不動産業は個人事業として開業することが可能です。
「わざわざ会社を設立しなくてもいいのではないか」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、個人事業者として宅建業を営むことのリスクを考慮すると、会社を設立し、法人として開業することをお勧めします。
ここでは「会社を設立して宅建業を行う場合のメリット」を3つご紹介します
参考ただし例外として、すでに個人事業主として他の業種を営んでいる場合は、税制面の関係を考慮しながら「個人か法人か」を検討する必要があるため、事前に税理士と相談しましょう。
不動産開業は法人がおすすめの理由(メリット)
不動産の開業は株式会社がおすすめの理由は以下の通りです。
- 個人に及ぶリスクの回避できる
- 社会的信用に繋がる
- 節税対策に使える
①個人に対してのリスクを回避できる
会社を設立して宅建業を行う場合のメリットの1つ目は「財産区別を明確化できて、損害賠償責任などが個人資産に及ぶリスクを回避できる」ということが挙げられます。
不動産取引というビジネスは動く金額が大きく、もし仮に宅建業を営む個人事業者に損害賠償や借金が発生した場合は支払い範囲に限りがなく、個人財産なども支払いに充てなければいけません。
しかし、法人であれば社長が借金の連帯保証人になっていない限り、会社を倒産させてしまえば借金の支払い義務が個人の財産にまで及ぶことはありません。
②社会的信用に繋がる
2つ目のメリット「社会的信用に繋がる」というです。
個人事業者と会社では社会的信用度が大きく異なります。
特に不動産取引は大きな金額が動くため、個人事業主が取引するとなると、顧客が不安になる要因となります。その点、法人はある程度の社会的信用が担保されており顧客イメージや信用度が上がるため、取引がしやすくなります。
また金融機関に対しての見え方も全然違います。
不動産会社であれば金融機関と取引することが多いですが、個人事業主ということであれば門前払いされることも少なくありません。
さらに法人の方が社会的な信用度が上がる分、従業員の確保がしやすくなることも法人で開業するメリットのひとつと言えます。
③節税対策に有効な手が多いこと
3つ目は「節税対策に有効な手が多いこと」です。法人としての節税対策には以下のような事項が考えられます。
- 給与所得控除
- 所得の分散が可能(66項参照)
- 配偶者控除が可能
- 欠損金の繰越控除が可能(72項参照)
- 退職金も必要経費に
- 役員社宅も必要経費に
- 経営者の生命保険も必要経費に
- 相続税対策としても有効
ポイントただし、これらの節税対策に関しては細かい規定もあるため、顧問税理士にしっかり相談しましょう。
法人と個人事業主比較表
法人 | 個人事業主 | |
リスク | 〇 | × |
社会的信用 | 〇 | × |
節税効果 | 〇 | × |
株式会社と合同会社どちらがよい?
個人事業主より法人のほうがおすすめの理由はお分かりいただけたと思います。
一般的に法人と聞くと株式会社をイメージすると思いますが、では合同会社はダメなのか?という点についても紹介いたします。
合同会社とは?
合同会社は設立費用が約10万円と安価(株式会社の設立費用は約24万円)であることから一時期は数多く設立されてきましたが、一般的には知られていない会社形態であるため、社会的な信用を得られにくく、顧客に不安を与えやすい傾向にあります。
合同会社を知っている人にとっては、「株式会社にするほどのキャッシュがない」と受け取られる場合もあります。
したがって不動産取引のように大きな金額が動く業種は株式会社を選んでおくと良いでしょう。
合同会社のデメリット
株式会社は出資者と経営者が分離しており、配当金は出資比率に応じて支払われます。それに対して、合同会社は出資者と経営者が同じで、配当金は取り決めによって自由に決められることが主な特徴です。
そして2006年から施行された「会社法」により、合同会社設立のメリットは「設立費用が安い」という1点のみとなってしまいました。したがって以下のようなデメリットを考慮すると、合同会社設立はおすすめできません。
・社長は「代表社員」という肩書きとなり、「代表取締役」という肩書きは使えない
・「業務執行役員」など一般の人には分かりづらい肩書きが多い
注意合同会社から株式会社に組織変更は可能ですが、15〜20万円程度の費用がかかります。そのため合同会社設立の際に掛かった費用約10万を加算すると株式会社設立以上のコストと時間が掛かってしまいます。
2006年の会社法の施行で株式会社ほぼ一択に
2006年に施行された「会社法」により、株式会社の設立条件が以下のように簡略化されました。
・払込金保管証明などの時間のかかる書類が不要となった
・類似商号の規制が緩和された
これによって、現在では設立される会社の形態は「株式会社」ほぼ一択となっています。したがって、会社形態は初めから株式会社を選んでおくと良いでしょう。
まとめ
不動産を開業するのであれば個人事業主でもなく、合同会社でもなく、株式会社がおすすめです。
信用に繋がらず、売上げが上がらない可能性がある個人事業主、合同会社を選択するのは愚策です。
準備と費用はかさみますが、将来的なことも考えて株式会社の設立をおすすめします。
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