私の隣の不動産売買営業担当者が、自社保有用(手入れして、賃貸を埋めて、バリッとさせてから1-2年内に売る)の物件として仕入れた一棟マンションのリノベで頭を悩ませていましたので、今回は修繕、特に内装リノベーションのポイントについて語ってみます。
- 投資用の一棟アパマン、中古区分について、リーシングの為に、訴求力を付けたい。
- 実需の中古区分マンションの転売に際して、見栄えのするフルリノベーションをしたい。
- 実需の中古区分を仲介するに際して、顧客にリノベ後を提案できるようになりたい。
投資用不動産を扱う売買、売買仲介でも、貸主ポジションの業者さんでも大家さんでも、はたまた実需を扱う営業担当者であっても、リノベーションセンス(またはテクニック)があるに越したことはありません。
「中古を買って自分で安く住む」にしても、そもそもの「リノベーション後の絵」が頭に浮かぶようなレベルでないと、物件の購入(仕入)可否の判断に支障をきたします。
リノベーション施工例
私自身、本業は一棟モノの売買営業担当者、兼業不動産オーナーではありますが、建築家でも建築デザイナーでもないので、「これが最上」とは言えません。ただ、実績として、勤め先の不動産業者で保有する物件のリノベーションや、自身で保有するアパートの修繕の音頭を取り続けていたことで、それなりの「見栄え」と「費用対効果」「リーシング」が望めるスタイルが出来上がってきました。
※近頃は品番の指定や設備の施主支給などはしていますが、DIYはせず、工事自体は施工業者さんにおまかせしています。
リノベセンスについては、口で…というか文章でどれだけ書いても伝わりにくいのですが、写真を見てもうのが一目瞭然。
■男性向け
■ホワイト基調
■モダン 男性向け
■ナチュラルモダン 女性向け
■ナチュラルモダン(ユニセックス)
■女性向け モダンテイスト
人によって好みはあるかと思いますが、手掛けた物件のほぼ全てで「予定よりも短い期間で」、リノベ前よりも「そこそこ高い賃料で」、リーシングが出来ています。
雰囲気作りのポイントと「超有用参考資料」
水回りの設備やキッチン交換の有無など、設備面はお金をかければ掛けるほどいくらでも良いものが入れられます。ただその反面、当然にコストがかさむため、投資用であれば投資効率が下がり、実需であれば、その予算を食ってしまうものとなります。
その費用対効果の部分や入れるべき設備などはまた後日に触れたいと思いますが、今回の記事で掴み取っていただきたいのは、これらの写真のような「雰囲気」を構成するためのポイントです。
誰もの目に入るのが、「床・壁・天井」。
いわゆる表装(ひょうそう)と呼ばれる部分です。賃貸の退去後の修繕においても、壁紙や床の修繕は定番ですよね。ただ、その修繕を「前と同じ無難なもの」に<リフォーム>して更新するだけでは、面白みがありません。
賃貸顧客でも購入顧客であっても、「目を引く商品」にするには、デザイン性の高い【アクセントクロス】や【フロアタイル】を活用するのがオススメです。
尚、近頃はWeb上でもデジタルカタログを閲覧できますが、肌に触れる床や壁、その細かな質感は現物を見るに勝るものはありません。ユーザー登録が必要だったりはしますが、無料でもらえるので、ぜひ分厚い冊子となっているカタログをゲットしましょう。壁紙そのもの、フロアタイルそのもののカットサンプルがペタペタと貼ってあります。
(参考「sangetsu」https://wos.sangetsu.co.jp/biz_user/catalog_select.php)
「どう組み合わせたら良いか分からない!?」そんな時。
カタログには、膨大なサンプルが掲載されています。
はじめのうちはペラペラと捲って眺めるだけでも楽しいのですが、いざ物件に反映させるために選びだそうとすると…。
どれとどれを組み合わせたら良いだろうか、アクセントはあの一面だけでいいのか。壁紙がこの色なら床は…。オークとパインってどう違うの?どこまで攻めていいの?
内装デザインの迷宮に入り込んでしまうかもしれません。
そんな時です。
私が実践している、失敗しにくい方法を具体例で紹介します。
例えば、(主張の強い)↓こちらの壁紙が気に入ったとします。
この壁紙のすぐ近くには、その使用例のビジュアル写真が掲載されています。
(これはカウンター下にアクセントとして使用された形ですが…。)
「これを一面のアクセントクロスとして貼ったら、アメリカンないい雰囲気になるんじゃない?」なんて思ったら危険です。いえ、実際すごくよくなる可能性もあるのですが、おそらくは主張の強すぎる壁紙で部屋が煩く感じる…。
では、失敗しない形で「この写真の雰囲気を出す」にはどうしたらよいか?
その方法は…
『写真に使われている色合いを、
それに近い形で反映させる』です。
先程の例から、写真に使われているカラーに注目してみます。
特に割合として大きいのは、奥の壁紙のアイボリーと、カウンター上と椅子にもある黒、もしくは黒に限りなく近い焦げ茶、そして床の薄い色合いの焦げ茶です。
これらの中にあって、はじめてあの主張の強い壁紙は本領を発揮してオシャレさを際立てるものとなる訳です。
そのため、メインとなる壁紙が決まったのであれば、その参考写真に使われている周りの小物や床、隣の壁に使われている壁紙や天井の色なども含め、そのまま流用すると「デザイン性での失敗」が大きく回避できます。
また、先程の写真に注目してしまうと、「カウンターなんて施工する物件にはない!」ということもあるでしょうが、大切なのはそこではありません。
あくまで『色合いの割合と見え方』です。
一例ではありますが、普通のワンルームなどに先程のテイストを入れる手段を考察してみます。
床は写真に似たフロアタイルなどを使うとして、腰より下の壁紙を主張の強いメインの木箱柄、腰帯(トリム)として黒焦げ茶を入れて、そこから上をアイボリーカラーにすれば、おそらくパッと見の印象は、似たようなテイストに感じるはず。
つまるところ、洋服屋さんに行って「あのマネキンが着ているもの一式下さい」というのと同じです。上着だけ、小物だけで、今ある洋服に組み合わせたら「なんか違う」と感じてしまうこと、ありますよね。そうならないために、「参考写真の色合いを一式真似る」。
こういったことを繰り返しながら実践していくことで、「この柄はあの床にも合う」「このアニマル柄は強すぎて逆に安っぽい」「このコンクリ調をアイキャッチにして、他はウッド系で攻めてみよう」等々、スタイルが出来上がってきます。
また、リノベを得意としている内装業者さんや不動産業者さんのWebサイトの施工例を参考にするのも手。
その他、今どきの新規開業される飲食や物販の店舗には、様々なテイストの「オシャレ感」満載の店舗内装が施されるため、「ここの空間(内装)はステキだな」というお店に出会った際は、表装の具材に何が使われているか、どんな色合いが、どんな割合で構成されているか、五感と写真で記録しておくと次の修繕に活かすことができるかもしれません。
デザインの参考となるものは、至るところに偏在しています。
より顧客に喜んでもらって、より自分の実入りを大きくするために、普段からアンテナを張って感性を磨いておくと、人生が豊かになるかもしれませんね。まずは真似っ子からです。