2021年1月度のレインズ新規登録件数は前年同月比27.8%減で11ヶ月連続の減少、在庫件数は同24.2%減で8ヶ月連続と、成約数の上昇・価格が上昇する中で、売主からすると売却を検討するインセンティブは低下している状況にあります。
今回は、そういった中で(株)LIFULLが売却経験者3,000名に行った調査から「早期売却を実現した売主」の傾向を分析し、確度の高い売却委任を獲得するためのポイントについて検証してみたいと思います。
早期売却を実現した売主の特徴
不動産会社の自社ホームページを活用
Q.不動産会社探しには何を利用した?(複数回答、回答率上位5項目を抜粋)
早く売れた人(n=409) | 早く売れなかった人(n=154) | |
不動産会社が運営のwebサイト | 50.3% | 44.0% |
不動産・住宅情報webサイト | 41.8% | 38.9% |
付き合いのあった不動産会社を利用 | 20.2% | 21.1% |
その他webサイト | 20.0% | 10.5% |
折込やポストインのチラシ、ダイレクトメール | 18.8% | 12.6% |
出典:(株)LIFULL「住まいの売却データファイル」
所有する不動産を「早く売れた」と回答した人は、その半数が不動産会社を探す際に不動産会社の自社ホームページを利用したと回答しています。
「早く売れなかった人」も不動産会社の自社ホームページを利用した人が最多となっていますが、2位の「不動産ポータルサイト」や3位の「付き合いのあった不動産会社」との利用率の差が「早く売れた人」と比べると小さくなっています。
これらの結果から、不動産ポータルサイトなどで提示された査定額次第で売却を検討した「早く売れなかった人」と、主体的に情報収集し、不動産各社の情報を詳細に比較した「早く売れた人」の違いが伺えます。
売却プロセスの実務的な情報を把握したい
Q.売却についてどんな情報を調べた?(複数回答、回答率上位5項目を抜粋)
早く売れた人(n=409) | 早く売れなかった人(n=154) | |
売却金額の相場などの価格情報 | 41.6% | 41.8% |
売却までに必要な手続き・手順 | 38.1% | 34.2% |
売却時にかかる税金などの費用 | 35.4% | 26.8% |
仲介手数料などに関する情報 | 32.5% | 34.0% |
売却までにかかる時間 | 26.0% | 20.4% |
出典:(株)LIFULL「住まいの売却データファイル」
「早く売れた人」「早く売れなかった人」ともに「売却金額の相場などの価格情報」を調べたと回答した人がほぼ同じ割合で最多となりました。
一方で、実際の売却プロセスを進める上で知っておきたい「必要な手続き・手順」「税金などの費用」「売却までにかかる時間」などは、「早く売れた人」と「早く売れなかった人」で差が出ており、ここでも本気度の違いが見てとれます。
不動産会社・担当者の対応に納得・信頼できることを重視
Q.何を決め手に不動産会社を選んだ?(複数回答、上位5項目)
早く売れた人(n=371) | 早く売れなかった人(n=127) | |
担当者の対応が良かったから | 35.8% | 23.4% |
会社が信頼できたから | 30.9% | 18.1% |
査定価格が納得のいくものだったから | 30.4% | 12.0% |
早く売却できそうだったから | 28.5% | 17.1% |
地元の不動産事情に詳しかったから | 27.1% | 30.5% |
出典:(株)LIFULL「住まいの売却データファイル」
「早く売れた人」は、不動産会社を選定する各項目の回答率が高く、不動産会社・担当者・査定価格などに明確な基準を持って判断しようとしていることがわかります。
その一方で「早く売れなかった人」は、「地元に詳しい」や、ここでは触れていませんが「近くに店舗があったから(22.5%)」などの回答率が高く、「早く売れた人」と比較して判断基準に曖昧さが感じられます。
まとめ
ここまで、早期売却を実現した確度の高い売主について検証した傾向を以下にまとめます。
・売却プロセスにおける実務的な情報への関心が高い
・担当者の対応や不動産会社の信頼度を踏まえて、納得できる査定価格を提示した不動産会社を選択している
これらを踏まえると、確度の高い売却委任を獲得するためには、以下の3点が重要だと言えそうです。
② ページ内における売却関連コンテンツの整理
③ 成約事例や成約者インタビューなどのブランディングコンテンツの整備
早期売却を実現している売主は、さまざまな媒体を使って積極的に情報収集を行い、それらの情報を整理・集約した上で意思決定を行っています。
その過程で売主に対して必要な情報を具体的に分かりやすく明示することで、貴社への認知・理解度が深まり、最終的に選ばれる一社へとなります。
自社ホームページにおいて、地域に強い・売却実績が豊富・売却の実務に関するノウハウなどの「売主に響くコンテンツ」を記事や動画なども活用しながら訴求することが、確度の高い売却委任の獲得を行うためのポイントの一つと言えるでしょう。