マイナスは4ヶ月連続です。
中でも、東京都は1,765件で同7.0%のマイナス、神奈川県は829件で同8.5%のマイナスとなっており、千葉県・埼玉県と比較しても減少幅が大きくなっており、東京都は5ヵ月連続の前年同月比マイナスとなっています。
コロナ禍においてライフスタイルの変化が生じ、住まいのニーズが変化したことで不動産市況は活況を呈してきましたが、ここにきてマーケットのトレンドに変化の兆しが生じてきているのかもしれません。

そこで今回は、中古マンション市場を取り巻く環境の変化を成約数・価格・物件数の推移から分析・検証し、不動産仲介事業における売主・買主対策を考えてみたいと思います。

①首都圏中古マンションの成約数が4ヶ月連続で前年同月比マイナスに

まず、首都圏中古マンションの成約数から見ていきましょう。
以下の<グラフ①>は、首都圏中古マンション成約数の前年同月比の推移を表したものです。

<グラフ①>首都圏中古マンション成約数の前年同月比の推移

首都圏中古マンション成約数の前年同月比の推移

引用:(公財)東日本不動産流通機構「月例マーケットウオッチ」

2020年4月は、一回目の緊急事態宣言で成約数を大きく減らした影響で、前年同月比47.4%(−52.6%)を記録しましたが、それ以降は、中古マンション市況が回復し、前年同月比100〜120%程度で推移しています。
しかし、2021年の7月からの4ヶ月間は前年同月比80%〜90%代で推移し、これまでの活況から変化の兆しが見て取れます。
その要因として、当時新型コロナウイルスの変異株が国内で流行し、緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が徹底されたことによる外出自粛の影響が考えられます。
ただし、ワクチン接種が高齢者以外にも広がり、新規感染者数が落ち着きを見せ始めた9月・10月も前年比減となっていることから、コロナ禍以外の要因が関連している可能性も考えられます。

②中古マンションの売出単価と値引き率の変化

では、コロナ禍以外の要因を探るために、中古マンションの価格動向を分析してみたいと思います。
以下の<グラフ②>は、マンションリサーチ(株)が行った調査結果で、中古マンションの平均成約坪単価と売出単価の直近2年間の推移、および両者の乖離率を表したものです。

中古マンションの平均成約坪単価と売出単価の推移

引用:マンションリサーチ(株)調べ

グラフを見ていくと、コロナ禍が始まった2020年2Q(4月〜6月)頃から平均成約単価・平均売出単価の上昇幅が大きくなっていることが分かります。
成約単価は特に上昇幅が大きく、両者の乖離率は4四半期連続で低下。
2021年2Q(4月〜6月)には両者の乖離率は1.8%に達し、過去2年間に無い水準にまで低下しました。
しかし、2021年3Q(7月〜9月)に入ると一転し、平均売出単価の上昇幅よりも平均成約単価の上昇幅が減少し、両者の乖離率は再び上昇に転じています。

③在庫状況・新規登録物件数の推移

次に、中古マンション市場における物件の在庫状況について見ていきましょう。
以下の<グラフ③>と<グラフ④>は、それぞれ首都圏中古マンション市場における在庫物件数と新規登録物件数の前年同月比の推移をグラフで表したものです。

<グラフ③>首都圏中古マンションの在庫物件数の前年同月比推移

首都圏中古マンションの在庫物件数の前年同月比推移

引用:(公財)東日本不動産流通機構「月例マーケットウオッチ」

<グラフ④>首都圏中古マンションの新規登録件数の前年同月比推移

首都圏中古マンションの新規登録件数の前年同月比推移

引用:(公財)東日本不動産流通機構「月例マーケットウオッチ」

中古マンションの在庫物件数・新規登録物件数のいずれも2020年1Q(1月〜3月)頃までは比較的高い水準を維持していましたが、2Q(4月〜6月)以降は前年同月比の減少幅が大きくなっています。
この傾向は2021年の2Qには底を打ち、前年同月比の減少幅は少しづつ小さくなっているものの、引き続き前年同月比でマイナスが続いています。
新規登録件数は引き続き前年比マイナスが続く状況である一方、在庫物件数の消化は横ばいまたは鈍化傾向にあると言えそうです。
売主サイドによる様子見が続いている一方、買主サイドは需要が一巡し、購入意欲に陰りが出始めていることが分かる結果と言えるかもしれません。

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④まとめ

ここまで、中古マンション市場を取り巻く環境の変化を、成約数・価格・物件数の推移から分析・検証してきました。
ポイントを以下にまとめます。

①コロナ禍(2020年3Q以降)の首都圏中古マンション市況は活況を呈していたが、2021年の7月からは前年同月比80%〜90%代で推移しており、変化の兆しが伺える。

②コロナ禍で市況が活況を呈していたこともあり、2020年の2Q以降は売出単価・成約単価のいずれも右肩上がりで上昇した。しかし、2021年3Q(7月〜9月)は成約単価の上昇が鈍化し、両者の乖離率が高まった。

③首都圏中古マンションの新規登録件数は、引き続き前年比マイナスが続く状況である一方、在庫物件数の消化の勢いは鈍化傾向にある。売主による売り渋りが続く一方、買主は需要が一巡し、購入意欲に陰りが出始めていることが考えられる。

上記①〜③のポイントをまとめると、4ヶ月連続の成約数の減少は、売り手市場から買い手市場へのトレンドの変化の兆しと言えるかもしれません。
マーケティング・リサーチ会社の(株)クロス・マーケティングが行った「消費動向に関する定点調査(2021年10月度)」によると、これまで控えていた外食、レジャー施設の利用意向が軒並み上昇しています。

消費動向に関する定点調査(2021年10月度)

引用:(株)クロス・マーケティング「消費動向に関する定点調査(2021年10月度)」

特に旅行・映画館・スポーツ観戦の上昇が顕著で、背景には、ワクチン接種率の上昇および新規感染者数の減少による緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の解除の影響が大きいと考えられます。
メディアで度々取り上げられている「リベンジ消費」が本格化することにより、これまでの耐久財中心の消費から消費財中心の消費へと移行していくことが予想されます。
コロナ規制の緩和が進むことによる消費マインドの変化によって、不動産購入の優先度が相対的に低下した場合、これまでのトレンドであった売り手優位の市場から、買い手優位の市場にシフトをさらに後押しする可能性があります。

不動産売買仲介会社の皆さまにおいては、コロナ禍において「在庫の減少」「価格高騰」を売主さまに訴求されてきたことと思いますが、このトレンドの変化によって、売主・買主さま双方への訴求にも変化が生じてくることでしょう。
特に売主さまに対しては、「今こそが売り時」と訴求する絶好の機会になるかもしれません。

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